佐賀県佐賀市の佐賀市交通局のLR系エルガミオです。
映像では幅広で長く見えるのでエルガかと思いましたが、
エルガのLV系のフロントショートオーバーハング車は設定が無い筈なので可笑しいな?と思って局番825でマニアの頁を検索したらエルガミオでした。ナンバープレートの一連番号の『836』も一致して居ます。
マニアの頁
此処では佐賀市交通局の名物運転手を紹介して居ます。
車内アナウンスで「休み明け1日目は怠いかも知れませんが夫成に頑張って下さい」等と言う、ユニークな人です。
《本文》
佐賀県佐賀市を走る佐賀市営バス。その運転手の中に、乗客に気持ちよく乗り降りしてもらいたいと心を配り続ける68歳の男性がいます。優しい語り口でハンドルを握る1人の男性運転手を取材しました。
【佐賀市のバス運転手 大切にするのは乗客への心配り】
「時に元禄十五年十二月十四日、江戸の夜風をふるわせて、響くは山鹿流儀の陣太鼓、しかも一打ち二打ち三流れ…(♪三波春夫『俵星玄蕃』)。これをお客さん3人からのリクエストを受けて車内で歌ったら、拍手喝采でした」
佐賀市営バスの運転手、時盛二三男さん(ときもり・ふみお)68歳です。
乗客への心配りを大切に乗務しているといいます。
(佐賀市営バス 時盛二三男さん)
「パフォーマンスでも何でもないです。15年間手作業でバスの清掃をやっています。バスはボロですから、そこまではきれいにならないんですけどね」
時盛さんが思いを込めるのが“車内アナウンス”です。
優しい言葉で乗客に語りかけます。
(佐賀市営バス 時盛二三男さん)
「うしろ寒うなかですか?大丈夫ですか?弱くしか(暖房を)入れていませんけど」
【“車内アナウンス”の背景には】
長年、飲食店で働いてきた時盛さん。
店をたたむことになり、50歳でバスの運転手に転職しました。
5年前からは、佐賀市営バスで働いています。
時盛さんの車内アナウンスに大きな影響を与えたのが両親だといいます。
(佐賀市営バス 時盛二三男さん)
「両親のことを考えて乗務するのが一番原則。父も母もバスにお世話になっていましたから。『きょうのバスの運転手はどうだった?』と聞いた時に『きょうは荷物を持ってくれんかった』。『きょうはどうだった?』『きょうは優しかったよ』。そういう話を聞いた時に、お客さんの気持ちに寄り添うことができる運転手になろうと決めました」
【NHK杯全国高校放送コンテストの頂点の題材に】
時盛さんの姿に心を動かされた高校生たちがいます。
去年7月のNHK杯全国高校放送コンテスト。
佐賀清和高校の放送部が、時盛さんの車内アナウンスを題材にしたラジオドキュメンタリーを作り、優勝しました。
ナレ)「佐賀清和高校放送部制作。『心をはこぶ』。ある月曜日の朝、多くの学生や社会人が乗っているバスの車内でも時盛さんのアナウンスが響きます」
時盛さん)「休み明けで体がだるいかもしれませんけども、今日1日それなりに頑張ってください。2日目3日目と上り調子になっていくでしょうから、今日はそれなりに頑張ってください」
放送部の生徒は、時盛さんの魅力について。
(佐賀清和高校2年 北島羽矢(きたじま・はや)さん)
「ただ乗客を運ぶだけじゃなくて、お客さんの心も一緒に運んでいる。時盛さんの仕事に対する情熱とか心遣いが、みんなに伝わったかなとうれしく思います」
【時盛さんに憧れて 進路を変えた若者も】
時盛さんの車内アナウンスに、心惹かれた若者はほかにも。
佐賀工業高校2年の松尾将弥(まつお・しょうや)さんです。
記者)「何しているの?」
松尾さん)「バスのアナウンスや走行音を録っています」
松尾さんは、5年前から通学時などに車内アナウンスを録音。
時盛さんの心のこもったアナウンスを何度も聞き直しました。
(佐賀工業高校2年 松尾将弥さん)
「語りかけるようなアナウンスというか。一方的じゃない。何か言葉のキャッチボールがあるように話されるところが他の運転手さんと違います。時盛さんは自分の人生を変えた人っていう感じですね」
松尾さんは時盛さんの姿を見て、高校卒業後は、バスの運転手になろうと決めました。
松尾さんについて、時盛さんは。
時盛さん)「これだけは言うとくぞ。おじさんを超えることはできん」
松尾さん)超えてみせます。
時盛さん)絶対、絶対に負けん。でもね、すごく楽しみは楽しみ。こういう人間と知り合ってね。自分の気持ちがまた盛り上がるというか、自分を認めてくれたたいね。それが一番うれしかね。それと清和高校の生徒さんが認めてくれて。何か人生のね、あと何十年生きられるか分からんけども。本当、幸せだなとおじさんは思う」
【安全第一で乗客に寄り添って “心ある運転士に”】
時盛さんが若い人たちに伝えたいこと。
安全運転はもちろん、乗客に気持ちよくバスを利用してもらえる“環境づくり”です。
乗客)「この前友達の家に行ったら、つららが下がってたんですよ。私子供のころを思い出して食べたんですよね。汚いから食べたらだめって言われたけど、もう飲み込んでた」
時盛さん)「昔はきれいだったですよね。今はよく見たら汚れが混じっとるですもんね」
乗客)「でも食べたい」
(佐賀市営バス 時盛二三男さん)
「案内と運転って私一対って考えているんです。運転がうまいだけじゃだめ、案内がうまいだけじゃだめ。その2つが一緒になって初めて、心ある運転手になれると思っていて、それを目指しています。あと何年バスに乗られるか分かりませんけど、もっともっと勉強してそういうふうになりたいと思います」
“心も運ぶ運転を目指して”
時盛さんのマイクからは、これからも優しい言葉が紡がれます。
「お気をつけて。ありがとうございました。ドア閉まります。それでは発車いたします」
【取材後記】
日本一に輝いた佐賀清和高校放送部制作のラジオドキュメンタリーを聴いてから、優しく語りかけるようにアナウンスする時盛さんの素顔に迫りたいとの思いが強まり、今回取材させていただきました。
佐賀市営バスを運行する佐賀市交通局によると、ここ数年のバスの利用者は、30年前の半数ほどに減っている状況にあるということですが、時盛さんは、乗客が多くても少なくても「お客さんの『ありがとう』の一言や笑顔が元気の源で、私の頑張れる栄養剤です」と目を細めていた姿がとても印象に残っています。
私も実際に乗ってみて「時盛さんの心のこもったアナウンスは、きっと地域の元気にもつながっていくはずだ」と思いました。
NHK公式サイト