魂のレコンキスタ

　

先日のこと。
夜の９時過ぎに仕事を終え、「帰るコール」（死語ですか？笑）をしようとスマホを手に取ったところ、なんとバッテリーが上がっていた。
今朝５時半に家を出たときは充電１００%だったのに、いったいどういうこと？
スマホ初心者の私には、原因がよく分からない。

翌日の昼休み、若い部下にその話をしたところ、色々とアドバイスをしてくれた。

「スマホのバッテリーはすぐに上がるんですよね。僕も毎日充電してます。充電用のバッテリーを持ち歩いている女子高生も多いみたいですよ。」

だけどさ。携帯のバッテリーがすぐに上がっちゃ駄目だろ。
最低２～３日は使えなくちゃ、山で遭難したとき助からないじゃないか。
災害の時だって困るぞ。
バッテリーをもたせるには、どうすればいいのかな？

「液晶画面のライトを暗くするといいみたいです。」

なるほど。暗いのには慣れているぞ。
何しろ私は夜釣り師だからな。わははは。

「電波の悪い所に置いておくと、電波を一生懸命探して電気を消費するらしいです。」

なぬ。確かに、私はいつも机の引き出しの中にしまっているけど、それがいけなかったのか？
机の上に出しておけばいいのかな？
その場合、着信音がうるさいと困るから、バイブにした方がよさそうだね。

「バイブも電気食いますよ。」

マジか！ならばバイブもOFFじゃ！
本当に至急の要件はメールじゃなくて電話してくるはずだから、着信音とバイブは電話だけにして、それ以外のメッセージやメールは、着信音もバイブも全てOFFじゃあ～！
これでどうだ？

「ところで、アプリ開いたままにしてませんでしたか？」

え？駄目なの？

「勝手に通信して、電気食うんですよね。」

何だと！私に断りもなく勝手に通信するなんて許せん！
世が世なら、密通罪で極刑だ！
アプリも全部終了だ！これでどうだあっ！

「でも、それだとただの携帯電話ですよ。」

いいじゃないか。それでいいのだ。
電話以外の機能は、自分が使いたいときに使えればいいのだ。
あたしがあなたに会うのは、あたしが会いたいと思った時だけ。
あなたの思い通りにはならないのよ。
あたしは都合のいい女なんかじゃないわ。
・・・そういうことだ。

「誰ですかそれ？」

われわれの自我は、何者にも縛られることなく自由であるべきだ。
スマホを気にしながら生きる人生なんてまっぴら御免だ。
尾崎豊も歌っているだろう。
♪この支配からの、卒業・・・・

「はあ・・・・・」


かくして私は、魂の尊厳と独立を保つべく、教えてもらった限りの措置を施したスマホを持って、翌日もいつも通りの時間に家を出た。

そして、夜１０時、職場を出る時のバッテリー残量は・・・・

８７％。
よし、勝ったぞ（笑）。