◎「劇場版 幼女戦記」
総合評価4点(5点満点)
「最前線にて幼女は嗤う」
2019年2月8日公開、監督:上村泰、脚本:猪原健太、原作:カルロ・ゼン、PG12、101分。
帝国:ターニャ・デグレチャフ(cv悠木碧)、ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ(ヴィーシャ)(cv早見沙織)、
エーリッヒ・フォン・レルゲン(cv三木眞一郎)、クルト・フォン・ルーデルドルフ(cv玄田哲章)、ハンス・フォン・ゼートゥーア(cv大塚芳忠)など。
共和国側:メアリー・スー(合衆国)(cv戸松遥)、ウィリアム・ドレイク(連合王国)(cv森川智之)など。なお、2人は義勇兵。
○ TV版(2017年冬、全12話。)が良かったので新作の劇場版を見たわけですが、良かったです。
・バトルが多かったのは、大画面には良いです。特に、最後でのデグレチャフとメアリーのバトル。もう少し大きな音の方が迫力が増したでしょうけれど、映画館や上映スクリーンにもよるのでしょう。
・ステレオタイプに大げさに描いている面はあるものの、旧ソ連の共産主義体制の知識が少しあると、連邦のお偉いさんのシーンはニヤニヤできます。
権力者に気に入られないと、言いがかりや些細なミスで死刑にされちゃうとか、
自分の地位のために言いがかりや些細なミスでライバルを蹴落とすとか、
自分の責任を問われたくないから、戦況報告が、劣勢だから増援依頼をしたのに人を介すると、伝言ゲームのように、優勢と伝わるとか。
まあ、死刑はともかく、アジア・太平洋戦争での日本や現代日本や現代資本主義国でも本質的には大差ありせんが。
・最後、デグレチャフは命の危険がない後方勤務でのんびりしていて、ED曲。
「どうしてこうなった!」と私は思いましたが、ED後にやっぱり最前線に行かされることになって、やっぱりこうなった!、ですね(笑)。
やっぱり、「どうしてこうなった!」という状況で終わらないと。
○ デグレチャフは後方勤務の間に戦況分析や戦争の終わらせ方について研究しましたが、元いた世界での歴史の大きな流れと似ている流れの世界なので(未来から来たようなものなので。)、この先にどうなるかの想像がつくわけです。
さらに、デグレチャフは優秀なので、今後の戦況が厳しいことも、戦争の終わらせ方が難しいことも、戦後が大変なことも知っているので、今からどうすべきかを考え、提案できるわけです。
今は戦況が良いので帝国側は余裕の笑顔ですが、それが束の間の事であろうことをデグレチャフは分かっている訳です。
(デグレチャフにそういうアドバンテージがあるとはいえ、)帝国側の他の人がそれらを考えていないという事は、やはりバカでしかないのですが、人間はそういうものだということは現実の政治や歴史を見れば明らかで、それが普通の事であるかのようです。
○ さて、悠木さんの演技を楽しむという傾向はTV版からありました。
・プリキュアシリーズで言えば、悠木さんは悪役を演じ、早見さんはプリキュアを演じたように、また、プリキュアのオーディションを受けてプリキュア役を落ちたことを振り返って悠木さんが、自分の声はプリキュアには向いていない事は知っていた、旨を言っていたように(プリキュア映画に出演した時期の、何かのインタビューにて。)、悠木さんと早見さんの声は、基本的に正反対と言ってもよいものです(互いに逆方向の役もできますが、基本的な声の傾向として、という意味。)。
大げさな言い方ですが、川に例えるなら、早見さんは最も上流、そのまま飲める水、悠木さんは、生活排水が垂れ流しの下流、飲んだら体調不良になります。
が、この2人は時々共演していますが、正反対ゆえに、補いあい、中和しあい、高めあっています。
・一方、戸松さんの声は、そこには割り込めておらず、悠木さんの声に負けているのです。
メアリーは復讐心の方が目立っていましたが、メアリーの復讐心からの狂気が、(デグレチャフには顔芸があるから有利な面はあるものの、)デグレチャフの狂気に負けているのです。
(戸松さんが声優として劣るとかという意味ではなく、役に合っているかどうか、あるいは、音響監督の演技のディレクションが妥当だったのかどうか、という意味。)
(戸松さん演じるメアリーは、盲目的かつ純真に神を信じるという、デグレチャフともヴィーシャとも違う狂気を持つキャラですが、もしかしたら、純真さをもっと明確に出すことにより逆に狂気を浮き上がらせる演技だったら、いい勝負になっていたかもしれません。ただ、そういうキャラは、ギャグに見えることと紙一重ですが。)
・デグレチャフと、戦争に勝つことよりも、親の仇と憎んで私怨を晴らすことを優先するメアリーとの勝負は、デグレチャフがあと一歩のところでとどめを刺せたところにドレイクが助けに来ました。
TV版か劇場版で続きがあれば再度戦うことになるはずで、その頃には私が慣れているか、別の演技が見られるか?。
・アニメ一般において、ややこしい役なら悠木さんに任せておけば大丈夫という感がある中、デグレチャフもややこしい役の部類なので、相手役はなかなか難しいですね。
早見さんは、悠木さんの演技を、合気道のようにさらりと受け流せるんですよね。
○ 悠木さん出演の舞台挨拶もあったEJアニメシアター新宿にて。
カフェに入りました。特典ポストカードはデグレチャフが当たりました(デグレチャフが出なければ、2杯までは飲むつもりでしたが、1杯目で出ました。)。
飲んでいくと「どうしてこうなった!」感が強くなって、ニヤけてしまいました。
左がフード、右がドリンクでもらえる特典。
悠木さんのサイン入り。
【shin】
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