ときめ句ノスタルジッ句昭和親父の温故知新

思うままに、俳句と唄を、昭和の匂いをぷんぷんさせて。

幼な日に噛めば帰れる野ばらの実

2019-10-16 | 俳句
     


     野ばらの実おとなは入れぬ秘密基地


     


     茨の実食べてなりたや赤い鳥


     


     実茨を噛んで楽しむファンタジー


     実茨の実茨だけの言えぬ味


     


     実茨や子らの秘密の合言葉



     放尿のばつのわるさや茨の実








竹の春

2019-10-15 | 老いの俳句
春の「竹の秋」に対して、秋の「竹の春」。竹は秋に葉を茂らせます。こういうことも俳句を始めるまでは気がつきませんでした。ただボーッと見てただけです。竹の春は、ものみなこれから枯れ行く中で活き活きと、そこだけ陽だまりのような、見てるとほっこりさせてくれます。いろんな思いが膨らみます。


     


     色はない茶飲み友だち竹の春


     


     腰のばす翁うーんと竹の春


     


     竹取の翁のにほひ竹の春


     


     やはらかく日をそよがせる竹の春


     


     訪ねゆく母のふるさと竹の春




野良猫の小さき陽だまり秋深し

2019-10-14 | 猫の俳句
     


     晩秋の匂ひするやうな野良猫


     


     晩秋や野良猫まるく路の端




この猫は、いつもこの場所にいました。ここは車は通らないけど駅が近くにあって、歩行者と自転車の通りが絶えません。心の良い人ばかりとは限りません。猫の嫌いな人もいます。それで見かける度に心配でした。カリカリを持って来てくれるお姉さんやおばさんを見かけましたが、今この場所にはもう見かけません。
何故こんなとこにずっといたのでしょうか。ここらに捨てられたからでしょうか。それでずっとこの場所にいたのでしょうか。





もみぢ葉や園児の帽子もみぢ色

2019-10-14 | 恋の句
     


     まっかっか紅葉見上ぐる猿の尻


     芳しき参道の揚げ紅葉かな


     参りつつパリパリ食ぶる紅葉かな


     


     空白の紅葉の隙の紅葉かな


     文庫本もみぢ一葉や恋の章



     晩年に火のごと燃ゆるこい紅葉






かまきりの哀愁のある背中かな

2019-10-13 | 昆虫俳句
     


     睨まれし大きな腹の蟷螂に


     


     おんぶかまきりの背にのせたる結末


     


     雌を背に獲物貪る大蟷螂


     かまきりの傾ぐ三角頭かな


     かまきりの逆さに見てる世界かな


     かまきりのチェリスト気取り葉をいだく


     飛んで来てかまきり歩く畳かな


     かまきりの尻にはみ出た薄茶翅


     這のぼる子のかまきりの速さかな



     葉の裏に隠るる速さ子かまきり



     かまきりは本当は良いやつなんだ


     かまきりに眼鏡をかけてあげたなら


     かまきりとハイタッチして別れけり