社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

東野圭吾『探偵ガリレオ』

2008-09-28 15:09:17 | 趣味(読書)
今回も前回東野圭吾『嘘をもうひとつだけ』に引き続き東野圭吾氏の作品紹介である。今回の作品はフジテレビでも放送されていたので知っている方も多いと思う。氏の作品はTVや映画化される事が多いが、まだTV化や映画化されていない作品も多い。
さてこの作品は、若き天才物理学者湯川ガリレオと草薙の刑事仲間から呼ばれる)と同じ大学友人の刑事草薙の不可解現象(怪奇)殺人事件解決集である。

探偵ガリレオA.jpg書籍名:『探偵ガリレオ』
発行所:株式会社 文藝春秋
発 行:1998年5月30日初版発行
初出誌:燃える-----オール讀物96年11月号
      転写る-----  〃    97年 3月号
      壊死る-----  〃    97年 6月号
      爆ぜる-----  〃    97年10月号
      離脱る-----  〃    98月 3月号
定 価:1429円(税別)
頁 数:縦1段組み293ページbr>


<書籍カバーの作品紹介>

山下の後頭部から火があがったのだ。それは瞬く間に彼の頭部全体を覆った。山下はそのままゆっくり前方に倒れていった。まるで大木が燃えたまま倒れていくようだった。
突然、若者の頭は燃え上がり、デスマスクはいけに浮かぶそして心臓だけが腐った死体・・・・。
常識を超える謎に
天才か科学者が挑む!



これこそ、真の新本格ミステリー

「よく考え出すよなあ、科学者は」草薙は感心していった。
「考え出すより、見つけ出すという部分の方が多いんだがね。そういう意味では、科学者は常に開拓者といえる。研究室にこもって考え事ばかりしているのが科学者だと思ったら、大きな誤解だぜ」草薙は椅子にかけてあった湯川の上着を向かって放り投げた。
「そこに何かがあるのならね」と湯川はいった。


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第1章 燃える もえる
  静かな住宅地に、暴走族までは行かないが、若い連中がバイクで集まり、大騒ぎをしていた。突然その内の一人の後頭部から炎が上がり、倒れると、同時に自動販売機においてあったガソリンに引火し、残りの連中も大怪我を追う事になった。警視庁捜査一課の草薙は、現場に行く途中で、小さな女の子に会うが、その子が不思議な事を言う「赤い糸が見えたと」!

草薙は、怪我を負った若者の供述を元に、考えるが、不可解な現象を理解できない中で、プラズマを一つのヒントに考え、大学時代の同級生の湯川の所に相談に行く事にする。

結果、自分の妹(目が見えない障害者)の為に、ボランティアで音声テープの吹き込みを行なっていたが、若い連中のバイクと騒ぎの為に、ボランティアのテープを録音ができなくなった心優しい男が、殺すつもりはなかったが、脅すつもりで、レーザーを使用した事で、この現象が起きてしまった。

第2章 転写る うつる
  二人の高校生が、つりの為に行ったひょうたん池で、偶然拾ったアルミ版から、石膏を取ると芸術的な作品(死のデスマスク)ができあがり、学校の展示会で、展示する。それを見た、知り合いの先生が、行方不明となっている歯科医師の柿本進一ではないかと思い、妹の小野田宏美を呼んで確認した。偶々それに立ち会った草薙は、尋常ではない自体に、巻き込まれていく。
結果そのひょうたん池から柿本進一の死体が見つかった。死亡時刻から、犯人の割り出しに難航するが、湯川の助言で、そのトリックは破られ、柿本の妻の柿本雅代と進一の患者でもあり、競馬のオーナーになる融資の話を持ちかけた笹岡寛久との共犯で、犯行が行なわれた事が分かる。

死のデスマスクは、雷の落下により、アルミ版が、強力な圧力で死体に押し付けられて出来た結果であった。
この雷の落下が、死体の推定死亡日時が判明し、つまり犯人二人の仕掛けた罠を破る事となった。
※被害者柿本進一は、大学の時に「ライフルによる衝撃波を使って、歯にかぶせる金冠を作る」技術があり、その論文を3人で発表していた。という何とも皮肉な結末でもある。

第3章 壊死る くさる
 内藤聡美は、男に囲われながら、田神昇一にも好かれており、結婚を迫られていた。結婚を出来ない理由に、「ジャー人を殺してくれる!」と冗談で言うが、昇一は真に受け、「絶対に病死にしか見えないし他殺だと分かっても警察には分からない」方法があると言い、その方法を教える。
その後、聡美の男が入浴中に心臓発作を起して亡くなった。
今度は聡美は田神昇一を同じ方法で殺そうとするが、田神昇一に見抜かれ逆に殺されそうになる。そこに二人が乗り込むが・・・。

第4章 爆ぜる はぜる
 梅里律子は、夫の尚彦と藤沢の海水浴場に来た。律子が一人で沖にボムボートで捕まって泳いでいる時に、若い男が近寄ってきてぶつかり、直ぐ去っていったが、その直後轟音と共に律子の下で黄色い火柱が上がり、まわり一面火の海となり、海岸は恐怖に包まれた。
一方、三鷹のアパートで帝都大学の卒業生でもある藤川雄一が殺される。藤川は元、エネルギー工学研究所第5研究室の卒業生であった。湯川はそこの助手の松田武久をよく知っており、松田や上司の横森教授に問い合わせるが、横森の推薦した会社を辞めたばかりで、その理由や背景も分からなかった。

しかし、藤川が、研究室の選択で、実はエネルギー研究の第一人者である木島教授の研究室に入りたかったのだが、条件でもある選択教科の申し込みに忘れた事。その当時の学生課の受付をしていたのが梅里律子であった事。更に直接、藤川が木島教授に頼んだが拒否された事等から、この二人を逆恨みし、狙う事にした。

所が、梅里律子の海水浴場の事件で、ナトリウムを使用した事を直ぐ見抜いた松田武久が、藤川の所に行き、次の計画(木村教授殺害)を止めさせようとしたが、できず自分の将来を考えて、藤川を殺害した事が分かる。

5章 離脱る ねける
フリーライター上村宏の息子忠弘は、病弱な為、風を引き、学校を休んでいたが、幽体離脱のような状況で、絵を描いた。
都内のマンションで長塚多恵子と言う女性が殺害された。その部屋にあった保険外交員の栗田信彦の名刺が見つかり、22日にくるとの書き込みがあった。死亡推定日がこの日であると予想された為、この栗田に当たるが、栗田は21日に長塚には21日あっており、22日には、午前中客先を回り、午後(死亡推定時刻)には多摩川の近くに車を止めて休んでいたとの事。赤のミニクーパーで。
長塚のマンションの近くに路上駐車をしていたのを見ていた女性がおり、その車は小さい車で赤色との証言があったが、栗田は断固犯行を否定した。
こんな中、上村は、この事件を知り、息子忠彦が幽体離脱で書いたという絵を警察に送った。そこは赤のミニクーパーが描かれていた。しかし、上村のアパートからは、栗田が車を止めていた場所は、手前の食品工場に塞がれて見ることができず、且つ幽体離脱等では報告もしようがない。
長塚と栗田は実は、見合いをしており、その引き合わせをしたのが長塚の元上司であった。
長塚の周辺に止まっていたミニクーパーらしき車を覗いていた男が発見されており、その男は栗田の車かどうかを調べていたらしい。つまり長塚と栗田両方を知っていた事になる。
長塚の元上司吉岡は保険で知り合った栗田に、自分の愛人を紹介した事になり、当日は別れの話のもつれから殺してしまった。
上村は、TV番組等で、息子の幽体離脱の現象を取り上げてもらい、名を上げようとしていたが、忠彦が見たのは幽体離脱では、なくたまたま前の食品工場の扉が両方空き、且つ工場内の水槽(状態の物)により、光が屈折して、見えないはずの下側のものが見える事を実験で検証した。もちろん食品工場長にも当日の状況を確認して・・・。




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