社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

楡周平(にれ しゅうへい)『Cの福音』

2008-06-25 07:52:07 | 趣味(読書)

服部真澄『エクサバイト』に引き続き新しい作家の作品紹介です。服部真澄『エクサバイト』と同様に図書館で偶然目に止まったが(止まったのは別の作品)、氏の最初の作品から読み始める事にした。

この『Cの福音』に出てくる朝倉恭介は、今までにない強烈なダークヒーローである。私が読んだ作品では東野圭吾氏の『幻夜』『白夜行』に出てくるダークヒロインの影として登場する男達はいたが、この朝倉恭介は、自分から悪の道を突き進む緻密・完璧でドライな男として描かれている。

この作品でコカインを日本に輸入する仕組みにコンテナを使っているが、休職前の仕事の関係上、取引先との輸出入(貿易)にも関係し、非常に懐かしく感じた。

一方この作品は、1996年が初版となっているが、この時代はインターネットが爆発的に普及する直前というか既に普及が始まり、メール等の導入が多くの日本の企業でも始まっていた時代でもある(15年前のE-mailとグループウェア導入の話でも述べたが・・・)。従ってこの時期でE-mailを使う方が、パソコン通信であるNIFTY-Serveをその通信手段として使うよりも、インパクトがあったと思うが、おそらくかなりこれより以前に原稿を作成されたのだろう!

この作品は余りにもダークな世界であるが、逆にあっさりと読める面白さがあると思った。

<私的概略>
朝倉恭介は総合商社に勤める親の長男として、ロンドンで生れ、両親のニューヨーク駐在中に、全寮制のミリタリースクールで、過酷な競争をクリアーし著名大学の入学が決定する。しかし、息子の卒業式参加の為に乗った飛行機が墜落し、両親を失う。莫大な保険金を手に入れた事で、大学は何不自由なく通い、ミリタリースクールで鍛えた体と格闘技を更に、町の道場に通い、米軍特殊部隊だった経営者から吸収する。

大学のルームメイトだった息子を介して、ファルージオ(巨大組織のマフィアのボス)と知り合う。その後息子が不幸な自動車事故で死亡すると、同じく飛行機事故で両親を亡くした恭介を自分の息子の様にかわいがるようになる。恭介は大学卒業前に、道場からの帰りに暴漢から襲われる不幸な事故があり、結果暴漢2人を殺してしまうが、正当防衛の判決で無罪となるが、就職先からのアポがなくなる。結果この事故による殺人から、悪の道に進む事を決心し、ファルージオを訪ね、日本でのコカインビジネス計画を持ちかける。

日本でのコカインビジネスは成功し、徐々に拡大して行くが、ひよこ(売人)の客である一人の若い女優から、同じ麻薬のビジネスを行なっている台湾マフィアに、かぎつけられる。恭介がコカインを回収しようとする寸前に、台湾マフィアに囲まれるが、全員をイングラム(要は小型の自動小銃)の掃射で始末してしまう。この結果を知った台湾マフィアのボスは、早々に日本を脱出し台湾へ帰ってしまう。

一方恭介は、派手にやりすぎた事もあり、一旦ほとぼりを冷ますために、日本を離れ、ジャマイカのファルージオの別荘でバケーションを過ごす事になる。

Cの福音A.jpg書籍名:『Cの福音』
著 者:楡周平(にれ しゅうへい)
発行所:株式会社宝島社
発 行:1996年2月9日初刊発行
定 価:1,500円(本体1,456円)
頁 数:縦一段組み348ページ
 

<著者紹介:書籍の紹介から>
1957年生まれ。現在、米国大企業日本法人に勤務。東京在住。

<ハードカバー帯の紹介>
話題騒然!!
現代の悪のヒーローを描いたと新聞雑誌で大反響。たちまちベストセラー
読者の鉄人「このミス」常連も唸った圧倒的パワー!
●読者の声:「こんな強烈な小説、本当に新人が書いたのか?」(プログラマー・29)

「このミステリーがすごい!」の
回答者絶対オススメの強力エンターテインメント小説。
●茶木則雄氏(ミステリー評論家)
「この迫真のデイテイルは、犯罪者か、真に才能ある作家にしか掛けない。」

●井家上隆幸氏(コラムニスト)
「あらゆる虚飾をはぎとれば、現代経済行動の鉄則は”儲かるならば人をも喰らう”だ。
国際麻薬ビジネスの非常さに、時代を貫徹するこの鉄則をみた鋭敏な時代感覚がすごい。」

●郷原 宏氏(文芸評論家)
「”野獣”の嫡男にして”新宿鮫”の強敵ともいうべき凄いヒーローが登場した。」


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