今回は、始めての著者の作品となる。蓮見恭子(はすみ きょうこ)氏。巻末の紹介によると
1965年大阪府生まれ。大阪芸術大学美術学科卒。2010年「女騎手」で、第30回横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞し、同作品でデビュー。ほかの著作に『無名騎手』がある。 |
とあるが、何気なく新刊案内で、この作品を手に取り、帯を見て、面白そうだと思い、読む事にした。瞬間百田尚樹「ボックス!」に近いイメージが頭に閃いた。表紙が赤い系統だった事もあるかも知れない。
読み始めると思ったとおり、長編だが、大変読みやすい。どんどん、先を読みたくなる展開だった。半分ほど読むと、おおよそのあらすじは見えて、最後はさてどういう結果になるのだろうか?と思いながら、読んだ。なかなか感動できる作品だ。
内容がてんこ盛りだが、リアルタイムのスポーツとサスペンスが同時並行で進む。そして最近特に問題になっているイジメ。これがある意味すべての始まりとなっている。最後はどんでん返し的的感動的終わりだ。一服の清涼飲料水としてぜひ紹介できる読み物だ。
夏の甲子園が既に終わっているが、夏の終わりを感じながら読んではどうだろうか?
書籍名:ワイルドピッチ |
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高橋武蔵:高知の野球名門校の3年生ピッチャー。地元出身の超高校級投手。一年から既に全国で「鯨クン」として有名。最後の年、甲子園優勝を目指すが、今まで一人で無理をして投げた事で、肘を痛めていた。
鈴川大樹:武蔵に憧れ、東京からわざわざ地方の高校に入学した2年生ピッチャー。しかし寮で同室の先輩達からイジメを受け、転校を決心し、東京の自宅に帰る。が武蔵の必死の説得で、再び野球部へ復帰する。
鈴川真奈美:夫がアメリカに単身赴任中の大樹の母親。大樹がイジメにより、一旦帰宅した事等で、ノイローゼになり、メンタルクリニックに通うようになる。そこでさおりと知り合いになり・・・。
菊池(藤本)さおり、藤本明憲、藤本奈緒(むすめ):当たり屋一家。明憲と妻であるさおりは、離婚し別々が生活扶助を受給していた。が同じ団地に家族同然の暮らしをしていた。そして、さおりが・・・。
大木戸:警視庁捜査一課の捜査員・刑事。死体発見から、ほとんど不可能と思われた事件を追って行く。死体に付着していたガラスの粉が、特殊なステンドガラスだった事から、ステンドグラスを高級な趣味としていた真奈美を突き止める。
と言う所が、コアの登場人物だろう。これだけを紹介してしまうと、もう既にあらすじがわかってしまうかも知れないが、それでも最後まで期待させられるのが、この作品だ。他にも多くの登場人物が出てくるが・・・。
なお、この作品は、恋愛はそのテーマには入っていない。従って武蔵や大樹に関係する、女子高校生は一切現れない。この手のコミック・アニメに登場するマネージャーやその他の幼なじみなども。まあ~ある意味現実的で良い。そう高校野球。そこはやはり熱血の男子だけの世界だ。
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