のどかな山陰にあって忘れられない人工風景がある。それは製紙工場だ。子供の頃は日本パルプ、今は王子製紙の工場だ。昭和27年創業だから生まれた時から存在していた。日野川河口から2km程上流の東側に位置し、夜でも操業し暗い闇の中に明るく照らされた煙突などが見えていた。
工場のある日吉津村は周りを米子市に取り囲まれているが、決して合併はしない。原発と同じで様々な恩恵が工場から与えられているようだ。
昔は風向きによっては製紙工場特有の匂いに悩まされたが、最近では防臭技術が進んで不快な匂いは感じない。
列車で帰省しても、車で帰省しても、この工場が遠くに見えてくると、帰省の実感が湧き上がったものだ。
大山が見えても同じ実感は湧き上がったが、夜や曇りや雨の時には山は見えない。しかし、この製紙工場は昼でも夜でもはっきり見える。故郷のシンボルとでも言える存在となっている。
この度写真を撮ってみて、整然と緻密に建てられた機能美のようなものを感じてしまった。同時に昭和的な風景がまだここにあるような気がする。
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