家の近くの小さな丘に
小さな赤い鳥居が立っている。
いつ頃出来たものかは知らないが
そんなに古いものとは思えない。
ただぼくが物心ついた時には
既に立っていたので、少なくとも
60年以上は経っているということだ。
そこに何があるのかというと
鳥居があるから当然中には神社
あるいは祠があるはずなのだが
残念ながらぼくは知らない。実は
その中に入ったことがないのだ。
苔むしたその丘自体が不気味で
近寄りがたい雰囲気があるからだ。
中学生の頃だっただろうか
友人がその鳥居の話をしていた。
彼は新聞配達をしていたのだが
早朝彼がそこを通っていると
大勢の人がそこに列を作って
無言で並んでいたというのだ。
「すごく気味が悪かった」らしい。
何をしていたのかと聞いてみると
「詳しくはわからないけど
人の話ではコックリさんに
取り憑かれた人たちがお祓いを
受けに来たみたい」と彼は言った。
それを聞いてからぼくはその丘の
前すら通らなくなった。今もだ。