4月1日に公表された政府専門家会議の報告書を読んで思ったこと。
↓
「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・課題」
全体を通じ、「3密」回避の必要性が市民に十分浸透していないことへの強いもどかしさが伝わってきます。
これはメディアの報道の在り方も問われているように思います。
災害報道のときのように、「各自で命を守る行動を取って下さい」という強いトーンで訴えるべきかもしれません。
良くも悪くも、報道のニュアンスひとつで市民の受け止め方は変わります。
内容的に一歩踏み込んだなと思ったのは、東京や大阪など感染拡大警戒地域においては、
①地域レベルであっても、10名以上の集会を行わないこと
②家族以外の多人数での会食を行わないこと
等を自治体首長が要請することを提言したことです。
会食には、飲酒を伴う宴会だけでなくランチやお茶会なども含まれます。
敢えて言うなら、ここは「10名以上」や「多人数」ではなく「複数名」の方が良かったと思います。
「3~4人ならいいんじゃないの」などと言い出す人が出てこないとも限りません。
しかし、こちらの方は少人数の会食で感染したようです。
↓
「渡辺一誠さんの手記」
もう一点。「市民の行動変容」の必要性をこれまで以上に強く訴えています。
繁華街の様子を伝えるテレビの街頭インタビューなどを見ていると、「自粛でなく禁止にしてもらわないと行動を変えられない」人々がこの国には一定数いるようですが、法律を変えるには時間がかかります。
専門家会議の報告の結びの一文にあるように、「法律で義務化されていなくても、社会を構成する一員として、自分や社会を守るためにそれぞれの役割を果たしていく」自覚が問われています。
小池都知事は先日の記者会見で、深夜営業の接客を伴う飲食店での感染が多発している事実を指摘し、特に若者はカラオケやライブハウス、中高年はバーやナイトクラブなどの利用を控えるよう訴えました。
しかし、これらはあくまで感染リスクが顕著な例を挙げたに過ぎません。
必要なのは人との距離を適切に保つこと(「ソーシャル・ディスタンシング」)。
自分自身が無自覚のスプレッダーになって他人を感染させないこと。
同僚や仲間とテーブルを囲み、お喋りしながら飲食していないでしょうか。
そのうちの誰かは、もしかすると人には話していない基礎疾患を持っているかもしれません。
高齢の両親・祖父母や病気療養中の家族と同居しているかもしれません。
本当は人と会いたくないのだけれど、気が弱くて誘われると断れないのかもしれません。
その人達の命を危険に晒したくない。
大切な仲間だからこそ距離を置く。
そんな考え方があってもいいと思います。
さらにもう一点。今回の報告では事業者の取り組みについて特に触れられていませんが、これには意味があると思っています。
いまさら言うまでもありませんが、イベント等の自粛が徹底しつつある現在、残る最大規模の密閉密集空間は通勤電車です。
時差出勤や在宅勤務が可能な事業者は既に対応を進めているので、残る手段は事業活動の縮退です。
そして、それを一定の実効性(休業補償の担保)と秩序(社会機能維持の為に継続を求める業務とそれ以外)をもって促すことができるのは、専門家会議ではなく政府、自治体です。
市民の命を守る為のリーダーの決断を、暗に、そして強く求めた報告であると読みました。
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