1月行く
2月逃げる
3月去る
…お正月からあっという間の3ヶ月という時が、駆け足の如く過ぎ往くことを表現する慣用句があります。
体調をくずした年末年始、今だにグズグズ…気がつけば七草粥の頃…早いですね〜
早春…春分点がまさしく太陽の上を通過する
3月20日に「陽春コンサート」を開催させて頂きます。
今年は阪神大震災から30年。
その震災の年6月に新大阪の音友ホール(現ムラマツリサイタルホール)にてソロリサイタルを開催。
当日は満席立ち見も出て、お蔭様で収益金はあしなが寄金を通じて、全額震災孤児に寄付出来た…帰国したばかりの自分が、何が出来るのかな、とあの震災を目の当たりに、衝撃を受けていたので、自己満なりに寄付出来たことが嬉しかった。
その時のプログラム最後は、バッハ/ブゾーニの「シャコンヌ」。
亡き小澤征爾さんが、師の斎藤秀雄先生から音楽の全ての大切な事がシャコンヌから学べる、シャコンヌは学ばねばならない曲、と言われた話は有名であるけれど、本当に、シャコンヌは私にとっても特別な曲。
ウィーンにて出会えて良かった一曲。
ウィーンから帰国後すぐ、震災前年、通訳の仕事で当時ハイデルベルク=マンハイム芸術大学の教授でいらしたルドルフ マイスター先生のレッスン通訳を担当、その時に私自身もシャコンヌを教えて頂いた。…それがマイスター先生との出会い。
素晴らしいレッスンは今なお記憶にある…30年前の出来事なのに。
ドイツ最年少で教授になられ、ついで数年後に芸術大学学長にもドイツ最年少で着任なさり、いまでは、ドイツ最年長期間の学長でいらっしゃる。
広く、アメリカのジュリアード音楽院やエール大学、ロシア、中国、韓国、ヨーロッパ諸国でのコンサートやマスタークラスのレッスン、コンクール審査員…どれほどの任務を熟されるのかと思うほど、タフでエネルギッシュでかつ繊細なお気遣いの御仁…それでいて寛容、スケールの大きなお方。
そのマイスター先生と、今年もコンサートで一緒に演奏させて頂ける。
「さやか、一緒に弾けるね!楽しみ!」そんなお言葉も、感謝以外の何ものでもない。
今回出演のバイオリニストは27歳の前田雄輝さん。
…さん付けしてるけれど、実は息子(^^;;
そう、この息子を、トウモロコシの皮で編んだベビーキャリーバッグにいれて、28年前に先生の通訳の仕事をしたことも。(懐かしい!笑)
いつの間にか、30年という歳月が経った。
ウィーンに暮らした3年間近くも、大変ながら大切な、宝物のような日々だけれど、帰国後毎年お出会い出来るマイスター学長との音楽の積み重ねの日々は、私の人生に素晴らしい音楽の花々を咲かせて下さった。
ドイツ、マンハイムやハイデルベルクにも幾度となくお邪魔させて頂き、マイスター先生ご家族、また、お母様ともご一緒にご自宅で年越しも。マンハイム芸術大学でも深夜までピアノを弾き合っていた。
先生のご子息と我が息子は1つ違い。
一緒に遊んで頂いたり、花火をしたり、奥様お得意のお食事を楽しませて頂いたり…
本当に出逢い、ご縁、信頼、に感謝です。
悠久の時を超えた、海を越えた深い絆を、
神さまから頂けた気がする。
30年という歳月の中で、感情や意見の行き違いがあっても、溜め込んでしまわれず、互いに疑問や誤解は解き、互いの不信感は何もない。正直、と、互いの思い遣り。
いやぁ〜、互いというか、先生の器。
一年に一度しか会えないのに、多くを語らずとも30年間心はずっと繋がっている。
私の心友がよく言ってくれる
「信じること」の大切さ。
いつも一緒にいなくても、相手を思い、尊敬し、信頼できる素晴らしさ。
心、って、どうにでもなる魔力があるけれど、信じていたら大丈夫。
マイスター先生と昨年お出会いした時、
2人で苦笑した。
「もう、いつの間にかお互いに60超えたね!
互いに良き良き歳になったね!」って。
小さな小さな我が家を、マイスター先生は
「本当に小さな小さな家だけど、居心地が良い、自分には日本の故郷みたいな家」と言って下さいます。
「5分でも時間があったら、練習!
さやか、練習!
食事なんて後でいいから!練習!」
「それなら誰があなたのご飯を作るのよ?」
…そう言っても、喰ってかかっても、
「練習!練習!」笑
そんなやりとりも、楽しい。
マイスター先生は
やっぱり、巨匠マイスター。
コンサート前日に公開レッスンも予定。
素晴らしいマイスター先生のレッスンを
ゆったり落ち着いた中で、受けて下さい。
深く、大きく、音楽感が
素晴らしく変化するはずです。
人と人の出逢い、は、不思議。
そして、大切。
体調回復がまだ出来ていないですが、
あれこれ、心友、心友達の顔を思い浮かべながら、
今日は、3月のご案内。
一粒万倍日、先勝。