令和4年7月8日というのは大変な一日になりましたけど、その中でこちらはかなりの量の雨が降り、警報や避難指示まで出ました。JR在来線が止まったり、大音量でエリアメールが来たりして、怖ろしかったです。
広島県内で大雨 今年初の避難指示 交通に乱れも(こちらは有料記事のため途中までしか読めません)
しかし一夜明けて、今は太陽がギンギンに照ってます。暑いです。
さて、ようやく吉田秋生『詩歌川百景』2(小学館)を読んだので簡単に感想とコメントを書いておこうかなと。
はい、白状します。前巻は新刊で買いましたけど、今回は図書館で借りました。理由は↑やそのあともちらっと書いてますが、期待したものと違ったからです。急がないし、気に入ったら買えばいいかなと思って(そのあたりの、本のランク付けの話はこちら)。
で。
なんというか……1巻とあまり変わらない印象でした。1回目豪雨の中パラ読みしたので、そのあとあらためて読み直したのですが、ほとんどそのままでしたね。
以下、内容にも若干触れますので未読の方はネタバレにご注意。
またまたネタバレというほどでもないのですが、個人的にヒロインがダメです。合わないんです。読んでいても感情の流れが読み取りにくいし、これからどこを目指すのかが分かりづらい。朝ドラのヒロインみたいに(←偏見入ってます)、はっちゃけていて失敗続きで悩み多くて、それでも「あの空の星が欲しいの」くらいの分かりやすさだといいんですが。進学を止めて家で働く決意をしたあたりの心理的な流れが、何度読んでもよく分かりません。17,8歳の女の子が、キラキラした都会の暮らしや友人、大学生活で新たに得られるなにか大切で素敵なものをあっさり諦めて、閉鎖的な地元で家業をやる決意ってなんだろう? 「都会は人の情がなくて怖い、この温泉宿を世界一、ううん宇宙一にするの」くらいビッグなマウスだと共感出来るんですけどね。
吉田さんの作品はスーパーなキャラがよく出てきていて、それが合わないような気もします。このヒロインもその一人で完全無欠っぽい……って、そもそも吉田秋生作品が合わないってこと!? 『吉祥天女』は好きだったけど、そもそも話の種類が違うか。
前作というか、スピンオフの元作、海街diaryにはそれがなかったんですよね。
↑初回の感想です。もう16年も前なのか……。毎回掲載を楽しみにしていて、雑誌で読んでいるにも関わらずいそいそと単行本を買いに行きましたもの。このシリーズはどんどん構想が広がっていったのか、話が進むうち登場人物がかなり増えましたけど、いい群像劇になってたと思います。名作でした。
話を元へ戻して。
この『詩歌川百景』は最初からそれをやっちゃったのが分かりづらくなっている理由ではないかと。温泉宿の一家(一族)をどーん、温泉町の人々をどーん、そして温泉についての蘊蓄をどーんと初回から食らい続けてますから、息つく暇がないのです。和樹だけはしっかりキャラも立っていて心情を追いやすいのですが、それは海街diaryの頃から出ているからですね、ほかのキャラももっとゆっくりじっくり時間をかけて登場させてたら違っていたかも。
あと大人たちの一部が、リアルに描いてあるということなんでしょうが、いささか毒がありすぎです。ヒロイン母はもちろん、今回登場のOLの叔母もなんであんなにトガっているんだろう、と。祖母が巧くフォローしてはいましたけど、「(こちらの)言いたいことをいってくれた」よりは「大人ならもう少し言い方が……」という感想です。スカッとするよりはもやもやが残りましたね。
「深呼吸ができなくなったから」という作中の台詞がありましたけど、重苦しいエピソードや流れがところどころにあって、読み手が息苦しくなった2巻の読後でした。
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