Local-Liner ~静サツ雑記帳

静岡運転所札幌派出所=静サツへようこそ。
札幌圏の鉄道を軸に、気ままに書き連ねていく日記です。

18きっぷで留萌本線全駅踏破の旅 最終回(第9回) 人と町をつなぐ線路~**駅

2016年01月22日 | 鉄道 ‐ 旅行(2016年)



[留萌本線 4932D 増毛15:41→深川17:17]
《阿分 15:59発》

 野趣味あふれる小さな駅・阿分でのリベンジを果たし、旅はいよいよラストを迎えます。



 列車内は増毛行きと同じ混雑。というか、ほとんど同じ顔ぶれですね。



 4932Dの行路表。留萌本線でも貴重な各駅停車です。
 北海道においては、普通=各駅停車は成立しません。この留萌本線は顕著で、全列車が停まるのは、深川、石狩沼田、峠下、留萌、礼受、舎熊、増毛のみです。真の意味での各駅停車は上下2本ずつしかありません。



 前方デッキは既に占領済み。



 かといって側窓は凍りついていますから、景色もあったもんじゃありません。



《留萌 16:13着(2分遅れ)》

 留萌に到着。時間調整のため、ここで7分停車します。



 時間があるので改札口を出てきました。
 留萌本線単独駅では2つしかない有人駅の1つ(直営では唯一)です。



 深川~増毛の運行を管理する駅でもあるため、コンクリート造りの大きな駅舎を持ちます。



 窓口は4932Dが発車するまでの営業です。



 交換がないため、左側通行の原則を無視して、駅舎に面する1番線から発車します。

 ……後から気づいたのですが、時間があったのに反対側の側面を撮るのを忘れたのは痛恨のミスでした。

《留萌 16:18発》


 
 何人かの撮影者に見送られるようにして留萌を出ます。



 留萌でさらに乗車し、満員の車内。

 そして、時はあっという間に過ぎ――



 辺りが闇に包まれたころ、静サツはついに留萌本線全20駅で残していた最後の一駅に降り立ちました。



《石狩沼田 17:00着》

 全列車が停車する、留萌本線の主要駅・石狩沼田です。



 またしても私一人をおいて、列車は深川へと去っていきました。



[駅データ/石狩沼田駅 Ishikari-numata]
開業:1910年11月23日
構造:1面1線(かつては2面3線)
由来:沼田町を切り開いた沼田喜三郎の名前にちなむ


 石狩沼田駅は、沼田町の中心にある駅です。
 名前は以前触れたとおり、沼田の町の開拓を進めた沼田喜三郎の名前が由来です。この人は現在の富山県小矢部市生まれですが、齢五十を目前にして北海道へ移住。精米会社を起こした後、それを元手に移住斡旋事業をスタート。生まれの砺波地方から18戸を移住させました。現在北海道きっての稲作地となっている沼田町の基礎を築いたのでした。

 石狩沼田は、かつては札沼線の終点駅でもありました。
 現在では学園都市線と呼ばれることが多いですが、元々は札幌と石狩沼田を結んでいた路線です。新十津川~石狩沼田は戦中の休止をはさんだ後、1972年に廃止されています。
 沼田から札幌へは既に急行「ましけ」(札幌~増毛)、「はぼろ」(札幌~留萌~幌延)が走っていましたし、函館本線と留萌本線はともに一級の幹線でしたから、線路規格が低い札沼線が廃止されたのも無理なかったのかもしれません。



 農業で栄え、留萌本線沿線きっての利用者数を誇る駅ですが、合理化の波には勝てませんでした。2面3線あったホームのうち、島式ホームの2線を廃止しています。
 交換設備廃止は1994年と遅かったため、駅名表や屋根もそのまま雪に埋もれています。



 さて、石狩沼田は留萌本線内でも貴重な有人駅なのですが、改札はしていません。沼田町観光協会に窓口業務を委託しているからです。
 そのため、有人ながらノーチェックで入れます。



 営業時間はまさかの14時前に終了。ついでに昼休憩があるため、実質正午ごろまでの営業です。
 隣には「ぜひ窓口をご利用ください」と書いてありましたが、この時間設定で果たして使えるのだろうか……



 沼田は留萌、旭川、深川からほぼ等距離の位置にあります。ただしこれは鉄道を使った場合で、深川へは北竜町経由で10kmほど短縮できます。もっとも、こちらの方向にバスは走っていない(※)ので留萌本線が最速ルートになるわけですが……
 (※……札沼線廃止区間に沿う形で、滝川から北竜町碧水まで空知中央バスが、碧水から沼田駅までが沼田町営バスで運行されているが、町営バスが平日のみ2往復な上、接続もない)



 広い待合室には、ベンチが4つ。暖房も入っています。



 トイレ前にはとんでもない張り紙が。ついにトイレットペーパーの供給すら尽きたようです。
 沼田町の代表駅ということで、町も少ないお金でなんとか維持しようと必死なのが分かります。



 待合室の正面に飾られているのは、留萌鉄道で活躍し、沼田町で現在保管されているクラウス15号機関車の写真です。



 沼田町の玄関だけあって駅舎も立派。



 200メートルほど歩くと町の中心部が見えます。うーん、秩父別のほうがにぎやかだったような(あっちは昼だったからかもしれませんが)……



 後は深川経由で帰るだけなのですが、ここで問題が。深川行きの列車は、18時57分までないのです。しかも、深川で普通列車の接続がないため、鈍行旅をするなら深川で2時間ほど待たされることになります。
 深川~滝川で特急ワープを使えば、滝川始発の普通列車(930D:19時56分発)に乗れますが、それでも札幌へは21時47分着と遅くなってしまいます。

 でもご安心を。なにも鉄道だけが旅じゃないのです。



 町方向に少し歩いたところに、沼田駅前バス停があります。ここから、17時35分発(休日ダイヤ)の深川市立病院行きのバスが出ているのです。
 中心部を国道が通らない(=つまり、幌糠などと違い札幌~留萌や旭川~留萌のバスが通らない)沼田町では数少ない留萌本線のライバルですが、本数は休日の場合1日たった4往復で、勝負にもなりません。



 17時35分、バスが現れました……って、これは恵比島駅経由幌新温泉行きの町営バスですね。



 3分遅れでバスが到着。これにて深川を目指します。
 できれば遅れないでついてほしいものですが……

[空知中央バス沼田線 沼田駅前17:35→深川市立病院18:05]
《沼田駅前 17:40発(+5分)》



 しばらくは沼田町の市街地を走ります。



 私以外乗客はいません。



 沼田の町を出ると、道路の奥には何も見えません。



 道路も雨竜川をトラスで越えます。



 360度雪に埋もれた田園の中をひたすら直進。すでに10分近く進んでいます。



 遠くに見えるわずかな明かりが、深川留萌自動車道です。



 どのバス停にも停まらないまま、バスは秩父別の中心部に入ります。



 秩父別市街地へ。役場前で始めて私以外の客が乗りました。



 国道に乗ったところで、道路がカーブしている以外の違いはありません。



 あまりに率直過ぎる『深川市境界』バス停から深川市になります。

 


 突如大きな病院が野畑の中に出現。深川第一病院です。ここで4人乗車。



 ロードサイドショップが増え、町が近づいたことを感じさせます。



《深川十字街 18:12着(+10分)》

 深川十字街へ下車。駅はここから2ブロックほど歩いたところにあります。

 ところで、沼田発車時点での選択肢は、3つありました。
 最善の案は、深川18時4分発の岩見沢行き2254Mに乗ること。これに乗れば、札幌に20時17分に到着できます。
 遅れないでほしかったのは、ダイヤどおりでも深川十字街到着が18時2分になってしまうからです。しかし、結局遅れたため、この案は廃案。
 次善の案は、その次の18時14分発「スーパーカムイ38号」に乗ることです。運賃と特急料金がかかりますが、次の滝川で先行する2254Mに追いつくのです。740円かかりますが、これなら修正が効きます。
 最後の案は、深川でご飯を食べた後、21時15分発の岩見沢行き2284Mに乗ること。追加料金はかかりませんが、札幌へは23時14分着と遅くなってしまいます。

 ほかにも、深川市立病院から滝川駅のバスに乗って19時56分発の930Dに乗る案などもありましたが、どれも待ち時間が1時間近くある上、札幌への到着が遅くなるという微妙な結果になるため、できるだけ「スーパーカムイ38号」に乗れるのが望ましいのです。
 というより、そうでもしないと、沼田からわざわざ470円払ってバスに乗った意味がなくなってしまいます。

 駅まではおよそ500メートル。さあ、急げ!



 全力疾走で18時14分、深川駅に到着。 発車時間ですが、走ればぎりぎりいけるはず!



 雪に阻まれながらなんとか建物へ!



 息を切らしながら、なんと「スーパーカムイ38号」は遅れ! 発車どころか、入線にすら間に合ってしまいました。
 走った甲斐がありました。これで追いつけなかったら本当に無駄足でした。



 2回目の785系でワープを決行します。

[函館本線 2038M 特急 スーパーカムイ38号 旭川17:55→新千歳空港20:02(札幌から快速エアポート)]
《深川 18:16発(2分遅れ)》



 20分ほど快適なシートで身を休め、



《滝川 18:29着(2分遅れ)》

 滝川までのワープ成功。先行する普通列車に追いつくことが出来ました。



[函館本線 3254M 旭川17:40→岩見沢19:17]
《滝川 17:35発》

《岩見沢 19:17着》

 再び鈍行旅となってで岩見沢に到着。遅れていたのは、この列車が前をふさいでいたからのようです。そう考えると、深川で乗れたのはかなりラッキーだったんですね。



 次の列車まで時間があるので駅前へ。電飾のイルミネーションアートで広場が彩られています。



 戻ったところで問題発生。

 この日の15時ごろ、普通列車で車両故障が起きました。しかし、その後、車両をひねり出すため運用短縮や運転休止が相次ぎ、とっくに出ているはずの19時5分発の小樽行きが遅れを蒙ってしまったのです。
 幸い、運休とはならなかったのですが、19時40分発のいしかりライナーを各駅停車化しその代わりとしたため、事実上運休となってしまったのです。
 その結果、続く「スーパーカムイ40号」が、岩見沢~札幌を特例で乗車券だけで乗れることになりました。

 ……あれ? ってことは、青春18きっぷも!?



 青春18きっぷでも乗車できることを確認し、うきうきでホームに向かいます。
 反対側ホームに「スーパーカムイ33号」が到着しますが、こちらはこちらで30分遅れ。私が留萌にいた間に、札幌圏は大混乱に陥っていたようです。

 実のところ、大混乱だったのは札幌だけではありませんでした。
 この日は道北・道東が大雪となり、「スーパー宗谷」「オホーツク」などの特急は運休、最終的に名寄以北と旭川以東は全面運休に陥りました。
 本日のメインディッシュ・留萌本線もまた運休しやすい路線の一つ。よく帰ってこれたなあ……



 5分遅れで「スーパーカムイ40号」が到着。本日3度目の785系となりました。

(編成:札サウNE-5)←札幌 クハ785-5+モハ784-501+モハ785-5+サハ784-5+クモハ785-5 (旭川→)



《岩見沢 19:30発(5分遅れ)》

 1両当たり15人ほど乗せて、岩見沢を出発。



 18きっぷで本来乗れるはずのない、岩見沢~
 留萌本線が運休にならなかった件といい、深川での接続といい、とてつもなく運がよかったとしか言えません。



 窓から見える明かりの数が増え、札幌が近づいたことを感じさせます。



《札幌 19:55着(5分遅れ)》

 こうして、785系で札幌を離れた私は、785系で札幌に戻ってきました。



 本当はこの後「はまなす」を狙うつもりでしたが、いろいろありすぎたのでこれで終了。家路に着きましたとさ。

 ということで、『18きっぷで留萌本線全駅踏破の旅』は、これで完結となります。
 ご視聴ありがとうございました。


おまけ:



 秋から春までにかけての名物、札幌貨物ターミナル~富良野の臨時貨物列車(滝川駅にて)。
 富良野からタマネギやジャガイモなど、農作物を全国に運びます。



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