前回までのルート:
1日目 (静岡→戸田公園→高崎→越後湯沢→石打)
2日目 (石打→青海川→新潟→新発田→新津→新潟→(府屋往復+村上往復)→新潟)
3日目 (新潟→)直江津→新潟
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国鉄色のT18編成に乗って、終点の秋田までを乗りとおします。
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115系やE127系とも、ここでお別れです。
[白新線・羽越本線 2005M 特急 いなほ5号 新潟12:29→秋田16:10]
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《新潟 12:29発》
列車はゆっくりと新潟駅を発車しました。
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上沼垂で休んでいるT編成と、一瞬の交錯。
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新潟新幹線車両センター(上越新幹線の車両基地)に続く高架を横に、「いなほ5号」は白新線に入ります。
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広大な敷地をもつ新潟貨物ターミナルの脇を通過。
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最初の停車駅・豊栄では、先行していた豊栄止まりの普通列車から接続。
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R編成の「いなほ8号」ともこの駅ですれ違います。
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新発田からは羽越本線に入ります。直線を疾走する485系から田園風景を眺めるのも今日が最後です。
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《村上 13:19発》
村上を過ぎ、いよいよ羽越本線の本番。
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間島から単線となり、海沿いを走ります。雄大な日本海をさえぎるものはありません。
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13時を過ぎたのでここでお弁当をご開帳。直江津駅で買っておいた『春日山』。上越市を本拠とした上杉謙信の絵柄が目印の駅弁です。
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中身は焼き魚・昆布巻きなど魚主体のおかずが入った幕の内弁当です。
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前方に奇怪な形をした山が見えてくると、笹川流れの到来です。
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海岸線にまで岩山がせり出す地形の中を、485系は速度を落としながら進みます。
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勝木~府屋間にある大崎山トンネル。海沿いを走っていた旧線から内陸よりの新線に移す際、輸送力増強のため勝木~府屋の複線化工事をすることになり、この大崎山トンネルも複線規格で作られました。しかし、複線化計画は頓挫。片側にのみ線路を敷いた状態で使われています。
《府屋 13:50発》
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県境を越え、山形県へと入りました(写真は小岩川駅)。
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山形県最初の停車駅はあつみ温泉。「あつみ」は、漢字では「温海」と書きます。1977年にこの駅名になってから、駅前に広がる温泉街もひらがな表記されることが多くなりました。
ちなみに、あつみ温泉(温海温泉)は塩化物泉。東海道本線の熱海や磐越西線の磐梯熱海(←岩代熱海)と同じ由来です。
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再び日本海沿いを海面レベルで走ります。
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三瀬駅を出たあたりから景色が急変。山に入ったかと思うと、一面田んぼの世界へと戻ります。庄内平野です。
海なし県と思われがちな山形県ですが、鶴岡・酒田を中心とした庄内平野一帯も山形県に属します。明治までは独立した地域でしたが、1876年に山形県に編入されました。
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《酒田 14:43着》
新潟と同じく米どころの庄内平野を走ること20分。庄内平野の北端・酒田に到着しました。
「いなほ」は7往復ありますが、大部分は酒田止まりとなっています。「いなほ」は新潟で東京からの新幹線を受けますが、秋田へは秋田新幹線の方が便利です。逆に、庄内地方は、山形県の山間部とつながりが薄いため、新潟回りの方が速くなります(山形新幹線を陸羽西線経由で庄内地方に伸ばす計画もあったほど)。
秋田まで向かう「いなほ」は、この5号を入れて3本のみとなります。羽越本線でももっとも本数が少ない区間です。
《酒田 14:45発》
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庄内平野を大回りしてきた羽越本線は、酒田から再び日本海沿いを走るようになります。
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女鹿と小砂川との間で県境を越え、「いなほ5号」は秋田県へ。
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海岸線を走ってきた新潟県~山形県の県境とは異なり、山形県~秋田県では海岸段丘の上を走るため、海との距離は近くありません。
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《羽後本荘 15:37発》
最後の停車駅・羽後本荘からはラストスパート。
《秋田 16:10着》
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新潟から3時間半。T18編成は無事秋田駅に到着しました。
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到着後すぐ、16時34分発の折り返し「いなほ14号」に備えて車内清掃が始まります。
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方向幕も新潟行きにチェンジ。
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これだけ見ると国鉄の特急に見えなくもありません。
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T18編成に別れを告げ、次の列車に――
乗りません。
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青森方面の列車は16時33分発の地獄のロングシート701系の普通列車があり、これに乗ると青森に20時1分に着くことができます。
しかし、その先の列車がありません。
函館方面の列車は青森19:38分発の「スーパー白鳥33号」が出てしまうと、22時42分発の「はまなす」までありません。「スーパー白鳥33号」も函館先から先に接続していないわけですから、どのみち「はまなす」に乗ることとなります。
先ほどの普通列車は青森20時1分着。18キッパー泣かせの701系に3時間半も揺られた挙句に辿り着いた先で、再び2時間近く待たされることとなってしまいます。
おまけに、青森駅周辺にはあまり店がありません。市街地から外れたところにあるため、駅前は居酒屋ぐらいしかありません。20時ともなればなおさらです。
ということで、秋田で時間を作り、早いですが夕食タイムとします。
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秋田駅を出る直前、珍しいものを見かけました。秋田新幹線の最新型・E6系です。この帰省の後のダイヤ改正でE6系が大量投入されましたが、8月26日の時点で秋田に来るE6系は5往復とまだまだ少数派でした。
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駅舎を出て、飲食店を探します。
……が、秋田も秋田で市街地から離れたところに駅があります。調べてみると、バスで10分近く行ったところにぽつぽつとある程度……
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結局、駅に近い居酒屋のお店で「きりたんぽ定食」を注文。少しだけですが、秋田気分を味わえたのでよかったこととしましょう。
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食べ終わって秋田駅に戻ると、E3系が発車するところでした。ホーム(11・12番線)は在来線と同レベルなものの、新幹線は別改札なので正面からは撮ることができませんでした。
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秋田からは3方向に路線が分岐していますが、普通列車は全て701系。オールロングシートです。最近は3両編成の一部(の一部)がクロスシート改造されているようですが、平気で3時間~4時間かかる列車に投入されるので長旅には辛いです。あれ、その話、どっか(静岡とか静岡とか静岡とか)で聞いたことがあるような……
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E6系の「こまち37号」。8月20日から、「スーパーこまち」専属だったE6系が「こまち」にも入るようになりました。この日2度目のE6系です。
9月のダイヤ改正で、半数以上がE6系となってしまいました。今思うと、もっとE3系をとっておけばよかったと思います。
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18時37分発の大館行きで、青森方面へと進みます。
次回が帰省記も最後になります。
おまけ:485系の話
新潟の485系はR編成・K編成・T編成とありますが、T編成だけ編成ごとに分けて紹介していることに疑問を持った方もおられるのではないでしょうか?
485系祭りだった後半第9回~12回のどこかでこの話を書こうと思っていたのですが、かけるスペースが見当たらなかったためここにあとがき的に書いていくこととします。
なお、この話は「迷列車(ぬったり)の人」ことR.Y.O.Bunsyou様の「迷列車で行こう 北越編 第21回 485系国鉄色の運用原則(一応)」(http://www.nicovideo.jp/watch/nm20837202)・同シリーズ「第21.5回 485系新潟車の運用(崩壊)」(http://www.nicovideo.jp/watch/nm21234548)を参考に書いているため、こちらの動画をごらんになることを強くお勧めします。
まず分類の一つ目が、ドアステップの有無です。
実は、第11回(485系に乗って その3 いなほ7号 撮影編)でちらっと紹介しています。
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こちらが、「いなほ7号」のT18編成の乗車口。床面との間に段差があります。
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一方、「くびき野3号」のT17編成の乗車口は、その段差がステップで埋められています。
この違いは、停車するホームにあります。
ホームの高さは、国鉄の基準によれば、客車・気動車のホームで760mm、電車専用で1100mm、共用ホームは920mmとされていました。客車や気動車で数字が低いのは、これらの車両には乗降口にステップがついていたためです。キハ35系に至っては、ステップをつけるためだけにドアを外吊りにしてしまった(戸袋と強度の問題)ほどです。国鉄時代はほぼ全ての車両で床面は1200mm前後、ステップをつけると1000mm前後(いずれも線路基準)でしたから、どの車両でもホームより乗り込み口が下がらないように設計されていました。
1970年代になると、東北・北陸・九州などで交流電化が行われるようになります。このとき、優等列車はおおむね電車化された一方、普通列車は客車のままで残りました。交流機器が高く交流電車が簡単に作れなかったのが原因です。特に交直流の境目を含む区間ではなかなか電車を投入できず、新潟のように気動車にしてしまった例もあります。
このため、電車化された優等列車も、客車・気動車に対応したプラットホームに停車する必要が生じました。そこで、優等列車に使用される電車にもステップをつけ、それまでのホームでも乗り込めるようにしました。特に、485系は床下が走行機器で圧迫された結果、床面自体が1235mmとなってしまったので、ステップは必須でした。
時は流れ、客車だった普通列車も電車に置き換わりましたが、ホームの改良を最小限にするためにステップをつけた車両(413系・717系など)や床面そのものを下げた車両(701系・E721系など)が登場しました。このため、優等列車の停車駅ではかさ上げが行われず、現在でもステップは使用されています。
では、なぜT17(T16もですが)編成は埋めているのか。
それは、「くびき野」の停車駅の一つ・春日山駅のせいです。直江津と高田の間にあり上越市役所に近いこの駅は、2000年に駅を市役所の近くに移設しましたが、その際にホームの高さが1100mmとなってしまいました。485系ではステップの高さが970mmなので、このままでは乗車するときに一段下がってしまうことになります。そのため、「くびき野」専属状態のT16・T17編成はステップが埋められているのです。
また、首都圏は軒並み1100mm高ホームとなっているため、「ムーンライトえちご」の他首都圏のホームライナー運用もあったK編成はステップを埋めています。
一方、「いなほ」「北越」には760mm高のホームを使う駅がまだあります。ステップを埋めた場合、乗降口での差は1235-760=465mmにも達します。45cmもの差があると乗降には大変です。そのため、埋めていないR編成やT編成の残りを使用しています。このため、ステップ埋めが基本のK編成が代走することは稀です(特に「いなほ」)。ただし、9月28日からE653系が入った関係で760mmホームがかさ上げされたとのことで、これならばK編成も問題なく特急の代走を努めることができます。
仮に、車両故障でステップを埋めた車両が特急運用に入る場合はステップをはずしてから運用に入ります。逆に、ステップを埋めてない車両が「くびき野」など埋める必要がある場合は運用前に埋めます。T18編成は普段ステップは埋めていませんが、「ムーンライトえちご」に入ることもあるため埋めるための金具が設置されています。豪雪地帯・新潟では運休・運用変更は頻繁に生じます。
なお、920mmホームが標準の北陸では埋めても埋めてなくても入れるため、「北越」はピンチヒッターがよく登場します。過去にはT18・K1・K2の国鉄色トリオ全てが「北越」の運用に入ったことがあるとか。5運用中3運用って、残りの車両はどうしたんでしょう。
そして、もう一つは保安装置の関係です。
新潟の485系のうち、R26・R27・T18・K1・K2編成はATS-Pを搭載しています。Pは「パターン(Pattern)」の頭文字で、停止信号で停止するために必要な速度パターンがあり、このパターンを超過したときに停止させる方式です。理論的には冒進はありえないため、列車間隔の狭い大都市圏をはじめとしてATS-Pが採用されています。特に、首都圏と近畿(+ほくほく線・りんかい線)では、列車と信号の間で地上子(線路上に置かれた列車の速度を把握するための装置)を介して相互に情報をやりとりするエンコーダ方式を利用しているため、原理的にそれまでのATS-S(速度超過で減速/停止以外の機能はない)は使用できず、対応した装置を車両に載せる必要があります。
R26・R27編成は元「はくたか」用のR1・R2編成、T18・K1・K2編成は元青森車のT10~T12編成で、半年間急行「つがる」(上野~青森)に使用するためにATS-Pを装着しました。
保安装置関係では列車無線もあります。首都圏では列車無線がデジタル無線に変更されているため、T18・K1・K2編成はこれも備えています。アナログ無線と併用はできないので首都圏にいけるのはこの3編成のみと言うことになります。
以上をまとめると、次の通りです。
A:R21~R28(R24は欠番)・T11~T15
B:T16・T17
C:R26・R27
D:T18・K1・K2
特急運用……………A→○ B→▲ C→○ D→●
快速運用……………A→▼ B→○ C→▼ D→▼
首都圏乗り入れ……A→× B→× C→× D→○
ATS-P乗り入れ……A→× B→× C→○ D→○
記号凡例:○=運用可能 △=ステップを外せば運用可能 ▽=ステップを埋めれば運用可能 ×=運用不可
黒=運用に入ることは稀
こうしてみてみると、T18・K1・K2編成が万能となっているのがわかります。当分の間、新潟では国鉄色の485系を見られそうです。
1日目 (静岡→戸田公園→高崎→越後湯沢→石打)
2日目 (石打→青海川→新潟→新発田→新津→新潟→(府屋往復+村上往復)→新潟)
3日目 (新潟→)直江津→新潟
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国鉄色のT18編成に乗って、終点の秋田までを乗りとおします。
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115系やE127系とも、ここでお別れです。
[白新線・羽越本線 2005M 特急 いなほ5号 新潟12:29→秋田16:10]
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《新潟 12:29発》
列車はゆっくりと新潟駅を発車しました。
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上沼垂で休んでいるT編成と、一瞬の交錯。
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新潟新幹線車両センター(上越新幹線の車両基地)に続く高架を横に、「いなほ5号」は白新線に入ります。
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広大な敷地をもつ新潟貨物ターミナルの脇を通過。
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最初の停車駅・豊栄では、先行していた豊栄止まりの普通列車から接続。
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R編成の「いなほ8号」ともこの駅ですれ違います。
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新発田からは羽越本線に入ります。直線を疾走する485系から田園風景を眺めるのも今日が最後です。
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《村上 13:19発》
村上を過ぎ、いよいよ羽越本線の本番。
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間島から単線となり、海沿いを走ります。雄大な日本海をさえぎるものはありません。
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13時を過ぎたのでここでお弁当をご開帳。直江津駅で買っておいた『春日山』。上越市を本拠とした上杉謙信の絵柄が目印の駅弁です。
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中身は焼き魚・昆布巻きなど魚主体のおかずが入った幕の内弁当です。
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前方に奇怪な形をした山が見えてくると、笹川流れの到来です。
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海岸線にまで岩山がせり出す地形の中を、485系は速度を落としながら進みます。
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勝木~府屋間にある大崎山トンネル。海沿いを走っていた旧線から内陸よりの新線に移す際、輸送力増強のため勝木~府屋の複線化工事をすることになり、この大崎山トンネルも複線規格で作られました。しかし、複線化計画は頓挫。片側にのみ線路を敷いた状態で使われています。
《府屋 13:50発》
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県境を越え、山形県へと入りました(写真は小岩川駅)。
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山形県最初の停車駅はあつみ温泉。「あつみ」は、漢字では「温海」と書きます。1977年にこの駅名になってから、駅前に広がる温泉街もひらがな表記されることが多くなりました。
ちなみに、あつみ温泉(温海温泉)は塩化物泉。東海道本線の熱海や磐越西線の磐梯熱海(←岩代熱海)と同じ由来です。
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再び日本海沿いを海面レベルで走ります。
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三瀬駅を出たあたりから景色が急変。山に入ったかと思うと、一面田んぼの世界へと戻ります。庄内平野です。
海なし県と思われがちな山形県ですが、鶴岡・酒田を中心とした庄内平野一帯も山形県に属します。明治までは独立した地域でしたが、1876年に山形県に編入されました。
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《酒田 14:43着》
新潟と同じく米どころの庄内平野を走ること20分。庄内平野の北端・酒田に到着しました。
「いなほ」は7往復ありますが、大部分は酒田止まりとなっています。「いなほ」は新潟で東京からの新幹線を受けますが、秋田へは秋田新幹線の方が便利です。逆に、庄内地方は、山形県の山間部とつながりが薄いため、新潟回りの方が速くなります(山形新幹線を陸羽西線経由で庄内地方に伸ばす計画もあったほど)。
秋田まで向かう「いなほ」は、この5号を入れて3本のみとなります。羽越本線でももっとも本数が少ない区間です。
《酒田 14:45発》
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庄内平野を大回りしてきた羽越本線は、酒田から再び日本海沿いを走るようになります。
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女鹿と小砂川との間で県境を越え、「いなほ5号」は秋田県へ。
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海岸線を走ってきた新潟県~山形県の県境とは異なり、山形県~秋田県では海岸段丘の上を走るため、海との距離は近くありません。
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《羽後本荘 15:37発》
最後の停車駅・羽後本荘からはラストスパート。
《秋田 16:10着》
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新潟から3時間半。T18編成は無事秋田駅に到着しました。
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到着後すぐ、16時34分発の折り返し「いなほ14号」に備えて車内清掃が始まります。
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方向幕も新潟行きにチェンジ。
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これだけ見ると国鉄の特急に見えなくもありません。
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T18編成に別れを告げ、次の列車に――
乗りません。
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青森方面の列車は16時33分発の
しかし、その先の列車がありません。
函館方面の列車は青森19:38分発の「スーパー白鳥33号」が出てしまうと、22時42分発の「はまなす」までありません。「スーパー白鳥33号」も函館先から先に接続していないわけですから、どのみち「はまなす」に乗ることとなります。
先ほどの普通列車は青森20時1分着。18キッパー泣かせの701系に3時間半も揺られた挙句に辿り着いた先で、再び2時間近く待たされることとなってしまいます。
おまけに、青森駅周辺にはあまり店がありません。市街地から外れたところにあるため、駅前は居酒屋ぐらいしかありません。20時ともなればなおさらです。
ということで、秋田で時間を作り、早いですが夕食タイムとします。
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秋田駅を出る直前、珍しいものを見かけました。秋田新幹線の最新型・E6系です。この帰省の後のダイヤ改正でE6系が大量投入されましたが、8月26日の時点で秋田に来るE6系は5往復とまだまだ少数派でした。
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駅舎を出て、飲食店を探します。
……が、秋田も秋田で市街地から離れたところに駅があります。調べてみると、バスで10分近く行ったところにぽつぽつとある程度……
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結局、駅に近い居酒屋のお店で「きりたんぽ定食」を注文。少しだけですが、秋田気分を味わえたのでよかったこととしましょう。
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食べ終わって秋田駅に戻ると、E3系が発車するところでした。ホーム(11・12番線)は在来線と同レベルなものの、新幹線は別改札なので正面からは撮ることができませんでした。
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秋田からは3方向に路線が分岐していますが、普通列車は全て701系。オールロングシートです。最近は3両編成の一部(の一部)がクロスシート改造されているようですが、平気で3時間~4時間かかる列車に投入されるので長旅には辛いです。あれ、その話、どっか(静岡とか静岡とか静岡とか)で聞いたことがあるような……
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E6系の「こまち37号」。8月20日から、「スーパーこまち」専属だったE6系が「こまち」にも入るようになりました。この日2度目のE6系です。
9月のダイヤ改正で、半数以上がE6系となってしまいました。今思うと、もっとE3系をとっておけばよかったと思います。
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18時37分発の大館行きで、青森方面へと進みます。
次回が帰省記も最後になります。
おまけ:485系の話
新潟の485系はR編成・K編成・T編成とありますが、T編成だけ編成ごとに分けて紹介していることに疑問を持った方もおられるのではないでしょうか?
485系祭りだった後半第9回~12回のどこかでこの話を書こうと思っていたのですが、かけるスペースが見当たらなかったためここにあとがき的に書いていくこととします。
なお、この話は「迷列車(ぬったり)の人」ことR.Y.O.Bunsyou様の「迷列車で行こう 北越編 第21回 485系国鉄色の運用原則(一応)」(http://www.nicovideo.jp/watch/nm20837202)・同シリーズ「第21.5回 485系新潟車の運用(崩壊)」(http://www.nicovideo.jp/watch/nm21234548)を参考に書いているため、こちらの動画をごらんになることを強くお勧めします。
まず分類の一つ目が、ドアステップの有無です。
実は、第11回(485系に乗って その3 いなほ7号 撮影編)でちらっと紹介しています。
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こちらが、「いなほ7号」のT18編成の乗車口。床面との間に段差があります。
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一方、「くびき野3号」のT17編成の乗車口は、その段差がステップで埋められています。
この違いは、停車するホームにあります。
ホームの高さは、国鉄の基準によれば、客車・気動車のホームで760mm、電車専用で1100mm、共用ホームは920mmとされていました。客車や気動車で数字が低いのは、これらの車両には乗降口にステップがついていたためです。キハ35系に至っては、ステップをつけるためだけにドアを外吊りにしてしまった(戸袋と強度の問題)ほどです。国鉄時代はほぼ全ての車両で床面は1200mm前後、ステップをつけると1000mm前後(いずれも線路基準)でしたから、どの車両でもホームより乗り込み口が下がらないように設計されていました。
1970年代になると、東北・北陸・九州などで交流電化が行われるようになります。このとき、優等列車はおおむね電車化された一方、普通列車は客車のままで残りました。交流機器が高く交流電車が簡単に作れなかったのが原因です。特に交直流の境目を含む区間ではなかなか電車を投入できず、新潟のように気動車にしてしまった例もあります。
このため、電車化された優等列車も、客車・気動車に対応したプラットホームに停車する必要が生じました。そこで、優等列車に使用される電車にもステップをつけ、それまでのホームでも乗り込めるようにしました。特に、485系は床下が走行機器で圧迫された結果、床面自体が1235mmとなってしまったので、ステップは必須でした。
時は流れ、客車だった普通列車も電車に置き換わりましたが、ホームの改良を最小限にするためにステップをつけた車両(413系・717系など)や床面そのものを下げた車両(701系・E721系など)が登場しました。このため、優等列車の停車駅ではかさ上げが行われず、現在でもステップは使用されています。
では、なぜT17(T16もですが)編成は埋めているのか。
それは、「くびき野」の停車駅の一つ・春日山駅のせいです。直江津と高田の間にあり上越市役所に近いこの駅は、2000年に駅を市役所の近くに移設しましたが、その際にホームの高さが1100mmとなってしまいました。485系ではステップの高さが970mmなので、このままでは乗車するときに一段下がってしまうことになります。そのため、「くびき野」専属状態のT16・T17編成はステップが埋められているのです。
また、首都圏は軒並み1100mm高ホームとなっているため、「ムーンライトえちご」の他首都圏のホームライナー運用もあったK編成はステップを埋めています。
一方、「いなほ」「北越」には760mm高のホームを使う駅がまだあります。ステップを埋めた場合、乗降口での差は1235-760=465mmにも達します。45cmもの差があると乗降には大変です。そのため、埋めていないR編成やT編成の残りを使用しています。このため、ステップ埋めが基本のK編成が代走することは稀です(特に「いなほ」)。ただし、9月28日からE653系が入った関係で760mmホームがかさ上げされたとのことで、これならばK編成も問題なく特急の代走を努めることができます。
仮に、車両故障でステップを埋めた車両が特急運用に入る場合はステップをはずしてから運用に入ります。逆に、ステップを埋めてない車両が「くびき野」など埋める必要がある場合は運用前に埋めます。T18編成は普段ステップは埋めていませんが、「ムーンライトえちご」に入ることもあるため埋めるための金具が設置されています。豪雪地帯・新潟では運休・運用変更は頻繁に生じます。
なお、920mmホームが標準の北陸では埋めても埋めてなくても入れるため、「北越」はピンチヒッターがよく登場します。過去にはT18・K1・K2の国鉄色トリオ全てが「北越」の運用に入ったことがあるとか。5運用中3運用って、残りの車両はどうしたんでしょう。
そして、もう一つは保安装置の関係です。
新潟の485系のうち、R26・R27・T18・K1・K2編成はATS-Pを搭載しています。Pは「パターン(Pattern)」の頭文字で、停止信号で停止するために必要な速度パターンがあり、このパターンを超過したときに停止させる方式です。理論的には冒進はありえないため、列車間隔の狭い大都市圏をはじめとしてATS-Pが採用されています。特に、首都圏と近畿(+ほくほく線・りんかい線)では、列車と信号の間で地上子(線路上に置かれた列車の速度を把握するための装置)を介して相互に情報をやりとりするエンコーダ方式を利用しているため、原理的にそれまでのATS-S(速度超過で減速/停止以外の機能はない)は使用できず、対応した装置を車両に載せる必要があります。
R26・R27編成は元「はくたか」用のR1・R2編成、T18・K1・K2編成は元青森車のT10~T12編成で、半年間急行「つがる」(上野~青森)に使用するためにATS-Pを装着しました。
保安装置関係では列車無線もあります。首都圏では列車無線がデジタル無線に変更されているため、T18・K1・K2編成はこれも備えています。アナログ無線と併用はできないので首都圏にいけるのはこの3編成のみと言うことになります。
以上をまとめると、次の通りです。
A:R21~R28(R24は欠番)・T11~T15
B:T16・T17
C:R26・R27
D:T18・K1・K2
特急運用……………A→○ B→▲ C→○ D→●
快速運用……………A→▼ B→○ C→▼ D→▼
首都圏乗り入れ……A→× B→× C→× D→○
ATS-P乗り入れ……A→× B→× C→○ D→○
記号凡例:○=運用可能 △=ステップを外せば運用可能 ▽=ステップを埋めれば運用可能 ×=運用不可
黒=運用に入ることは稀
こうしてみてみると、T18・K1・K2編成が万能となっているのがわかります。当分の間、新潟では国鉄色の485系を見られそうです。
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