(24)大いなる幻影 La Grande Illusion
1937年 黒白(スタンダード)
〔監督・脚本〕ジャン・ルノワール
〔脚本・台詞〕シャルル・スパーク
〔撮影〕クリスチャン・マトラ〔美術〕ユジェーヌ・ルリエ〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕フランス軍中尉マレシャル
〔共演〕ピエール・フレネ、マルセル・ダリオ、エリック・フォン・シュトロハイム、ディタ・パルロ、ジュリアン・カレット、ガストン・モド
〔封切〕1937年6月9日(仏)、1938年9月18日(米)
〔日本公開〕1949年5月
〔ソフト〕DVD
〔注〕第一次大戦中のドイツの捕虜収容所で脱走をはかるフランス軍兵士たちの物語。彼らの団結心と祖国愛、貴族出身のフランス人将校とドイツ人将校同士の共感、ユダヤ系ブルジョワ・フランス人への暖かい眼差し、フランス人脱走兵(ギャバン)とドイツ人の戦争寡婦との愛情の交流など、ルノワール監督が人間愛を高らかに謳い上げた傑作。RAC(レアリザシオン・ダール・シネマトグラフィック)製作。
(25)メッセンジャー Le Messager
1937年 黒白(スタンダード)98分
〔監督〕レイモン・ルロー
〔原作・台詞〕アンリ・ベルンスタン〔脚本・台詞〕マルセル・アシャール
〔撮影〕ジュール・クリュージェ〔美術〕ユジェーヌ・ルリエ、ジャン・ラフィット〔音楽〕ジョルジュ・オーリック
〔ギャバンの役〕ニコラ・ダンジュ、通称ニック
〔共演〕ギャビー・モルレー、ジャン=ピエール・オーモン、ベティ・ロウエ、ピエール・アルコヴェール
〔封切〕1937年9月3日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕You Tube
〔注〕アルバトロス・フィルム製作。裕福な妻の会社で支配人をやっていた男が秘書と恋愛し、妻と地位を捨て、アフリカへ行く。しかし、病気になって帰国すると、妻と彼の助手だった若い男とが深い仲になっていた。
(26)愛慾 Gueule d'amour
1937年 黒白(スタンダード)90分
〔監督・脚本〕ジャン・グレミヨン
〔原作〕アンドレ・ブークレール〔脚本・台詞〕シャルル・スパーク
〔撮影〕ギュンター・リトー〔美術〕ヘルマン・アスムス、マックス・メラン〔音楽〕ロタール・ブリューネ
〔ギャバンの役〕元フランス軍兵士ルシアン・ブールラシュ、通称「口説き魔」
〔共演〕ミレーユ・バラン、ルネ・ルフェーヴル、マルグリット・ドゥヴァル、ジャーヌ・マルカン、ピエール・エシュパール
〔封切〕1937年9月24日(仏)
〔日本公開〕1948年8月
〔ソフト〕なし(フランス版DVDあり)
〔注〕ウーファ製作。『望郷』でペペ・ル・モコのギャバンを恋のとりこにして惑わせたギャビー役のミレーユ・バランが再び淫乱なファム・ファタール(運命の女)に扮し、ギャバンと共演した。原題は「口説き魔」(ギャバン扮する主人公の通称)。ギャバンはバランのために振り回されるが、バランがギャバンの親友をたぶらかそうとしているのを知ると……。
(27)霧の波止場 Le Quai des brumes
1938年 黒白(スタンダード)91分
〔監督〕マルセル・カルネ
〔原作〕ピエール・マコーラン〔脚本〕ジャック・プレヴェール
〔撮影監督〕オイゲン・シュフタン〔撮影技師〕ルイ・パージュ、マルク・フォサール、ピエエール・アルカン〔美術〕アレクサンドル・トローネル〔音楽〕モーリス・ジョベール
〔ギャバンの役〕脱走兵ジャン
〔共演〕ミシェール・モルガン、ミシェル・シモン、ピエール・ブラッスール、エモス、ロベール・ル・ヴィガン、デルモン、ルネ・ジェナン、マルセル・ペレ
〔封切〕1938年5月18日(仏)
〔日本公開〕1949年12月
〔ソフト〕DVD
〔注〕グレゴール・ラビノヴィッチとシネ・アリアンヌ製作。ブログ記事あり。
(28)獣人 La Bête humaine
1938年 黒白(スタンダード)100分
〔監督・脚本・台詞〕ジャン・ルノワール
〔原作〕エミール・ゾラ〔撮影監督〕クルト・クーラン〔撮影技師〕クロード・ルノワール〔美術〕ユジェーヌ・ルリエ〔音楽〕ジョセフ・コスマ
〔ギャバンの役〕鉄道機関士ジャック・ランティエ
〔共演〕シモーヌ・シモン、フェルナン・ルドゥー、ジュリアン・カレット、ブランシェット・ブルノワ、シャルロット・クラシス、ジャン・ルノワール
〔封切〕1938年12月23日(仏)、1940年2月19日(米)
〔日本公開〕1950年7月
〔ソフト〕DVD、ビデオ
〔注〕パリ・フィルム・プロダクション製作。19世紀フランス自然主義の作家ゾラの原作をジャン・ルノワールが脚色・監督した作品。ギャバンは発作的に凶暴になる遺伝性の病気を持つ鉄道機関士の役で、駅の助役の若妻(シモン)に魅せられ、悲劇への道をたどる。呪われた運命に翻弄される人間を描いた映画で、ルノワール監督作品の中では最も暗い。ギャバンは少年の頃、鉄道機関士になることを夢見ていたが、それが映画の役で実現した。
(29)珊瑚礁 Le Récif de corail
1938年 黒白(スタンダード)95分
〔監督〕モーリス・グレッツェ
〔原作〕ジャン・マルテ〔脚本〕シャルル・スパーク
〔撮影〕ジュール・クリュージェ〔美術〕アントン・ウエーバー〔音楽〕アンリ・トマシ
〔ギャバンの役〕トロット・ルナール
〔共演〕ミシェール・モルガン、ピエール・ルノワール、ジナ・マネス、サテュルナン・ファブル
〔封切〕1939年3月1日(仏)
〔日本公開〕1940年10月
〔ソフト〕You Tube
〔注〕ウーファ製作。ずっと消失していたフィルムが2002年ベルグラードで発見され、フランスへ里帰りした。冒険恋愛映画で、オーストラリアと南海の孤島を舞台に、ギャバンとミシェール・モルガンの出会いと熱愛と逃避行の話。喧嘩の果てやくざを殺してしまったギャバンは、例のごとく刑事に追われる逃亡者である。メキシコ行きの密輸船、ジャングル、島の土着民などが出てくるが、ギャバンとモルガンの場面以外は見どころのない凡作。
(30)陽は昇る Le jour se lève
1939年 黒白(スタンダード)87分
〔監督〕マルセル・カルネ
〔脚本〕ジャック・ヴィオ、ジャック・プレヴェール(台詞)
〔撮影〕クルト・クーラン、アンドレ・バック、フィリップ・アゴスティーニ、アルベール・ヴィギエ〔美術〕アレクサンドル・トローネル〔音楽〕モーリス・ジョベール
〔ギャバンの役〕労働者フランソワ
〔共演〕ジャクリーヌ・ローラン、ジュール・ベリー、アルレッティ、アルチュール・ドゥヴェール、ルネ・ジェナン
〔封切〕1939年6月17日(仏)
〔日本公開〕なし
〔ソフト〕DVD
〔注〕シグマ製作。ラスト・シーンの直前から始まり、事件の発端から次々に回想していくといった構成。カルネ監督によると、こうした大胆な回想形式はフランス映画では初めてだったという。アパートの自室に立てこもった殺人犯ギャバンの心理描写が際立つ。ギャバンに撃たれる憎まれ役に扮したジュール・ベリーは個性の強い舞台俳優であるが、彼の演技にはギャバンも感服したそうだ。アルレッティは、カルネが助監督を務めた『ミモザ館』(ジャック・フェデール監督)でカルネと知り合い、この映画に出演。この後、カルネ監督作品『悪魔が夜来る』『天井桟敷の人々』で重要な役を演じることになる。ギャバンとアルレッティはミュージック・ホールの芸人時代から親しかったようだが、映画で共演するのは初めて。美術デザイナーのトローネルが作ったセット(アパートの建物など)が見もの。