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NO.142857のブログ

ヴァン・ゴッホはどこにいる?

3月21日

■家に帰ってから大相撲を観たが、鶴竜は横綱じゃない。勝った白鵬にもそれほど強さが感じられない。若いのがまったく出てこない。

■相撲に限ったことではない。こないだ元ブラジル代表のロナウドが今の選手は下手と言い切っていた。

■新聞で、飛び級入学で千葉大に進学したエリートのその後を追う記事を読んだ。

■千葉大は国立大では中堅上位、全体的には難関大と言っていい大学ですが、飛び級入学制度を設けている。

■開設当時、日本は縦社会なので、学生ライフの面で心配されたが、現状はそれどころではないようだ。

■毎年3名くらい入学し、20年間でおよそ60人くらいの卒業生を輩出したが、そのうち学者筋で活躍する人はわずか12人、他は民間企業に普通に就職している。

■初代入学者3人のうちの1人は民間企業で研究員として働いているものの、別の1人は市役所の相談員と、専攻していた宇宙物理学とはなんの関係もない仕事をしている。そして残る1人はなんとトラック運転手だ。

■記事はこのトラック運転手になった佐藤さんを取り上げている。

■とても素敵な人で、何をやるにしても、やる理由は好きだから。今やってる運転手も運転が好きだからやっているだけだ。学生時代から「俺は物理学者になれなかったら、トラック運転手になる」と言っていた。物理学は今でも好きだが、学者を諦めたことに後悔はないと言う。

■なんか悲しい話だった。佐藤さんは探究心旺盛で、高校の恩師も大学の指導教官も認める学者肌の人だった。他の卒業生もみな同じ感じだろう。この国では好きなことを好きなだけやることができない。

■出る杭は打たれる。日本はそういう国だし、さらに時代的な傾向もあいまって、最悪の状態にあるのではないか。他人の自由を妨げることにかけては天才的な国民性だ。

■千葉大が飛び級制度を導入してからおよそ20年経つが、どこも続いていない。そしていつも、古い体質の背後には東大の存在がある。

■この国はぜんぶできる東大タイプか、得意科目で勝負できるといっても、しょせんは早慶レベルの早慶大タイプの秀才がこの国のトップクラスなのだ。これだけは負けないという学生はどこにもいない。

■俳優は番宣でテレビに出まくり、スポーツ選手はファンサービスを怠らず、そして研究者は研究費を稼ぐために、今日も接待やプレゼンで忙しくしている。ひたすら好きなことをやり、妨げる者がいるなら喧嘩をし、そしてそんな彼を助けてくれるひとがいて、はじめて天才は成り立つ。昔からレアケースであるとしても、現代ではいっそう事態は厳しいものになっている。

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