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服部シンの日記(仮)

ただの日記ブログです。

土屋賢二『われ笑う、ゆえにわれあり』

2024-11-27 20:58:02 | 読書感想

笑う哲学者、土屋賢二先生のデビュー作。いわゆる「ユーモアエッセイ」。
他のと比べると一編一編は少し長いけど、この時から氏「らしさ」は発揮されている。(※1)
私は土屋先生のエッセイが好きで15冊以上手元にあって、いまでも楽しんで読み続けている。

本書の中では、「助手との対話」「わたしのプロフィール」「あなたも今日からワープロが好きになる」「わたしはこうして健康に打ち勝った」「学生との対話」「涙の満腹」「健康診断の論理と心理」などが面白かった。
なかなかに捻くれた、屁理屈のオンパレードで、頭空っぽにして夜寝る前に布団で読むのに適している。


※1 読書メーターの感想漁ってて「確かに」と思ったんだけど、この時点では「妻」への言及がないな、と。

土屋賢二『われ笑う、ゆえにわれあり』文春文庫

 


立花隆『ぼくはこんな本を読んできた』

2024-11-27 15:39:48 | 読書感想

著者は2021年に亡くなった、政治から宇宙、脳科学、死や性など非常に幅広い著作のあるノンフィクション作家。刊行は1995年。
何年か積んでいたんだけど、何の気紛れか今回、読んでみることにした。

本書の構成は、以下のような感じ
まず第1章では、「知的好奇心のすすめ」と称して、朝日カルチャーセンターでの講演録が載っている。
第2章は、読書論とか独学の方法について。ここは個人的には知っている部分が多かった。
第3章は、書斎について。この部分は前章よりも面白かった。公募された秘書の選考過程を描いた部分も好き。
第4章は、立花氏の仕事場で行われたインタビューとか、氏が中学時代に振り返った当時の読書遍歴とか、いわゆる「ネコビル」についてとか。
第5章は、当時、『週刊文春』で連載していた「私の読書日記」に寄稿されていた文章。知らない本も多く、なかなか面白かった。


渡部昇一先生の『知的生活の方法』とか佐藤優氏の読書法・勉強本とかとも、また違った本でしたな。
「私の読書日記」を除くと、書斎について書いた部分が特に面白かった。リンゴ箱を大量に集めて本棚としていた、そして狭い空間に机を中心にリンゴ箱の本棚で囲んでいく、という作業は楽しそう。
最先端の知はまだ本になっていなくて、一生懸命、関連の本を読んで知識を頭に入れて、研究者に会ってインタビューをする。プロはインタビュアーの知識水準に応じて答え方を変えてくるので、インタビュアーには相当な勉強が必要、という話は納得がいくものだった。
「私の読書日記」は、私が持っている本も少数あったものの、恐らくはほとんど所持していなかった。
写真集を結構たくさん読んでいたのだな、というのが意外だった。
興味がない、自分の関心分野から外れている本も多かったけど、読んでいて、それなりに楽しめた。
初読だったけど、少なくとも読んで損はしなかった。


立花隆『ぼくはこんな本を読んできた』文藝春秋