2015年夏アニメの感想の続きです。
◎「六花の勇者」(ろっかのゆうしゃ)(全12話)
総合評価4.5点(5点満点)。
選ばれた勇者が集まって魔神を倒しに行こうとしたら、6人のはずの勇者が7人もいて、まずは偽者さがし。
4話途中までがあまり面白くなかったので評価を下げていますが、4話で勇者が7人もいて、偽者は誰だ、という推理ものになってからは素晴らしかったです。偶然があまり無いですし、偽者の目星はある程度つくもののなかなか確証は持てませんでしたし、特にラストはヒネッテいますし、抑揚の少ないフレミーがラストで少しだけデレたときは一層惚れましたし、素晴らしかったです。
偽者さがしに12話まで費やしたのにダレることもなく、ワクワクしました。とても面白かったですし、俺たちの戦いはこれからだENDだったので、2期を期待。
数回使われたED曲「Nameless Heart」(歌:フレミー)も切ないフレミーの気持ちがこもっていて良かったです。
自称、地上最強の男だけど実はあまり強くはないのでセコイ戦い方のアドレット(cv斉藤壮馬)、お姫様のナッシェタニア(cv日笠陽子)、六花候補者殺しの過去があり、凶魔と人間の間の子のフレミー(cv悠木碧)、姫に忠実なゴルドフ(cv内山昂輝)、おちゃらけたハンス(cv鈴村健一)、バカな様子だけど見かけによらずかなり強いチャモ(cv加隈亜衣)、単細胞なモーラ(cv佐藤利奈)、牛にしか見えないロロニア(cv金元寿子)など。
○ 3話。フレミーは六花の勇者候補者殺しの罪で六花の勇者には狙われているのに、その辺の事情を知らないらしく、勇者アドレットは仲良くなろうと。
(→本当に知らないのかを念のため疑っていましたが、最後まで判別できませんでした。アドレットが勇者の敵であれば、知っていて仲間にするための方便でしょう。)
アドレットと行動を共にするかどうかで迷い、恐怖、警戒、諦め、そして何よりも期待。切なく複雑な心境で語るフレミーは素晴らしすぎですね。
取り敢えず行動を共にすることになったものの、ナッシュタニアが現れてフレミーを殺そうとすると。
○ 4話。案外簡単に、アドレットの説明を聞いてバトルがおさまりました。ナッシュタニアはフレミーではなくアドレットを信じたと言っていましたが。
(→ここは、ナッシュタニアがやけに簡単にバトルをやめたなと思いましたが、最終話からしてそんなところでしょうね。)
勇者がそろいましたが、必ず6人のはずなのに、何故か7人もいると。1人は偽物で敵だということで、さあどうする、というところで次回へ。
4話ラストでようやく、この物語の構造が見えてきたということになります。事前情報を見ていないのでここまでの物語はあまり面白くなかったですが、ここからはとても面白かったです。
○ 5話。1人1人が勇者に選ばれた経緯などを説明し、誰が偽物かの推理合戦、緊迫感もあって。最初にフレミーが疑われましたが、最後はアドレットが疑われることになって、面白かったです。
謎解きが主の物語だとすると、この時点で疑われている勇者は偽物ではないとまずは思っておくべきで、とは言え、そう思わせておいて実は偽物という線も忘れない、ということですけどね。
フレミーの、抑えているのに抑揚のある声が良かったので、それに気を取られ、何かを見落としていそうな気はしていましたが(笑)。
○ 6話。引き続きアドレットが疑われ、疑いは晴れず襲われたので、フレミーを人質にして逃走。偽物ではなさそうですが、切羽詰まった状況でしたし、短絡的なので仕方ないところでしょうかね。
傷を負って倒れたアドレット、先に目覚めたフレミーが逃げなかったしアドレットを拘束しなかったとか、でも9割9分アドレットは偽物だと思っていると言うとか、本音が分かりにくいです。このまま皆のところに戻っても勇者殺しで命を狙われるかもしれないから、どちらが得か図りかねているのでしょう。アドレットの子供のころの回想と交差させながら。
私が最初に偽物候補から外したのはフレミーです。六花殺しで既に命を狙われているのですから、それなのに偽物として加わったら真っ先に疑われるに決まっていますから、リスクが高過ぎです(実際、一番最初に疑われ、アドレットがかばった。)。7人の中の本物に無理やり協力させられているから偽物なのに加わっている可能性は、念頭に置きましたが。
○ 7話。フレミーの過去話からの、フレミーは皆のいる城に戻ると。
なお、ゴルドフと2人きりになったときに、ナッシュタニアはアドレットは偽物ではないのでそれを証明したいと力説していたのが、力説過ぎて引っかかりました。
○ 8話。アドレットとハンスのバトルの中で、ハンスはアドレットを偽物ではないと判断し、協力することに。そう判断した根拠からして、このハンスの言動と判断は信用できそうなのですけどね、何か見落としているかなあ。
また、アドレットはセコイ手段で勝負するばかりなので、強いというわけではありません。同じセコイ手は二度と通用しないはずですから、アドレットが偽物というのも、本来であれば弱すぎてどうかと思いますが、主人公が偽物というのも面白いなと思ったので、念のため疑ってみることに。但し、アドレットが声に出さずに考え事をしているときの自問自答の内容は偽物であればあり得ない内容なので、アドレットが偽物の可能性はゼロです(そこを覆す物語であれば凄いと思って見ていました。)。
モーラが偽物との可能性は残りますが。いかにも怪しいという観点からは、通常は偽物ではないということにはなりますけれど。
チャロがバトルしたがっていて、自分1人でも魔神を倒せると思っていることもあって、偽物と疑っているアドレットを襲うと。チャロが偽物なら、それだけ強いことからしてもここで2人を殺すというのも理解できますね。本物だとしても、バトルしたがっているので理解できます。
モーラと一緒になったフレミーがアドレットとあったアレコレを何も知らないとして話さないのですが、既に情が移ったのでしょう。
怪しげな顔つきと言い回しのハンスが偽物というのは、怪しすぎてどうかと思いますが、アドレットとのやり取りからして可能性は低いなあ。
アドレットは本物だと強く主張するナッシュタニアは強く主張しすぎで、どちらとも取れ、引っかかります。
ゴルドフはアドレットだと思っていてナッシュタニアと対立していますが、これまでも一番目立っていないので、それで偽物だったら、推理物としては幻滅です。
そもそも、7人の中に偽物と、その偽物に協力する本物がいるのかも知れませんし。勇者に恨みを持つ人や、魔神に勝ってほしい人だっているでしょうから(フレミーは、六花の勇者に強い人が集まらないよう、依頼されて勇者候補になるような強い人を殺してきたと言っていた。)。
その場合、元から知り合いの2人のペアで疑っておきましょう。ナッシュタニア&ゴルドフ、モーラ&チャロの2組でしょうか。
○ 9話。フレミーがやけに鼻が良い様子。アドレットが何か(火薬か?)を投げてちょっとした音と煙を出しただけで気づいてやってきましたし(一緒にいたモーラは音に気づいていないし、置いてきた様子。)。臭いだとすると風向きによってはフレミーのいる方向に行かないですし、いる場所に臭いが届くまでには時間がかかりますし、でも、フレミーは火薬の使い手だから火薬の臭いなのでしょう。
・アドレットが知恵を絞ってハンスと協力して、何とかチャロを倒すと(しばるだけで殺さない。)。チャロはバカにしか見えないとは言え、アドレットの利口な面が。
それにしてもチャロ、猫じゃらしを口に入れて口から今まで食べた生き物を出して操って戦っていましたが(チャモのお腹の中には沼があって生き物が共存している。)、倒されると口の中に戻ってくるのですね。ちと、気持ち悪かったです。
それにしても、鬱屈した感情を抱えて、それを表に出さないように静かな口調で我慢しているというフレミーの声、たまりません。クセになります。
○ 10話。フレミーづくしでした。アドレットは本物だと思っていいと私は考えていたのですが、アドレットがフレミーを信じる理由に好きになったからと言ったのは少し唐突に感じたので嘘かもしれないし、偽物なのか、本物だけど勇者の敵はアドレットかもしれない、と思うようになりました。
他人を信じないと決めたフレミーがそれに気持ちが動くと思わせておいて動かず、でも最後には動いて涙という流れは良かったです。これでアドレットの好きが嘘だったら、乙女心をもてあそんだことになるので、今度こそフレミーは人を信じることをやめるでしょう。そんなフレミーの声も聞いてみたいですが。
モーラが、ハンスがアドレットにやられて瀕死の状態だという嘘を遠くまで伝達できる能力があるとは都合が良過ぎでしたが、最初からアドレットを強く疑っていたモーラですから、それで偽物かもとはこれまで以上には思いませんでした。
ただ、ナッシュタニアがやけに簡単に信じてアドレットに対してヤンデレ化したのに違和感。アドレットを一番信じていた言動をしてきたのですから、偽物かもしれないとは思っても、アドレットにもモーラにも確認する前に断定したのが違和感。
モーラがアドレットにとどめを刺そうとしたときにフレミーが制しましたが、そのときに殺すべきだと強く出なかったモーラというのは何故なのか。城に戻ったらハンスが生きていることがバレるので、モーラが偽物だとしたらもっと慌てそうな気が。
ナッシュタニアが来ればアドレットとフレミーに勝てると思ったからかも知れませんが、あれだけアドレットは偽物ではないと言っていた姫がモーラの言葉を信じるとモーラが思うというのもなあ・・・。
ナッシュタニアもやってきてアドレットを襲い、アレコレあって、アドレットはフレミーを連れて逃げました。
○ 11話。モーラとヤンデレのナッシュタニアにアドレットとフレミーが善戦すらできなかったのは、そうなの?とは思いましたが、ここはそういう設定で。
モーラが直ぐに殺そうと言ったのにゴルドフは尋問してからにすべきと。
諦めたアドレットが偽物のトリックに気づき、生きようと思い、ナッシュタニアがとどめを刺そうとしたところに抵抗。ゴルドフに吹き飛ばされて、凶魔の死体だらけの場所にたどり着くと。
そこにハンスを見張っていたはずのチャロが2人で笑顔でやってきたのは少し謎ですが、ナッシュタニアはコロッとアドレットに謝罪。
アドレットの謎解きは皆を納得させ、さあ誰だ!?というところで次回へ。
お約束ですね。
○ 12話。アドレットはモーラだと思っていましたが、チャモとハンスが地下から見つけた石版からするとモーラではないと。
で、ナッシュタニアしかいないと気付くアドレット。
ナッシュタニアは凶魔で、凶魔を説得して人間との共存を目指すから魔神退治をやめてほしいと。人間が50万人くらい犠牲になるかもと、いっちゃったような目つきと言いブリでした。
ただ、魔神などと戦うとどれくらいの犠牲が出るのかにもよりますね。戦うと50万人を超える人間の犠牲が出ると考えれば検討に値する案ですし。その辺の話はなく、ナッシュタニアを頭から否定する他の勇者達。
ナッシュタニアが偽物というのは、分かりやすいということはありませんでしたが分かりにくいというほどでもなく、なので、途中から、7人の中の2人が共犯なのではという目で見ていたのですが、単独犯だったのかあ、と思ったら、新たな勇者としてロロニアがやってきて。
そうですよね、このアニメは結構ひねっていたので、この位はひねってくれないと。一番あり得ないのですが(モノローグで思っていたことからして、偽物の可能性はゼロ。)、アドレットが偽物だったら凄い物語だなと思って見ていましたが、アドレットは本物だけど勇者の敵という線も再び出てきましたね。
今回は偽物探しは後回しにして魔神退治に行きました。
・さて、ロロニアにヤキモチのフレミーも良かったですが、ロロニア登場前の、瀕死のアドレットとフレミーの会話、これまでの積み重ねから来る言葉、たまりません。
アドレット「ずいぶん優しくなったなあ。最初からそうしてくれよ。」
フレミー「喋らないでと、言っているの。」
アドレット「初めて会ったときの顔だ。なあ、フレミー、俺のこと」
フレミーが言葉をさえぎって、「嫌いよ。あなたといると、生きたくなる。」と少し赤くなるとか。
【shin】
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