社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

東野圭吾「殺人の門」

2008-02-21 21:24:38 | 趣味(読書)

東野圭吾「手紙」に引き続き、東野圭吾氏の書籍連続紹介です。

「手紙」と同じ年の初刊発行になっていますが、作品そのものの初掲載は「手紙」より早く、且つ掲載期間が完全にオーバーラップしているようです。「幻夜」「白夜行」と異なり、氏の作品の中では「手紙」に近い系統です。「手紙」では、主人公が耐えて耐えてとにかく耐えてラストが感動のストーリーでしたが、この物語は、一言で言うなら、主人公が友人から裏切られ続けて、最後にその背景と理由がわかった時に一線を越えると言う話ですが、途中で、最近でも問題になっているマルチ商法や詐欺商法等に引き込まれて行き、その騙す手口が具体的に且つ詳細に説明されており、ある意味ではなぜだまされるのかの一こまが理解できるような気がします。一方で、上述の主ストーリーを無視してこの社会犯罪・悪(詐欺商法)の部分だけを見ると、非常に現実的で、世の中にたくさん存在しそうな気がします。

確か昨日もTVで「化粧品販売のマルチ商法会社に業務停止3ヶ月処分がなされたニュースが流れていましたが、この手のうまい話(詐欺)になぜまだ引っ掛かる人がいるのかは、理解できませんが、この「殺人の門」にはマルチ商法の具体例(仕組みと騙し方)が紹介されていますので、大変参考になると思うのですが・・・。


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書籍名:「殺人の門」
発行所:株式会社角川書店
発 行:2003年(平成15年)9月5日初版発行
初 出:「KADOKAWAミステリ」
     2000年1月号~2003年4月号
定 価:1,800円+税

<ハードカバーの帯の紹介>
あなただって「あいつを殺したい・・・」と思ったことはあるはずだ

<要約>

田島和幸は、資産家で父親が歯医者という恵まれた家に生まれながら、祖母の死から一転して不幸になってゆく。両親の離婚、父親が女にだまされ、財産がなくなり、父親が消える。親戚のたらいまわしの中でヤット高校を卒業し、大手電機工場に勤めるが、倉持の誘いからマルチ商法に引き込まれ、その会社を首になる。更に倉持の紹介で金を売りつける詐欺会社に入るが、お年寄りを騙し続けるのが嫌になり、その会社をやめ、家具屋に転職する。何年か後再び、倉持が現れる。なんと前の詐欺会社で、騙した老人を助けていた上原由希子と結婚する為に、二人で田島の家具売り場に出現する。
二人は結婚後、由希子の高校の同級生関口美晴を田島に紹介し、結果二人は結婚するが、美晴を進めたのは倉持であり、且つ美晴は倉持の愛人で、浪費化だった。倉持と美晴の策略にはまり、大きな借金と共に離婚する事になる。お金の返済の為に、倉持の作った株の会社に入るが、株不況で会社が倒産し・・・。

この本のタイトル「殺人の門」についてですが、主人公田島和幸は小さいときから、死に関する興味と倉持への憎悪から、一回毒薬を使って倉持を殺そうとする。その後も上記の様に苦難に合うたびに、倉持に対する憎悪を抱くが、殺人を実行する気持ちまでは至らないが、ついに、祖母の死以降の不幸が全て倉持により仕組まれたものであった事を知った時に、既に植物人間となった倉持を殺す(殺人の門を超える)所から付けられていると思います。


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