野党の質問者も、東大を始め、高学歴者が多い。時には、政府答弁に業を煮やし、怒鳴り上げる場面さえあった。安倍内閣のアキレス腱を徹底的に攻めて、国民の疑惑を晴らそうと言うのだっただろう。しかし、自民党の質問者の中や、喚問された自民党同調者の参考人などは、ひたすら「加計獣医学部問題」は、首相の関与など考えられないと弁護射撃を行い、安倍内閣のダメージ防御の為に、奮闘していた。この姿こそが「政治」と言うものだと理解したことだった。
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その余燼覚めやらぬ昨日、渦中の1人「稲田防衛相」が辞任を首相まで申し出で、今日中には辞任の運びとなる。稲田氏が首相の秘蔵子であり、周りの嫉妬を買うくらいの寵愛を受けていたのは、周知の事実だ。「次期首相候補」とまで、安倍氏に言わしめている。しかし、防衛省の大臣としては資質に欠けていたようだ。南スーダンでの「日報事件」では、報告があったものをないと言い切り、それも、報告を受けながら「なかったことに了承」を与えていたと言うから、罪は重い。自衛隊幹部の言うままに動いた「操り人形」だった証拠だ。シビリアンコントロールの大原則が侵されかねない。また、東京都都議選での「自衛隊のためにも」なる発言も、重大な公選法違反だ。辞任申し出は、遅過ぎたと内部からさえ批判が出ているとか。
稲田防衛相のほかにも、黒江哲郎事務次官、岡部俊哉陸上幕僚長も連帯責任で辞表を提出したが、これは今日にも、「防衛監察本部の調査結果」が出て、来週に予定される国会での「閉会中審査」をかわす狙いもあるのだとか。要するに「これで一件落着・幕引き」を狙ったものだろうと言う穿った見方もある。事実上の「更迭」であることは間違いない。
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こうした、「森友問題」「加計問題」「自民党議員の不祥事件の続発」などで、自民党の安倍政権は、支持率急降下でノックアウト寸前なのだが、ノックアウトすべき「民進党」もヨタヨタでリングに上がることさえ覚束ない有様だ。都議選では民進党から「都民ファーストの会」に鞍替えした議員がかなりいたとか。民進党は「求心力」を失い「遠心力」が働いていると噂される。代表の蓮舫氏は、先に幹事長の野田氏が辞任を申し出て、ついに自らも責任を取って代表を辞する獅ュ表した。自身の「二重国籍問題」への反省やら、民進党の再生を願っての辞任申し出でだろうと言う。
何しろ1党独裁に近い現在の国会では、どうしても「独善」が先行し、「忖度」が流行し、「驕慢な」権力者には迎合する傾向が生じがちである。健全な野党の存在が、国会を正常化する道である。民進党には有能な実力者が数多くいるはずだ。政策立案能力、政策実行能力、に長けた人材が、我こそと名乗り出て、健全野党を形成していって貰いたいと願っている。