【ネタバレ】
◎「がんばっていきまっしょい」
「ただ、一生懸命になってみたかった。」
「あきらめない。みんなとなら言える。」
2024年10月25日(金)公開、監督は櫻木優平、脚本は櫻木優平、大知慶一郎、原作は敷村良子(1996年7月刊行。1995年の第4回坊っちゃん文学賞受賞)、95分。
悦ネエ(村上悦子)(cv雨宮天)、ヒメ(佐伯姫)(cv伊藤美来)、リー(高橋梨衣奈)(cv高橋李依)、ダッコ(兵頭妙子)(cv鬼頭明里)、イモッチ(井本真優美)(cv長谷川育美)のほか、同じ高校のボート部の二宮隼人(cv江口拓也)、ボート部顧問の渋ジイ(渋川)(声は無し)、港山高校ボート部の3人(寺尾梅子(cv竹達彩奈)、大野舞(cv三森すずこ)、安田夏央莉(cv内田彩)など。
総合評価点は、上中下で上。
○田中麗奈さん主演の実写映画が1998年10月公開、鈴木杏さん主演のTVドラマが2005年7月から9月放送、いずれも見ましたが実写映画は名作です。原作未読です。
なので、本作には不安の方が大きかったですが、良かったです。3作とも同じ物語というわけではなく、そこそこ異なっています。
通常は1回しか見ませんし、面白そうだとか前売り特典によっては2回見ますが、結局3回見ましたが、3回見た映画は凄く久しぶりです。
3回とも、見ていて涙ぐんでしまうシーンが多く、思い出補正が少しはあるかも知れませんが、良かったです。
○台詞なしで、表情や仕草や景色などで見せるシーンがいくつかあって、とは言え分かりにくいという表現ではなく、上手く気持ちを表していて良い感じにできていました。原作は文学作品に分類されるようですが、本作は堅苦しいものではありません。
スポ根というほどではありませんが、スポーツものでもあるのでボートでの練習や体力トレーニングなどの努力は描かれています。
それ以上に、軽妙な日常会話と、青春のきらめきと、挫折とふんばりと、ボートの精神である「一艇ありて一人なし」の方が大きいです。
「一艇ありて一人なし」は、本作HPでは「ボート競技はどんなに苦しくても動きを一つにし、心を一つにしないと進まない」という意味で使っています。少し意訳すれば、個々の力も必要だけど、それ以上に、息を合わせて漕がないと速く進まない、というものです。そういう難しさと楽しさを描いています。
・「がんばっていきまっーしょい!」
「しょい!!!!」
の掛け声も良いです。
○パンフで櫻木監督が『この作品は「泣ける」という一時的な感情を盛り上げるような種類のものではなく、観た方たちの心にずっと残る、「大事にしたい」と思ってもらえる作品になればいいなと思いながら作りました』と言っていますが、まさにそういう作品です。
○なお、「腹切り」のことをHPでは「レースや練習中に発生するアクシデント。ブレードが水に押されて水中から抜けない状態。」と説明していますが、そういう状態になるとオールの手で持つ部分がお腹に強く当たってすぐには外せず痛いという腹切りの状態になることがあります。
1人が1本のオールを漕ぐボートだと腹に当たりやすいですが、1人が2つのオールを漕ぐ本作のボートだと腹に当たりにくいかな。
○公式HPから。
「一生懸命になることをあきらめた高校生が、仲間とこぐボートに夢中になっていくーー」
「学校をあげてボートのクラスマッチを行っている三津東高校。
誰もが全力で競技に挑む中、2年生の村上悦子はひとり冷めた表情だ。
才能もないのに頑張ったって仕方ない……そう気づいてからの悦子は、勝負をあきらめてばかりいる。
そんなある日、悦子のクラスに高橋梨衣奈という転入生がやってきた。
クラスマッチのボートに感動した梨衣奈は、悦子と幼なじみの佐伯姫を巻き込み、廃部状態だったボート部の復活に奔走する。
同学年の兵頭妙子と井本真優美が入部し5人になると、名義貸しのつもりだった悦子も渋々、初の大会に出場することに。
試合当日、理想と現実の差に打ちのめされてしまった悦子たち。
全員がゴールをあきらめかけた瞬間、悦子がオールを再び握りしめる。
「私、もっと上手くなりたい」という悦子の言葉で、5人の気持ちはひとつになるーー!
眩しい水しぶきと真直ぐな思いがあなたの背中を押す」
このあらすじの後にも、悦ネエの挫折やら立ち直りやら、紆余曲折があります。
○新宿ピカデリーにて。
【shin】