【ネタバレ】
◎「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」(ロシャオヘイセンキ)
◎「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」(ロシャオヘイセンキ)
総合評価は、上中下で上の下くらい。
中国の北京寒木春華動画技術有限公司が制作のアニメで、2020年11月7日(土)に吹替え版が日本公開(2019年9月7日に中国公開。2019年9月20日に日本語字幕版が日本公開。)、原作/監督・MTJJ、脚本・MTJJ、彭可欣、風息神涙、101分。
シャオヘイ(cv花澤香菜)、ムゲン(cv宮野真守)、フーシー(cv櫻井孝宏)、シューファイ(cv斉藤壮馬)、ロジュ(cv松岡禎丞)、テンフー(cv杉田智和)など。
「人間たちの自然破壊により、多くの妖精たちが居場所を失っていた。森が開発され、居場所を失った黒ネコの妖精シャオヘイ。
そこに手を差し伸べたのは同じ妖精のフーシーだった。フーシーはシャオヘイを仲間に加え、住処である人里から遠く離れた島へと案内する。その島に、人間でありながら最強の執行人ムゲンが現れる。フーシーたちの不穏な動きを察知し、捕えにきたのだ。戦いの中、シャオヘイはムゲンに捕まってしまう。
なんとか逃れたフーシーたちはシャオヘイの奪還を誓い、かねてから計画していた「ある作戦」を始める。
一方、ムゲンはシャオヘイとともに、人と共存する妖精たちが暮らす会館を目指す。
シャオヘイは、新たな居場所を見つけることができるのか。そして、人と妖精の未来は、果たして――」(公式HPから。)
○良かったです。
人間が妖精を入れて教育しようとしている施設(妖精も基本的に喜んでいる。)は現実の何かの例えかも知れませんし、そうではない何かかも知れません。
例えば、中国にある、少数民族に自らの民族のではない中国の文化を教える学校とか。
本作では妖精も基本的に喜んでいるので、違うと考えることが素直なのでしょう。一方、中国人が中国で作った映画なので、政府に配慮しないと上映禁止になりかねないこともあって、誤魔化したと考えることもできます。
そういうのとは関係ないと考えることもできます。
なお、アメリカでも日本でも、先住民族であるインディアンやアイヌなどに対する対応は、(少なくとも過去形で)差別的でした。
・妖精が人間に変身して街中で暮らすときには多数派である人間には妖精であることを隠して暮らさなければならないというのは、何とも窮屈。
差別があるからなのでしょうし、人間が妖精を怖がっているからなのでしょう(妖精には強い能力があり、バトルになれば普通の人間はまったく敵わない。)。少数派への配慮の足りなさや、少数派に苦労を押し付けることは、どこの国にもある差別と差別のありようです。
・本作からだけでは、妖精を施設に連れてくる人間のムゲン(半分妖精であり、とても強い。)が妥当なのかは分かりませんし、それに反対する妖精のフーシーが妥当なのかは分かりません(2011年からWebで公開されているものは、本作のその後の物語らしいのですが、見ていません。)。
ムゲンが共存に向けて動いているのなら、ムゲンの方が妥当そうです。少なくとも本作からはそう動いているようには一応は見えるのですが、妖精が人間世界に馴染むようにすることばかりで、人間に妖精と共存する意識を持たせる方向性は弱いことからそれを考えているのかがよく分からないので、本当に共存に向けて動いているのかは何とも言えない面もあります。
差別され被害を受けた側である妖精のフーシーが人間に罰を与えても、人間の罪に対する罰であればあながち否定もできません。
(余談ですが、櫻井さんはまた裏切る役か、似合うよね、とは思いました。)
○嫌いなわけではありませんがバトル好きというわけでもないので、(日本の深夜アニメの派手なバトルは凄いとは思うものの疲れる一面もあるので、)本作のゴテゴテしていない異能バトルはシンプルで楽しかったです。
シャオへイ可愛いという感想は私にはありませんが、可愛いという声がSNSで多いのは理解できます。
ムゲンの抑えた演技は好みです。
小ネタのようなギャグがうまい具合にところどころにあって、いい感じにクスッとできました。
○本作は、いろいろと考えるもよし、単に笑うもよし、単にシャオヘイを愛でるもよし、ということでしょう。
◯2021年追記。2021年6月のアニメイト秋葉原にて。
【shin】