ジャン・ギャバンと映画人たち

Jean Gabin et ses partenaires au cinéma

ギャバン出演映画リスト1941年~45年 Filmographie, 1941-45

2015-09-28 | ギャバン出演映画リスト
 
(31)曳き船 Remorques
 1941年 黒白(スタンダード)81分
〔監督〕ジャン・グレミヨン
〔原作・脚本〕ロジェ・ヴェルセル〔脚本〕シャルル・スパーク、アンドレ・カイヤット、ジャック・プレヴェ-ル(台詞)
〔撮影〕アルマン・ティラール〔美術〕アレクサンドル・トローネル〔音楽〕アレクシス・ロラン=マニュエル
〔ギャバンの役〕救助船サイクロン号の船長アンドレ・ロラン
〔共演〕ミシェール・モルガン、マドレーヌ・ルノー、フェルナン・ルドゥー、ジャン・マルシャ、シャルル・ブラヴェット、ナーヌ・ジェルモン、アンヌ・ローラン、マルセル・ペレ、アラン・キューニィ
〔封切〕1941年11月27日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕DVD
〔注〕1939年7月に撮影開始。大戦勃発で何度もの中断を経て、1941年9月に完成した。暴風雨で遭難した船を救助するサイクロン号の船長(ギャバン)には心配性で病身の愛妻(ルノー)がいるが、ある日救助した船に乗っていた若い女(モルガン)と知り合い、二人は熱烈に愛し始める。男と女二人の三角関係のメロドラマであるが、北フランスの荒海と港町、そして寂寥とした浜辺を舞台に人間の生きざまがドラマチックに描かれ、感動を生む秀作になった。ギャバンとモルガンはこの頃恋愛関係にあったが、二人のラヴシーンを見ているとほんものの愛情が放電して画面から伝わってくるようだ。とくに二人で浜辺を歩いていて、ヒトデを見つけて語り合う場面が印象深い。ジャック・プレヴェールによる台詞の素晴らしさは格別。


 
(32)夜霧の港 Moontide
 1942年 黒白(スタンダード)95分
〔監督〕アーチー・メイヨ
〔原作〕ウィラード・ロバートソン〔脚本〕ジョン・オハラ(台詞)、ナナリー・ジョンソン
〔撮影〕チャールズ・G・クラーク、リュシアン・ボラード〔美術〕リチャード・デイ、ジェイムス・ベイスヴィー、トーマス・リトル〔音楽〕シリル・J・モックリッジ、デヴィッド・バトルフ
〔ギャバンの役〕フランス人の冒険家ボボ
〔共演〕アイダ・ルピノ、トーマス・ミッチェル、クロード・レインズ、ジェローム・コーワン
〔封切〕1942年4月29日(米)、1944年10月25日(仏)
〔日本公開〕1947年2月
〔ソフト〕You Tube(インターネット)
〔注〕米国の20世紀フォックスが製作。ドイツ軍によるパリ占領後、米国へ渡ったギャバンがハリウッドで撮った第1作。ギャバンは英語の台詞を覚えて話した。カリフォルニアの港町で船大工として働くフランス人の男(ギャバン)が殺人事件に巻き込まれ、また一方で身投げするのを救った女(リピノ)と愛し合うが、最後はハッピーエンド。凡作。フランス語のタイトルは、La Péniche de l'amour(愛の小舟)。


 
(33)逃亡者 The Impostor(L'Imposteur)
 1943年 黒白90分
〔監督・脚本〕ジュリアン・デュヴィヴィエ
〔脚本〕スティーブン・ロングストリート、リン・スターリングほか
〔撮影〕ポール・イヴァノ〔美術〕ジョン・グッドマン、ユジェーヌ・ルリエ、ラッセル・ゴスマン〔音楽〕ディミトリ・ティオムキン
〔ギャバンの役〕逃亡者クレマン、別名モーリス・ラファルジュ
〔共演〕リチャード・ウォーフ、アリン・ジョスリン、エレン・ドリュー、ラルフ・モーガン、デニス・モール
〔封切〕1944年2月10日(米)、1946年7月10日(仏)
〔日本公開〕1950年8月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕ギャバンのハリウッド映画第2作でユニヴァーサルが製作。同じく米国に渡っていたデュヴィヴィエが監督した。脱獄した死刑囚(ギャバン)が死んだ人間になりすまして、アフリカ戦線へ赴き、戦死するまでを描いたもの。フランスと日本では戦後公開されたが、不評だった。

ギャバン出演映画リスト1946年~50年 Filmographie, 1946-50

2015-09-28 | ギャバン出演映画リスト
 
(34)狂恋 Martin Roumagnac
 1946年 黒白(スタンダード)103分
〔監督・脚本〕ジョルジュ・ラコンブ
〔原作・脚本〕ピエール=ルネ・ウルフ〔脚本・台詞〕ピエール・ヴェリー
〔撮影〕ロジェ・ユベール〔美術〕ジョルジュ・ワケヴィッチ〔音楽〕ジョヴァンニ・フスコ、マルセル・ミルーズ
〔ギャバンの役〕建築技師マルタン・ルーマニャック
〔共演〕マレーネ・ディートリッヒ、ダニエル・ジェラン、マルセル・エラン、マルゴ・リオン、ジャン・ディド
〔封切〕1946年12月18日(仏)
〔日本公開〕1949年8月
〔ソフト〕DVD
〔注〕大戦中米国へ渡ったギャバンはハリウッドでマレーネ・ディートリッヒと出会い、二人はすぐに恋に落ち、同棲するまでに至ったが、ギャバン入隊後、離れ離れになった。しかし、終戦後パリで再会し、二人の親密な関係は2年ほど続いた。そんなギャバンとディートリッヒが共演した唯一の映画がこの『マルタン・ルーマニャック』(男主人公の名)。邦題は『狂恋』で、内容もまさしく恋に狂った男の話である。ギャバン自身が戦前に原作権を買い、企画を暖めていた映画だった。フランスの地方都市に中年になるまで独身を通し自分の建設会社まで作って成功している建築技師(ギャバン)がいた。この男には一人の姉がいて、妻代わりに家事をしている。ある日、ボクシングの観戦中に彼はオーストリア出身の美しい貴婦人(ディートリッヒ)に出会い、一目惚れしてしまう。好きになると一途で、男は彼女の家まで建ててやり、求愛する。だが、彼女には金持ちのパトロンと若いツバメまでいた。それを知った男は嫉妬に燃え、挙句の果てに……。ストーリーは面白いのだが、完成した映画は不出来だった。脚本が悪く、監督の力量も不足していた。しかし、興行成績は良く、フランス国内の観客動員数は249万人(うちパリが54万人)で、ヨーロッパ、米国、そして日本にも配給された。


 
(35)面の皮をはげ Miroir
 1947年 黒白(スタンダード)90分
〔監督〕レイモン・ラミ
〔原案・脚本〕ポール・オリヴィエ〔脚本・台詞〕カルロ・リム
〔撮影〕ロジェ・ユベール〔美術〕ロラン・ベルトン、ジョルジュ・ワケヴィッチ〔音楽〕モーリス・イヴァン
〔ギャバンの役〕汽船会社の重役ピエール・リュサック(元地下組織者)
〔共演〕マルティーヌ・キャロル、ダニエル・ジェラン、コレット・マルス、ガブリエル・ドルジア、ジゼール・プレヴィル、シルヴィー
〔封切〕1947年5月2日(仏)
〔日本公開〕1963年4月
〔ソフト〕DVD
〔注〕パリの映画館だけで公開され、フランスおよび国外では上映されずに終わった。リバイバル上映されたのは16年後で、この時フランス国外へも配給された。


 
(36)鉄格子の彼方 Au-delà des grilles
 1948年 黒白(スタンダード)95分
〔監督〕ルネ・クレマン
〔脚本〕チェザーレ・ザヴァッティーニ、チェッキ・ダミコ、アルフレッド・グワリーニ
〔フランス語版脚本・台詞〕ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ピエロ・フィリポーネ、ルイジ・ゲルヴァッシ〔音楽〕ロマン・ヴラド、レンゾ・ロッセリーニ
〔ギャバンの役〕殺人犯・逃亡者ピエール
〔共演〕イザ・ミランダ、ヴェラ・タルキ、ロベール・ダルバン、アンドレア・ケッキ、アヴェ・ニンキ、カルロ・タンベラーニ
〔封切〕1949年9月19日(伊)、11月16日(仏)
〔日本公開〕1951年5月
〔ソフト〕ビデオ(イタリア語版)、DVD
〔注〕仏伊合作。ギャバンがルネ・クレマン監督と組んで作った唯一の映画。フランスで愛人を殺してイタリアのジェノヴァに逃げてきた男(ギャバン)が、食堂で働く女と知り合い、女の家に匿われる。しかし、女には10歳くらいの娘と別居中の亭主がいて、最後に男は警察に逮捕されるという話。戦前のギャバンの代表作『地の果てを行く』と『望郷』に似たプロットをネオ・リアリスムのイタリア人作家が脚本にし、それをルネ・クレマン独特のリアリスムで映画化したもの。


 
(37)港のマリー La Marie du port
 1949年 黒白(スタンダード)88分
〔監督・脚本〕マルセル・カルネ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本〕ルイ・シャヴァンス、ジョルジュ・リブモン・デセーニュ(台詞)
〔撮影〕アンリ・アルカン〔美術〕アレクサンドル・トローネル、オーギュスト・カプリエ〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕レストラン・映画館の経営者アンリ・シャトラール
〔共演〕ニコール・クールセル、ブランシェット・ブリュノワ、ジュリアン・カレット、クロード・ロマン、ジャーヌ・マルカン、ガブリエル・フォンタン
〔封切〕1950年2月18日(仏)
〔日本公開〕1951年11月
〔ソフト〕DVD
〔注〕港町シェルブールの中年実業家(ギャバン)が内縁の妻(ブリュノワ)の妹マリー(クールセル)に惹かれ、彼女が働いているキャフェを辞めさせ、理髪師の恋人とも縁を切らせて、自分の愛人にしようとするのだが、若い娘のマリーも現代っ子らしいしたたかさで、男の歓心をそそり結婚を迫るという話。ギャバンは終戦後、マルセル・カルネ監督の『夜の門』の主役を降板してカルネとは仲違いしていたが、久しぶりに二人が和解して作った映画。ブルジョワで女たらしといったギャバンの役どころが共感を呼ぶものではなく、感動の薄い作品。


 
(38)天国への門 Pour l'amour du ciel
 1950年 黒白(スタンダード)81分
〔監督〕ルイジ・ザンパ
〔脚本〕チェザーレ・ザヴァティーニ〔フランス語版脚本〕ジャン・ジョルジュ・オーリオル、アンリ・ジャンソン(台詞)
〔撮影〕カルロ・モンチュオーリ〔美術〕ガストン・メダン〔音楽〕ニーノ・ロータ
〔ギャバンの役〕ローマの実業家カルロ・バッキー
〔共演〕アントネラ・ルアルディ、ジュリアン・カレット
〔封切〕1951年2月14日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし
〔注〕伊・仏合作。


ギャバン出演映画リスト1951年~53年 Filmographie, 1951-53

2015-09-28 | ギャバン出演映画リスト
 
(39)ヴィクトル Victor
 1951年 黒白(スタンダード)90分
〔監督・脚本〕クロード・エイマン
〔原作・台詞〕アンリ・ベルンスタン〔脚本〕ジーン・フェリー
〔撮影〕リュシアン・ジュラン〔美術〕エミール・デルフォー〔音楽〕マルク・ランジャン
〔ギャバンの役〕ヴィクトル・ルストラン
〔共演〕フランソワーズ・クリストフ、ブリジット・オベール、ジャック・カストロ、ピエール・モンディー、ジャック・モレル
〔封切〕1951年6月13日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕


 
(40)夜は我がもの La nuit est mon royaume
 1951年 黒白(スタンダード)110分
〔監督〕ジョルジュ・ラコンブ
〔脚本〕マルセル・リヴェ、シャルル・スパーク
〔撮影〕フィリップ・アゴスティーニ〔美術〕リノ・モンデリーニ、ルネ・ムラエル〔音楽〕イヴ・ボードリエ
〔ギャバンの役〕盲人レイモン・パンサール(元・鉄道機関士)
〔共演〕シモーヌ・ヴァレール、シュザンヌ・デーリー、ロベール・アルヌー、ジェラール・ウーリー
〔封切〕1951年8月9日(仏)
〔日本公開〕1952年2月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕事故で失明し鉄道機関士を辞めて盲人更生施設に入った男(ギャバン)が、点字の教師をしているやはり盲目の若い女性(シモーヌ・ヴァレーヌ)を真剣に愛するようになるが、実はこの女性には婚約者がいた……。ギャバンが初めての盲人役を熱演し、この映画で1951年度ヴェネチア映画祭主演男優賞を受賞。


 
(41)快楽 Le Plaisir
 1951年 黒白(スタンダード)97分
〔監督・脚本〕マックス・オフュールス
〔原作〕モーパッサン〔脚本〕ジャック・ナタンソン
〔撮影〕クリスチャン・マトラ(第1話2話)、フィリップ・アゴスティーニ(第3話)
〔美術〕ジャン・ドーボンヌ〔音楽〕ジョー・ハジョ、モーリス・イヴァン(オッフェンバッハとモーツアルトの曲より)
〔ギャバンの役〕ブルターニュの田舎の村人ジョゼフ・リヴェ(建具職人)
〔共演〕ダニエル・ダリュー、マドレーヌ・ルノー、ピエール・ブラッスール
〔封切〕1952年2月29日(仏)
〔日本公開〕1953年1月
〔ソフト〕DVD
〔注〕モーパッサンの短編「仮面」「テリエ館」「モデル」を原作にした3話構成のオムニバス映画。オフュールス監督が話題作『輪舞』(1950年)に続いて作った佳作。ギャバンは第2話「テリエ館」La Maison Tellierに出演。パリの高級売春サロンの女将が田舎にいる弟夫婦の娘の聖体拝領式に出席するため、休暇も兼ねサロンで働く女たちを連れて行き、そこで楽しく過ごすと同時に、教会では心を洗い清められるという話。女将がマドレーヌ・ルノー、田舎(ブルターニュ地方)にいる弟がギャバン、そしてギャバンが惹きつけられ一夜をともにする女がダニエル・ダリュー。ルノーは戦前の映画でギャバンが3度共演した親しい女優だが、ダリューとは初共演。ギャバンとダリューはすぐに打ち解けあい、以後、3本の映画で共演することになる。ちなみに第1話「仮面」にはクロード・ドーファン、ギャビー・モルレー、第2話「モデル」にはダニエル・ジェラン、シモーヌ・シモンが出演している。


 
(42)ベベ・ドンジュについての真実 La Vérité sur Bébé Donge
 1951年 黒白(スタンダード)110分
〔監督〕アンリ・ドコワン
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本・台詞〕モーリス・オーベルジェ
〔撮影〕レオンス=アンリ・ビュレル〔美術〕ジャン・ドゥアリヌー〔音楽〕ジャン=ジャック・グリュネンヴァルト
〔ギャバンの役〕実業家フランソワ・ドンジュ
〔共演〕ダニエル・ダリュー、ガブリエル・ドルジア、ジャック・カストロ
〔封切〕1952年2月13日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし
〔注〕前作『快楽』でダニエル・ダリューと初共演したギャバンが今度はダリューの先夫のアンリ・ドコワン監督の映画に出演。主役はダリューで「べべ」(赤ちゃん)という愛称で呼ばれるエリザベート・ドンジュ。ギャバンは彼女の亭主役で、結婚10年後の倦怠期に悩む妻に毒を盛られ、今わの際に真実を打ち明ける。シリアスな夫婦間のドラマでドコワン監督の名作という呼び声が高い。


 
(43)愛情の瞬間 La Minute de vérité
 1952年 黒白(スタンダード)109分
〔監督・脚本〕ジャン・ドラノワ
〔脚本〕アンリ・ジャンソン(台詞)、ローラン・ローデンバック、ロベール・トエラン
〔撮影〕ロベール・ルフェーヴル、ルイーズ・ホルシャー〔美術〕セルジュ・ピムノフ〔音楽〕ポール・ミスラキ
〔ギャバンの役〕医師ピエール・リシャール
〔共演〕ミシェール・モルガン、ダニエル・ジェラン、レア・ディ・レオ、シモーヌ・パリス、ドニス・クレール、ルネ・ジェナン
〔封切〕1952年10月22日(仏)
〔日本公開〕1954年5月
〔ソフト〕DVD
〔注〕ギャバンが12年前に熱烈な恋愛関係にあったミシェール・モルガンと共演。二人は小学生の娘がいる夫婦役を演じた。仕事熱心な医師で浮気もする壮年の男がギャバン。モルガンは舞台女優で結婚してからずっと夫に尽くしてきた貞淑な妻だったが、ある時若い画家(ダニエル・ジュラン)に情熱的な愛を捧げられ、よろめいてしまう。しかし、夫と娘のいる家庭をとったモルガンは愛する男と別れる決意をするのだが……。監督はジャン・ドラノワで、回想形式を駆使して濃密な心理ドラマを映像化した。妻のモルガンの心の葛藤を主に描出しているため、ギャバンは脇役だったが(クレジットタイトルでもモルガンの次に名前が出る)、映画は「不倫もの」の名作になっている。


 
(44)危険な娘 Fille dangereuse
 1952年 黒白(スタンダード)92分
〔監督・脚本〕グイド・ブリニョーネ
〔原作〕ザバチーノ・ロペツ〔脚本〕アレスサンドロ・デ・スファーニ、カルロ・ムッソ
〔撮影〕マリオ・モンチュオーリ〔美術〕オタヴィオ・スコッチ〔音楽〕ミラン・ビクシオ
〔ギャバンの役〕外科医アントニオ・サンナ
〔共演〕シルヴァーナ・パンパニーニ、セルジュ・レジアーニ、ルネ・ルフェーブル、パオロ・ストッパ
〔封切〕1952年2月6日(伊)、3月29日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕イタリア・フランス合作で、監督はじめスタッフはイタリア人。二か国用のヴァージョンが作られ、フランス語版ではギャバンの相手役女優がシルヴァーナ・パンパーニではなくポーラ・デーリーに代わった。


 
(45)彼らの最後の夜 Leur dernière nuit
 1953年 黒白(スタンダード)98分
〔監督・脚本〕ジョルジュ・ラコンブ
〔原作〕ジャック・コンスタン〔脚本・台詞〕ジャック・セルエ
〔撮影〕フィリップ・アゴスティーニ〔美術〕レオン・バルサック〔音楽〕フランシス・ロペ
〔ギャバンの役〕図書館員、実はギャングの首領ピエール・リュファン、別名フェルナン
〔共演〕マドレーヌ・ロバンソン、ロベール・ダルバン、ギャビー・バッセ
〔封切〕1953年10月23日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕


 
(46)ラインの処女号 La Vierge du Rhin
 1953年 黒白(スタンダード)85分
〔監督〕ジル・グランジエ
〔原作〕ピエール・ノール〔脚本〕ジャック・シグール
〔撮影〕マルク・フォサール〔美術〕ジャック・コロンビエ〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕船会社社長ジャック・ルドリュ、別名マルティン・シュミット
〔共演〕ナディア・グレイ、エリナ・ラブールデット、アルベール・ディナン
〔封切〕1953年11月13日(仏)
〔日本公開〕なし(テレビ放映あり)
〔ソフト〕なし
〔注〕ギャバンがジル・グランジエ監督組んだ最初の映画。戦時中ドイツに失踪していた男が偽名を使ってフランスへ戻り、船会社を経営していたが、再婚した妻に再会するという話。


 
(47)現金に手を出すな Touchez pas au grisbi
 1953年 黒白(スタンダード)94分
〔監督・脚本〕ジャック・ベッケル
〔原作・脚本・台詞〕アルベール・シムナン〔脚本〕モーリス・グリッフ
〔撮影〕ピエール・モンタゼル〔美術〕ジャン・ドーボンヌ〔音楽〕ジャン・ヴィーネル
〔ギャバンの役〕ギャング通称マックス
〔共演〕ルネ・ダリー、ジャンヌ・モロー、ドラ・ドール、リノ・ヴァンチュラ、ポール・フランクール、ギャビー・バッセ、マリリン・ビュファード、リノ・ポリニ、ミシェル・ジュルダン、ドニーズ・クレール、ポール・ウトリー
〔封切〕1954年3月17日(仏)
〔日本公開〕1955年3月
〔ソフト〕DVD
〔注〕ジャック・ベッケル監督のフィルム・ノワールの傑作。ギャバンはマックスという呼び名のギャングで、初老の孤独な男の翳りを見せながらも魅力的に演じ、50歳で再び大スターとして評価されるようになった。マックスの長年の相棒で間抜けなギャングに扮したルネ・ダリーも持ち味を出して好演。ベッケル監督がスカウトした元プロレスラーのリノ・ヴァンチュラが悪役で初めて映画出演。愛人役の新進女優ジャンヌ・モローも魅力的だった。ギャング稼業から足を洗ったキャバレーの経営者(ポール・フランクール)の女房にはギャバンの最初の妻だったギャビー・バッセが扮しているが、これはギャバンがベッケル監督に推薦して実現したそうだ。

ギャバン出演映画リスト1954年~56年 Filmographie, 1954-56

2015-09-26 | ギャバン出演映画リスト
*目下編集中。注とコメントを書き加える予定。

 
(48)われら巴里っ子 L'Air de Paris
 1954年 黒白(スタンダード)110分
〔監督・脚本〕マルセル・カルネ
〔原作〕ジャック・ヴィオ〔脚本・台詞〕ジャック・シギュール
〔撮影〕ロジェ・ユベール〔美術〕ポール・ベルトラン〔音楽〕モーリス・ティリエ
〔ギャバンの役〕ボクシングのトレーナーのヴィクトル・ル・ガレック
〔共演〕アルレッティ、ローラン・ルサッフル、マリー・ダエム、マリア=ピア・カジリオ、ジャン・パレデス、フォルコ・ルリ、シモーヌ・パリス
〔封切〕1954年9月24日(仏)
〔日本公開〕1956年1月
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕パリの中央市場にボクシング・ジムを開いた元ボクサー(ギャバン)が、スカウトした有望な若者に、自分の果たせなかったチャンピオンになる夢を託し、付きっきりで指導してリングに立たせるという話。マルセル・カルネ監督にしては珍しい内容の娯楽性に富んだ作品だが、ハリウッド製のボクサー物とは違い、人間味の溢れた映画に仕上がっていた。ギャバンの女房役をやったアルレッティが実に良く、あきれながらも夫を支える姿が印象に残る。ボクサー役のローラン・ルサッフルは、カルネ監督が寵愛していた若手男優であるが、主役を演じるだけの魅力がなく、囲われ者の豪奢な女とのラブシーンが長すぎて退屈。ギャバンとアルレッティの夫婦関係を軸にしたまま、映画を展開すべきだったと思う。ギャバンは1954年に公開された『現金に手を出すな』とこの映画で、同年のヴェネチア映画祭で主演男優賞を受賞した。



(49)ナポレオン Napoléon
 1954年 カラー(スタンダード)182分
〔監督・脚本・台詞〕サッシャ・ギトリ
〔撮影〕ピエール・モンタゼル、ロジェ・ドルモワ〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕ジャン・フランセ
〔ギャバンの役〕ランヌ元帥
〔共演〕レーモン・ベルグラン(主役)、ダニエル・ジェラン、ミシェール・モルガン、ダニエル・ダリュー、サッシャ・ギトリ、イヴ・モンタン、オーソン・ウェルズ、ピエール・ブラッスール、エリッヒ・フォン・シュトロハイム、ジャン・マレー、ミシュリーヌ・プレール、セルジュ・レジアーニ、ダニー・ロバン、マリア・シェル
〔封切〕1955年3月25日(仏)
〔日本公開〕1956年6月
〔ソフト〕なし
〔注〕演劇・映画界の大物サッシャ・ギトリが、フランス映画界のオールスターを出演させ、自ら脚本を書き監督した歴史物の大作。仏・伊合作。ギャバンは死の床についた元帥役でワン・シーンしか登場しないが、日本公開の国際版ではギャバンのシーンはカットされていた。


 
(50)フレンチ・カンカン French Cancan
 1954年 カラー(スタンダード)108分
〔監督・脚本・台詞〕ジャン・ルノワール
〔原案〕アンドレ=ポール・アントワーヌ〔撮影〕ミシェル・ケルベル〔美術〕マックス・ドゥーイ〔音楽〕ジョルジュ・ヴァン・パリス
〔ギャバンの役〕興行師アンリ・ダングラール
〔共演〕フランソワーズ・アルヌール、マリア・フェリックス、ジアンニ・エスポジト、フィリップ・クレー、ジャン=ロジェ・コーシモン、フランコ・パストリオ、ドラ・ドール、ガストン・モド、ヴァレンティンヌ・テシエ、ミシェル・ピコリ、ガストン・ガバロッシュ、リディア・ジョンソン
〔出演歌手〕パタシュー、アンドレ・クレヴォー、ジャン・レイモン、エディット・ピアフ
〔封切〕1954年12月27日(伊)、1955年4月27日(仏) 
〔日本公開〕1955年8月
〔ソフト〕DVD
〔注〕大戦中に米国へ渡ったジャン・ルノワール監督が戦後久しぶりに帰仏して作った娯楽ミュージカル映画。パリの興行師(ギャバン)がモンマルトルにムーラン・ルージュを開店し、ダンスのうまい洗濯屋の娘(アルヌール)を仕込んでフレンチ・カンカンを上演するまでのいきさつがメイン・ストーリー。ベル・エポックのパリ風俗が色鮮やかに、ロマンチックな男女の人間模様が明るく楽しく、描かれている。圧巻はラストの熱気あふれるフレンチ・カンカン。ギャバンにとっては初めてのカラー映画。フランス・イタリア合作で、老若男女数多くのフランス俳優のほかにイタリア俳優も何人か出演している。


 
(51)その顔(つら)をかせ Le Port du désir
 1954年 黒白(スタンダード)94分
〔監督・脚本〕エドモン・T・グレヴィル
〔脚本・台詞〕ジャック・ヴィオ
〔撮影〕アンリ・アルカン〔美術〕ルシアン・アグトラン〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕船長ル・ケヴィック
〔共演〕アンリ・ヴィダル、アンドレ・ドバール、ギャビー・バッセ、エディット・ジョルジュ、ジャン=ロジェ・コーシモン
〔封切〕1955年4月15日(仏)
〔日本公開〕1956年1月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕原題は「欲望の港」。邦題は映画の内容にまったくそぐわず、意味不明。マルセイユ港内に沈没した船に関わる犯罪事件の話で、サスペンス仕立てのメロドラマなのだが、お粗末な脚本を二流監督が撮ったため、この頃のギャバン主演作では最低レベルの映画だった。ギャバンはサルベージ船の船長に扮したが、見せどころもないままに終わっていた。ギャバンが潜水服を着るところと、ギャビー・バッセとの共演場面が目を引くだけ。


 
(52)筋金(やき)を入れろ Razzia sur la chnouf
 1955年 黒白(スタンダード)105分
〔監督・脚本〕アンリ・ドコワン
〔原作・脚本・台詞〕オーギュスト・ル・ブルトン〔脚本〕モーリス・グリフ
〔撮影〕ピエール・モンタゼル〔美術〕レイモン・ガブティ〔音楽〕マルク・ランジャン
〔ギャバンの役〕アンリ・フェレ(謎の麻薬密輸業者)
〔共演〕マガリ・ノエル、リノ・ヴァンチュラ、アルベール・レミ、マルセル・ダリオ、ミシェル・ジュルダン、リラ・ケドロヴァ、ポール・フランクール
〔封切〕1955年4月17日(仏)
〔日本公開〕1955年8月
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕フィルム・ノワールの佳作。原題は「ヤクのガサ入れ」。ニューヨークから帰仏した大物の麻薬密輸業者(ギャバン)がパリの闇の組織に加わるが、真の目的は麻薬の密売ではなかった。ラストに彼の正体が明かされる。パリの暗黒街にある地下賭博場、秘密クラブなどが、そこに出没する怪しげな人々とともにドキュメンタリー・タッチで描かれる。ギャバンの愛人役のマガリ・ノエルが健気で美しい。ギャバンとダリオの久しぶりの共演も見どころ。リノ・ヴァンチュラ、ミシェル・ジュルダン、ポール・フランクールは『現金に手を出すな』に出演した面々。麻薬中毒の娼婦をやったリラ・ケドロヴァが強烈な印象で、目に焼きつく。彼女は同年製作の『ヘッドライト』では売春宿の女主人だった。


 
(53)首輪のない犬 Chiens perdus sans collier
 1955年 黒白(スタンダード)93分
〔監督〕ジャン・ドラノワ
〔原作〕ジベール・セブロン〔脚本・台詞〕フランソワ・ボワイエ、ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト
〔撮影〕ピエール・モンタゼル〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕ポール・ミスラキ
〔ギャバンの役〕判事ジュリアン・ラミ
〔共演〕ロベール・ダルバン、ジャン=ジャック・デルボ、アンヌ・ドア、ジャーヌ・マルカン、ジャン・ディド、ジミー・ユルバン、ドラ・ドール、アンヌ・ドア
〔封切〕1955年10月4日(仏)
〔日本公開〕1956年9月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕非行少年救済の仕事に全力を尽くす少年裁判所の判事にギャバンが扮する。無名の少年少女が多数出演。


 
(54)地獄の高速道路(ハイウェイ) Gas-oil
 1955年 黒白(スタンダード)89分
〔監督〕ジル・グランジエ
〔原作〕ジョルジュ・ベイル〔脚本〕ミシェル・オーディアール(台詞)、ジャック・マルスルー
〔撮影〕ピエール・モンタゼル〔美術〕ジャック・コロンビエ〔音楽〕アンリ・クローラ
〔ギャバンの役〕トラックの運転手ジャン・シャップ
〔共演〕ジャンヌ・モロー、ジネット・ルクレール、ジャック・ルクレルク、アンリ・クレミュー
〔封切〕1955年10月18日(仏)
〔日本公開〕1959年7月
〔ソフト〕DVD
〔注〕脚本家のミシェル・オーディアールが初めてギャバンの映画の台詞を担当した。ギャバンとジャンヌ・モローとの共演は2度目だが、この映画でモローは小学校の教師でギャバンの婚約者という重要な役を務めた。


 
(55)ヘッドライト Des gens sans importance
 1955年 黒白(スタンダード)101分
〔監督・脚本〕アンリ・ヴェルヌイユ
〔原作〕セルジュ・グルサール〔脚本・台詞〕フランソワ・ボワイエ
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ロベール・クラヴェル〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕トラック運転手ジャン・ヴィアール
〔共演〕フランソワーズ・アルヌール、ピエール・モンディ、ポール・フランクール、イヴェット・エティエヴァン、ダニー・カレル、リラ・ケドロヴァ
〔封切〕1956年2月15日(仏)
〔日本公開〕1956年10月
〔ソフト〕DVD
〔注〕原題は『名もなき人々』。ギャバンが初めて新進気鋭の監督アンリ・ヴェルヌイユの映画に出演した。アルヌールが『フレンチ・カンカン』に続いてギャバンの相手役。この映画は、長距離運送のトラック運転手と国道にあるドライヴインの女給との悲恋を描いた名作。ギャバンの戦後の代表作の一本である。この映画でのアルヌールも戦後最高の相手役女優だったと言えるだろ。ルイ・パージュの撮影による陰影深い黒白映像が瞼に残り、作曲家ジョセフ・コスマの物悲しい音楽が胸に滲みわたる。


 
(56)殺意の瞬間 Voici le temps des assassins
 1956年 黒白(スタンダード)113分
〔監督・脚本〕ジュリアン・デュヴィヴィエ
〔脚本〕モーリス・ベッシー、シャルル・ドラ、ピエール=アリスティド・ブレアル
〔撮影〕アルマン・ティアール〔美術〕ロベール・ギィ〔音楽〕ジャン・ヴィーネル
〔ギャバンの役〕レストランの主人・シェフ=アンドレ・シャトラン
〔共演〕ダニエル・ドロルム、ジェラール・ブラン、リュシエンヌ・ボガエル、ガブリエル・フォンタン
〔封切〕1956年4月11日(仏)
〔日本公開〕1956年8月
〔ソフト〕DVD
〔注〕クリックするとブログ記事へ


 
(57)逆上 Le Sang à la tête
 1956年 黒白(スタンダード)83分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕アンドレ・トーマ〔美術〕ロベール・ブラドゥー〔音楽〕アンリ・ヴェルダン
〔ギャバンの役〕実業家フランソワ・カルディノー
〔共演〕ポール・フランクール、ルネ・フォール、ポール・フランクール、モニク・メリナン
〔封切〕1956年8月10日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕


 
(58)パリ横断 La Traversée de Paris
 1956年 黒白(スタンダード)80分
〔監督〕クロード・オータン=ララ
〔原作〕マルセル・エメ〔脚本〕ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト
〔撮影〕ジャック・ナトー〔美術〕マックス・ドゥーイ〔音楽〕
〔ギャバンの役〕画家グランジル
〔共演〕ブールヴィル、ルイ・ド・フュネス、ジャネット・バッティ、アヌーク・フェルジャック
〔封切〕1956年10月26日(仏)
〔日本公開〕なし(JSBでテレビ放映)
〔ソフト〕なし(仏版DVDあり)
〔注〕ドイツ占領下のパリを舞台にしたレジスタンスの話。失業中のタクシー運転手がある画家と出会って一緒にヤミ屋をやるが、画家はパリ市内の「横断」は別の目的があると打ち明ける。フランスで観客動員数489万人の大ヒット。


 
(59)罪と罰 Crime et Châtiment
 1956年 黒白(スタンダード)107分
〔監督〕ジョルジュ・ランパン
〔原作〕ドストエフスキー〔脚本〕シャルル・スパーク
〔撮影〕クロード・ルノワール〔美術〕ポール・ベルトラン〔音楽〕モーリス・ティリエ
〔ギャバンの役〕警部ガレ
〔共演〕ロベール・オッセン(主役)、マリナ・ヴラディ、ベルナール・ブリエ、ウラ・ヤコブソン、ギャビー・モルレー、ジュリアン・カレット、ガブリエル・フォンタン、ローラン・ルサッフル、リノ・ヴァンチュラ
〔封切〕1956年12月4日(仏)
〔日本公開〕1957年4月
〔ソフト〕なし
〔注〕


 
(60)ローラン医師の患者 Le Cas du docteur Laurent
 1956年 黒白(スタンダード)110分
〔監督・脚本〕ジャン=ポール・ル・シャノワ
〔脚本・台詞〕ルネ・バルジャヴェル
〔撮影〕アンリ・アルカン〔美術〕セルジュ・ピメノフ〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕医師ローラン
〔共演〕ニコール・クールセル、シルヴィア・モンフォール、アンリ・アリウス
〔封切〕1957年4月3日(仏)
〔日本公開〕なし((NHK衛星第2で『医師』のタイトルでテレビ放映)
〔ソフト〕なし
〔注〕

ギャバン出演映画リスト1957年~60年 Filmographie, 1957-60

2015-09-24 | ギャバン出演映画リスト
*現在編集中です。注とコメントを書き加えていく予定。

 
(61)赤い灯をつけるな Le rouge est mis
 1957年 黒白85分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔原作・脚本〕オーギュスト・ル・ブルトン〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ロベール・クラヴェル〔音楽〕ドニス・キーフェル
〔ギャバンの役名〕ギャングの首領ルイ・ベルタン
〔共演〕リノ・ヴァンチュラ、アニー・ジラルド、マルセル・ボズッフィ、ポール・フランクール、ギャビー・バッセ、ジーナ・ニクロ
〔封切〕1957年4月12日(仏)
〔日本公開〕1957年7月
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕ギャバンがアニー・ジラルドと初共演。ギャバンの弟の恋人役に扮したジラルドは、男を手玉に取る知的な悪女。リノ・ヴァンチュラが辣腕警部役。監督のジル・グランジエは、ギャバンの映画を12本も手掛けた、いわばギャバンのお抱え監督。何でも屋で独特な作家性がない職人監督だったが、この映画は秀作の部類で、ラストが良い。また、脚本家のミシェル・オーディアールは、ギャバンの座付き作者で、ギャバンの台詞をずっと書いた人。


 
(62)殺人鬼に罠をかけろ Maigret tend un piège
 1957年 黒白119分
〔監督・脚本〕ジャン・ドラノワ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本〕ミシェル・オーディアール(台詞)、ロドルフ=モーリス・アルロー
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕ポール・ミスラキ
〔ギャバンの役〕警視ジュール・メグレ
〔共演〕アニー・ジラルド、ジャン・ドサイ、リュシエンヌ・ボガエル、オリヴィエ・ウスノ、ポーレット・デュボスト、リノ・ヴァンチュラ、ジェラール・セティ
〔封切〕1958年1月29日(仏)
〔日本公開〕1958年7月
〔ソフト〕DVD
〔注〕ギャバンのメグレ警視シリーズ第1作。ブログ記事あり。


 
(63)レ・ミゼラブル Les Misérables
 1957年 カラー(シネスコ)180分(前篇85分、後篇95分)
〔監督・脚本〕ジャン=ポール・ル・シャノワ
〔原作〕ヴィクトール・ユーゴ―〔脚本・台詞〕ルネ・バルジャヴル
〔撮影〕ジャック・ナトー〔美術〕セルジュ・ピメノフ〔音楽〕ジョルジュ・ヴァン・パリス
〔ギャバンの役〕ジャン・ヴァルジャン
〔共演〕ダニエル・ドロルム、ベルナール・ブリエ、ブールヴィル、フェルナン・ルドゥー、ジャンニ・エスポジト、シルヴィア・モンフォール、ベアトリス・アルタリバ、セルジュ・レジアーニ
〔封切〕1958年3月12日(仏)
〔日本公開〕1959年6月
〔ソフト〕DVD、ビデオ
〔注〕撮影は57年4月から半年以上を要した。仏・伊・東独合作。オリジナル版は242分の大作だったが、ビデオ・DVDでは180分の短縮版になっている。1958年封切後の観客動員数は994万人という驚異的な数字を記録した(同年の興行成績第1位はハリウッド映画『十戒』で、『レ・ミゼラブル』は第2位)。ギャバンの出演映画で戦前戦後を通じ、最多の観客を動員した。


 
(64)夜の放蕩者 Le Désordre et la Nuit
 1958年 黒白90分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔原作・脚本〕ジャック・ロベール〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ロベール・ブラドゥー〔音楽〕ジャン・ヤトヴ
〔ギャバンの役〕刑事ジョルジュ・ヴァロワ
〔共演〕ナージャ・ティラー、ダニエル・ダリュー、ポール・フランクール、ヘイゼル・スコット、フランソワ・ショメット
〔封切〕1958年5月14日(仏)
〔日本公開〕1958年8月
〔ソフト〕ビデオ
〔注〕ギャバンの相手役はオーストリア出身の若手女優ナージャ・ティラー。ギャバンお気に入りのスター女優ダニエル・ダリューが殺人事件に関わる薬剤師の役で、刑事ギャバンと渡り合う。パリのバー、キャバレー、ホテルなどの雰囲気描写は巧みだが、犯人追跡のスリルと面白みがなく、緊迫感の欠ける映画になっていた。主役のギャバンだけでなく登場人物の設定に疑問を感じた。


 
(65)可愛い悪魔 En cas de malheur
 1958年 黒白(ビスタ)122分
〔監督・脚本〕クロード・オータン=ララ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本〕ピエール・ボスト、ジャン・オーランシュ
〔撮影〕ジャック・ナトー〔美術〕マックス・ドゥーイ〔音楽〕ルネ・クロエレック
〔ギャバンの役〕弁護士アンドレ・ゴビロ
〔共演〕ブリジット・バルドー、エドウィージュ・フイエール、ニコール・ベルジュ、フランコ・インテルレンギ、ガブリエル・フォンタン
〔封切〕1958年9月17日(仏)
〔日本公開〕1959年1月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕原題は「不幸のときに」。シムノンの小説が原作だが、メグレ警視が活躍する探偵小説とは違い、フランス版「痴人の愛」といった話。中年男は著名な弁護士で、愛人は強盗未遂の不良少女。これをギャバンとブリジット・バルドーが演じた。当時バルドーはスター女優の道を驀進中で、ギャバンとの共演が話題をまいた。監督は文芸映画の得意なオータン=ララだったが、出来上がった映画は期待外れで、安直な三角関係のメロドラマにすぎなかった。ギャバンが若い女にのめり込むといった映画は50年代に数本あるが、なかでもこの映画は失敗作で、これに懲りたギャバンは、以後若い女を恋人にする役を一切演じることはなかった。


 
(66)大家族 Les Grandes Familles
 1958年 黒白(ビスタ)92分
〔監督・脚本〕ドニス・ド・ラ・パトリエール
〔原作〕モーリス・ドリュオン〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕モーリス・ティリエ
〔ギャバンの役〕ブルジョワ階級の家長ノエル・シュードレル
〔共演〕ピエール・ブラッスール、ベルナール・ブリエ、アニー・デュコー、ジャン・ドサイ、フランソワーズ・クリストフ
〔封切〕1958年11月19日(仏)
〔日本公開〕なし(NHK衛星第2でテレビ放映)
〔ソフト〕You Tube
〔注〕



 
(67)浮浪者アルシメード Archimède le clochard
 1958年 黒白79分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔原案〕ジャン・モンコルジェ(ジャン・ギャバンの本名)
〔脚本〕アルベール・ヴァランタン、ミシェル・オーディアール(台詞)
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ジャック・コロンビエ〔音楽〕ジャン・プロドロミデ
〔ギャバンの役〕浮浪者ジョゼフ・ユーグ・ギローム・ブティエ=ブランヴィル、通称アルシメード
〔共演〕ダリー・コウル、ベルナール・ブリエ、ガストン・ウヴラール、ヴィクトル・ラヌー、ドラ・ドール、ギャビー・バッセ、ジュリアン・カレット
〔封切〕1959年4月8日(仏)
〔日本公開〕なし(NHK衛星第2でテレビ放映)
〔ソフト〕You Tube
〔注〕ギャバン自身が原案を出して、脚本を書かせた映画。ギャバンがパリで生活する住所不定の老浮浪者をコミカルに演じた。名前のアルシメードというのはアルキメデスのフランス語読み。この主人公は、ギリシャの犬儒学派の哲学者ディオオゲネスをイメージしたものだろう。飲み屋で大暴れして刑務所に入ったり、取り壊し前のビルに住み着いて追い払われたり、迷い犬をブルジョワの家に届けて豪華なパーティに加わったり、あちこち歩き回るこの不思議な男がいろいろな人たちと出会い、繰り広げる人間喜劇である。この映画には、ギャバンの昔からの仲間の俳優が総出演して、次々にギャバンとからんでいくが、犬を何匹も連れた浮浪者ジュリアン・カレットとの掛け合いは抱腹もので、とくに面白かった。若手の相棒に扮したダリ―・コウルは当時売り出し中の喜劇俳優で、飄々とした特異な演技を見せていた。


 
(68)サン・フィアクル殺人事件 Maigret et l'affaire Saint-Fiacre
 1959年 黒白(ビスタ)97分
〔監督・脚本〕ジャン・ドラノワ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本〕ラドルフ=モーリス・アルロー、ミシェル・オーディアール(台詞)
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕ジャン・プロドロミデ
〔ギャバンの役〕警視ジュール・メグレ
〔共演〕ヴァランティーヌ・テシエ、ミシェル・オークレール、ロベール・イルシュ、ポール・フランクール、カミユ・ゲラン
〔封切〕1959年9月2日(仏)
〔日本公開〕1986年4月
〔ソフト〕DVD
〔注〕ギャバンのメグレ警視シリーズの第2作。


 
(69)プレリー街 Rue des prairies
 1959年 黒白86分
〔監督・脚本〕ドニス・ド・ラ・パトリエール
〔原作〕ルネ・ルフェーヴル〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕ジョルジュ・ヴァン・パリス
〔ギャバンの役〕独身労働者アンリ・ヌヴォー
〔共演〕マリー・ジョゼ・ナット、ルネ・フォール、ロジェ・デュマ、ポール・フランクール
〔封切〕1959年10月21日(仏)
〔日本公開〕なし(NHK衛星第2で『子供たち』のタイトルで放映)
〔ソフト〕You Tube
〔注〕


 
(70)ギャンブルの王様 Le Baron de l'écluse
 1960年 黒白95分
〔監督・脚本〕ジャン・ドラノワ
〔原作〕ジョルジュ・シムノン〔脚本〕モーリス・ドリュオン
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ルネ・ルヌー〔音楽〕ジャン・プロドロミデ
〔ギャバンの役〕男爵ジェローム・ナポレオン・アントワーヌ
ミシュリーヌ・プレール、ジャン・ドサイ、ジャン=ピエール・ジョベール
〔封切〕1960年4月13日(仏)
〔日本公開〕1963年4月
〔ソフト〕DVD
〔注〕


 
(71)古つわ者たち Les Vieux de la vieille
 1960年 黒白(ビスタ)86分
〔監督・脚本〕ジル・グランジエ
〔原作・脚本〕ルネ・ファレ〔脚本・台詞〕ミシェル・オーディアール
〔撮影〕ルイ・パージュ〔美術〕ロベール・ブラドゥー〔音楽〕フランシス・ルマルク、ポール・デュラン
〔ギャバンの役〕自転車屋ジャン=マリー・ペジャ
〔共演〕ピエール・フレネ、ノエル=ノエル、モナ・ゴヤ、イヴェット・エティエヴァン
〔封切〕1960年9月2日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕なし(仏版DVDあり)
〔注〕ギャバンがピエール・フレネと『大いなる幻影』以来の共演。これがフレネの最後の出演作になった。名優ノエル=ノエルとの共演も話題になった。