社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

葉真中顕『絶叫』

2016-02-14 15:10:06 | 趣味(読書)

私の読みたい書籍の作家は、主として東野圭吾氏、宮部みゆき氏や松岡圭佑氏だ。いずれも殆ど読みつくしている。従って、最近新しい作家を探そうと、手当たり次第に手にした書籍を読み始めている。この中で、見つけた書籍が今回紹介する葉真中顕(はまなか あき)『絶叫(ぜっきょう)』だ。

この作品は最初に二つの殺人事件が紹介され、本文つまり主人公の鈴木陽子の生い立ちへと続いてゆく。

最初の事件は、江戸川NPO法人「カインド・ネット」の代表理事が殺害され、同居の女性が行方不明となっている事を新聞記事として紹介している。二つ目の事件がプロローグで、マンションで沢山の猫に食われた死体が発見される。この現場で捜査を担当したのが、国分寺警察署の刑事課巡査部長の奥貫綾乃だ。そして本文では、鈴木陽子の過去と、事件後の奥貫綾乃達の捜査の進展が交互に説明される形で進んで行く。そして、マンションで死んでいたのが鈴木陽子と断定される。

鈴木陽子の生い立ちを調べる中で、奥貫綾乃は、鈴木陽子が4回の結婚をしており、しかも最初の元夫以外は、いずれも結婚後一年以内に死亡している事から、保険金を目的とした偽装結婚ではないかと推定する……。

と言う事で、事件の真相へとドンドン進んで行く。そして最期の方で、この書籍の帯の紹介にあるラスト4行に続く事になるが、この落ちは全く予測できなかった。また二つ目の事件の鈴木陽子と断定されたマンションの死体の正体も全く予測できなかった。この二つとも予測できた読者は、殆どいなのではないだろうか?もちろん途中で、いずれもこれらの人物が登場するのだが、余りにもさらっと登場しているので、予測する事すらできない。

 

さて、鈴木陽子の生い立ちを説明する部分では、かならず「陽子あなたは、……」と文章が続く。そうあなたと言う表現がズット。これはどう言う意味なのだろうか?と最初は不思議に思っていたが、これも最期にその理由がはっきりする。私が作者独特の表現方法と思っていたが、これも敢て、この表現を使い続けた理由があった。

いずれにしてもなかなか面白い作品だった。性的表現もあり、どこまで陽子が落ちていくのか?と思いながら、かなりシンドイ内容なのだが、面白い程、どんどん読み進める事ができた。今後もかなり期待できる作者だと思う。但し残念ながら、比較的最近の作家なので、沢山読もうにも作品数が少ない。

絶叫

書籍名:絶叫(ぜっきょう)
著者:葉真中顕(はまなかあき)
発行者:鈴木広和
発行所:株式会社光文社
発行:2014年10月20日初版
定 価:本体1,800円+税

絶叫帯上
絶叫帯下

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