松岡圭佑『万能鑑定士Qの推理劇 I、II』とは、別の万能鑑定士Qのシリーズを発見した。『万能鑑定士Qの短編集』だ。ちょっとした事情で、そのIIを先に紹介する。著者の松岡氏のこの凜田莉子シリーズは、一つ一つが奇想天外なストーリーで、毎回そのストリーと新たな知識(?)の展開を教えてくれるが、よくよく考えると、この新たなシリーズ。つまり短編集でもちょうど良いのかも知れない。アット読めるが更にアット読めるマンガストリー。それが、この『万能鑑定士Qの短編集』だ。
もともと、このシリーズは一番最初を除けば、一話完結シリーズだった。それが更に一冊の中でも一話完結なので、更に短時間で読めるのはなかなか嬉しい。逆を言えば、今までのシリーズで展開されていた氏のこの凜田莉子シリーズは、むしろこの短編集の方が展開上は良かったのではないかと思ってしまう。そうそれぐらい軽い展開と言う事?
いやそうではなく、軽く読める。深く考えて読んではいけない。いや深く考えても分からない。しかしオチは最初の方で予測できる。しかしそのオチを予測してはいけない。知識を予測しなくてはいけない。
いや、その知識は予測できないのが、氏のこのシリーズだ。オチは予測できても・・・。
第1話 物理的不可能
中国の国宝級切手を京都伏見区の資産家から受け取り、大阪なんばのホテルで待つ中国要人へ届ける事を請け負った金券ショップの店員鴨嶺智久。そのブツは8億円相当の切手。鴨嶺は運び屋に従兄弟の元警察官と現役消防士を頼み、保険会社の沢木は、専門の警備会社を頼んだ。資産家宅で切手を確認して受け取り、先頭の車に警備会社、2台目が従兄弟達が借りたレンタカー。このレンタカーのトランクにブツを入れ、そのすぐ後ろを鴨嶺と沢木が常に確認しながら、なんばのホテルへ。そしてホテルで切手を確認すると・・・。ありえない事に、何の価値もない切手に・・・。
第2話 雨森華蓮の出所
刑務所を出所した雨宮華蓮は、凜田莉子の店で、笹倉沙季と言う認可外保育園の娘と会う。認可外の為、資金繰りが苦しく、少しでも役に立たないかと鑑定に持ち込んだのが、350万円相当の古銭だった。しかしそれを売りに持ち込んだ雑居ビルの「蜂島コイン」では、2万円の鑑定。同じく別の「亀井小判」と言うお店で5万円だったのでそれで購入してもらった。莉子は、蜂島コインで、沙季がもちこんだ小銭がすり替えられたと気づくが、何の証拠もない。自分の力なさに、来年で閉店する保育園を無償で手伝う莉子。それを隠れるように見る雨森華蓮は、莉子に腹を立てながら・・・。
あらましを書くとこうなるが、ここまで書くとライバルで超悪人。そして天才的な贋作師。つまり本物と同じコピーを作れる才能と持つ雨森華蓮が、どうするか?極悪人の蜂島を・・・
第3話 見えない人間
父子家庭の芳野里佳の父親が突然、行方不明に。まとまったお金がもうすぐ手に入ると言っていた矢先だった。女優志望の高校の同級生溝塚琴帆が莉子のお店に現れ、一緒に近くで行われている映画のオーディションに行く事になる。そこのオーディションとは、海外の刑務所に拉致られた日本人が次々に処刑されると言う設定だった・・・
第4話 賢者の贈り物
丸の内の外資系企業に勤めるOLの坂城紫苑。紫苑の兄二人は、ランダムに選んだと思われる家をターゲットにして、家に盗みに入り、金券や宝石、ブランドバッグ等を盗んできて、お金に変えている様だった。以前は反対していた大手不動産会社の役員をしている父親も、最近は二人に加勢しているようだった。悩んだ末、サンイ電器の社宅の泥棒事件をきっかけに、警察に訴える事にした。しかし、兄たちが盗みを働いた日やそのエリアでは一切盗難届が出されていなかった・・・
第5話 チェリー・ブロッサムの憂鬱
角川書店で、金髪ロングのモデルを使ってグラビア撮影をする予定だったが、用意したモデルはなぜか次々に、髪を切ってショートカットで現われた。一方、夜桜が綺麗な皇居西側の千鳥ヶ淵緑道。満開のソメイヨシノ。その一本が、花びらが散る余裕すら与えられず突然枯れた。調べるとどうもウィルスらしく、周りのソメイヨシノも感染しているようだった。そしてこのソメイヨシノを調べている内に、燃え出した。まるで証拠がなくなるかのように・・・。
何となく、東野圭吾氏の「ガリレオシリーズ」の様な展開だ。まあ~この辺は色んなストーリー展開があっても良いのだろうと思う。
書籍名:『万能鑑定士Qの短編集 ?I』 |
美人鑑定家が奔放な知識で「人の死なない」コージー・ミステリに挑む、エンタメ・ノベルの先駆的ブランド<Qシリーズ>。 総額8億円もの切手コレクションから1枚300万円の変わり種銀貨、満開のソメイヨシノまで、あらゆるアイテムにまつわる不可思議と、胸のすくような謎解き、驚くべき結末の数々。ついには凜田莉子の最大のライバル、雨森華蓮が出所し・・・・。 面白くて知識がつく至福の読書、Qの短編集、大反響の第2巻! |
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