とりあえずあまりかまけている暇はない。
マンローの所説を理解するための覚え書き。

1.メソポタミアの文明は諸民族間の戦争と、諸民族の共通利害の形成(戦争予防)の文明なのだ。
こういう時代は世界史の中でいまだにない。シュメール人が原基になっているが、それは紀元前2千年、ウル第三王朝の滅亡とともに消滅した。
後はセム人を主体としながら印欧語人がしばしば襲来するという構図だ。印欧語人というのは中央アジア人という意味で、セム人生活圏の北方に居住する人々である。

2.以後は唯武器時代だ。強いものが勝つ弱肉強食の時代である。ただし腕っぷしが強いとか勇敢だとかいうだけでは覇者にはなれない。最後に物を言うのは知恵と情報である。

3.ただし中央アジア人そのものが人種の坩堝みたいなところがあり、古くはヨーロッパで絶滅したG人、その後は東西廻廊(シルクロード)を形成したN系人、印欧語人、などが重畳して「中央アジア人」を形成することになる。

4.肝心なことはグリニッジが世界の標準時になっているように、メソポタミアが世界文明史の標準時になっているということだ。そしてヒッタイトで鉄が実用化された紀元前2千年が、人類史の紀元ゼロ年なのだということだ。

少なくともマンローはそう信じているということだ。



紀元前4000年 ティグリス・ユーフラテス両河下流の沖積平野では人口が増加。神殿を中心とした大村落が数多く成立し、銅や青銅器なども普及。文字が発明された。先住のシュメール人の他、セム語族のアッカド人、アムル人、アッシリア人らが侵入。

紀元前3500年 メソポタミア Mesopotamia文明が発生

紀元前3000年 農業や牧畜に直接従事しない神官・戦士・職人・商人などが増え、大村落は都市に発展した。

紀元前2700年 シュメール人が都市文明を建設。ウル・ウルク・ラガシュなど。

紀元前25世紀 ウル第1王朝時代。大規模な治水や灌漑によって農業生産を高め、交易によって必要物資を入手した。都市は周囲を城壁で囲まれ、中心部には神殿。

紀元前24世紀 シュメール人都市の勢力は衰え、北方のセム語系のアッカド人によって征服される。

紀元前24世紀 アッカド人のサルゴン1世、メソポタミアの統一に成功する。さらにシリアや小アジアやアラビアにまで進出。

紀元前23世紀 サルゴン1世の国が東方の山岳民の侵入をうけて滅亡。

紀元前22世紀 シュメール勢力の復興。ウル第3王朝を名乗る。

その後 アムル人がメソポタミアに侵入。アムル人は「西の人」の意味。シリア砂漠に住むセム語系遊牧民。

紀元前20世紀 ウル第3王朝が滅亡する。

紀元前20世紀 印欧語系民族の一支族、中央アジアから移動を開始する。

印欧語族の強さの秘密: 馬を戦闘に使用した。オリエント世界では初めてのことであった。馬に引かせた戦車隊は機動力をいかして先住民をつぎつぎに撃破した。
このためオリエントの各地方の接触が促され、1つの世界としての『古代オリエント』が形成された。
中東BC2千年

紀元前19世紀 アムル人がバビロンを都とする古バビロニア王国を樹立。バビロン第1王朝と呼ばれる。

紀元前19世紀 小アジアのアナトリア高原に印欧語系のヒッタイト人が進出。

紀元前18世紀 古バビロニア王国の第6代王・ハンムラビが、全メソポタミアを統一して中央集権国家に発展。

ハンムラビ王の功績: 
① 運河の大工事をおこなって治水・灌漑を進める。
② シュメール法を継承・集大成したハンムラビ法典を制定する。「目には目を、歯には歯を」の復讐法の原則にもとづく。これにより領内の多民族を統一支配することが可能になる。

紀元前1680 ヒッタイト王国、古バビロニア王国と争ってこれを滅ぼす。

ヒッタイトはバビロニアを破壊・略奪し引き揚げる。メソポタミア南部には印欧語族のカッシート人が入り、バビロン第3王朝を建てる。

紀元前15世紀 印欧語族フルリ人がメソポタミア北部から北シリア一帯にミタンニ王国を形成。

紀元前1430 ヒッタイト新王国が成立。

紀元前1330 ヒッタイト新王国、ミタンニを制圧する。

紀元前1274 ヒッタイト王国、北進してきたエジプト新王国のラメセス2世と、シリアの覇権をめぐって争う。カデシュの戦いで引き分けとなり講和条約を締結。

紀元前13世紀末 東地中海全域を巻き込んだ民族大移動。バルカン方面から大量の民族が侵入する。(海の民の襲来)

紀元前1180 ヒッタイト王国が滅びる。民族大移動が原因とされる。ヒッタイトに独占されていた製鉄技術が、オリエント各地に普及する。

紀元前7世紀 アッシリア、鉄製の武器と騎馬戦術によにより全オリエントの統一に成功。

まもなく新バビロニア・リディア・メディア・エジプトの4大王国に分裂。

紀元前525年 メディア王国の流れをくむアケメネス朝がオリエントを統一