潮待小屋

「遊漁船業界を応援したい!」〜改正遊漁船業法施行に寄せて

 
本年4月1日より、改正遊漁船業法(「遊漁船業の適正化に関する法律の一部を改正する法律」令和5年)が施行され、主に利用者の安全確保に関する規制が強化されました。


○改正遊漁船業法について(水産庁)
https://www.jfa.maff.go.jp/j/enoki/yugyo/what/attach/attach/pdf/index-53.pdf

○改正「業務規程」例


既に報道等で目にされた方も多いかと思いますが、改正後の業務規程例では沖堤防など立入禁止場所への「瀬渡し」が明確にNGとされました。
その他、船長の酒気帯び操船や操業中に船長が自ら竿を出すことなども禁止事項とされていますが、利用者の安全最優先の観点から見ればこれらはそもそも最初からNGだったのでしょうから、特に新たなルールを設けたということではなく、基本事項の明確化と周知徹底の趣旨と思われます。
また、船体整備、出航可否の判断や天候急変時の対応等に関する規程は、北海道の遊覧船事故の教訓を踏まえたものと推察されます。
さらに、損害賠償責任保険の加入義務が乗船定員一人あたり3000万円から5000万円に引き上げられており、これにより遊漁船業者の保険料負担も増えるので、燃料費の高騰とともに今後の乗船料の値上げ要因になるかもしれません。
利用者としては理解しなければいけないところだと思います。


あわせて今回、地域の水産業との調和のとれた「遊漁船業の振興」のため、都道府県知事が地域の遊漁船業者、遊漁船業団体、漁業者等を構成員とする「協議会」を組織できる制度が創設されました。
遊漁船業界の組織化を通じてクロマグロ等の資源管理の実効性を高めたいという思惑も見え隠れしますが、改正で特に私が注目したいのは、この協議会制度です。

千葉県では従来より、漁業調整委員会指示(法令に基づく強制力あり)と海面利用協議会の「推奨ルール」により海面利用の調整が図られてきました(下記リンク参照)。


○千葉県「漁業調整委員会指示」及び「推奨ルール」(令和5年版)


最近、一部界隈で話題になった某ポイントの利用ルール(分かる人には分かるので詳細は控えます)も「推奨ルール」のひとつで、最近できたものではなく平成30年の資料にも掲載されています。


<参考>千葉県「漁業調整委員会指示」及び「推奨ルール」(平成30年)


通常、漁業法に基づく漁業調整では遊漁船業者やその利用者である遊漁者は蚊帳の外ですが、今般示された遊漁船業法に基づく協議会制度は「遊漁船業の振興」を目的としており、遊漁船業者や遊漁船団体が正式な構成員として参加することになるようです。
法の趣旨に則るならば、今後は漁業者サイドの論理や決定事項の一方的な押し付けではなく、遊漁船業界サイドの声も十分に汲み上げた「調和のとれた」調整が行われなければなりません。

実態に合わなくなった古いルールや根拠の妥当性を失った不合理なルールがあり、それらが遊漁船業の円滑な操業の妨げとなり利用者に不便を強いているのであれば、あるいは事業拡大の障害となっているのであれば、遊漁船業界が団結して声を上げ、足並みを揃えてタイムリーな見直しを進めて欲しい。
そのために必要であれば、私たち釣り人にも署名活動など間接的にサポートできることはあるかもしれません。

遊漁船業のさらなる発展は、地域にとっても、関連業界にとっても、私たち利用者にとっても共通の利益。
これからも応援していきたいと思います。

  

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コメント一覧

siomatigoya
>rickeyさん
いい季節になってきました。
そろそろクルージングいかがですか?😁
rickey
かめやまこさん、お疲れ様です。

何時も勉強になります。
ありがとうございます。
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