ダイアトーン DS-66EXのレストア(5) ウーハー編
<ウーハーの布エッジの再生>
3)液体ゴムの選定
軟化剤でエッジは軟らかくなりましたが、シンナーでビスコロイドを徹底的に除去したので、エッジを光に翳してみると布目に空隙が見られ空気が漏れる状態です。そこで、エッジの内側に液体ゴムを塗布して空気漏れを防ぐことにしました。検討した液体ゴムは、次の4種類です。
①水性液体ゴム(ユタカメイク BE-2;アクリル樹脂、水溶性、シンナー不溶)、
②油性液体ゴム(PLASTI DIP; 合成樹脂、シンナー可溶)、
⓷液体ゴム接着剤(スリーボンド1521B;クロロプレン合成ゴム、シンナー可溶)、
⓸接着剤(セメダイン スーパーX;変性シリコーン樹脂、シンナー難溶)
これらをエッジを模擬した形状の布に刷毛で塗布しました。セメダイン スーパーX (乾燥後は黒色)は元々のペースト自身が硬く、シンナーにも溶けにくいので均一な塗布は困難です。PLASTI DIP(乾燥後は黒灰緑色)と1521B (乾燥後は黒色)は、塗布すると布エッジがゴワゴワとして硬くなりました。一方、水性液体ゴムBE-2(乾燥後はツヤのある黒色)は殆ど硬くならず適度な弾力が有ります。
今回は、軟化させたエッジを再び硬くしたくないので、水性液体ゴムBE-2を選択しました。但し、固化したBE-2は、水だけでなくシンナーにも極微量しか溶けないので、一度塗布すると再び取り除くことはできません。
4)エッジへの水性液体ゴムの塗布
予備検討で、ユタカメイクBE-2の「原液」をエッジの裏側に塗ると、布目の空隙を通して液体ゴムがエッジ表面に滲み出る傾向があったので、始めの3回ほどは原液を半分位の水で薄めてから塗り、その後は原液を塗りました。
液体ゴムには、布の補強や振動板に対するダンプ作用なども期待されます。原液を刷毛で均一に塗るのは難しいですが、光に翳して布目が殆ど透けないくらいの厚さまで塗り重ねました。塗布後のウーハーのエッジは、茶色を帯びた黒色になりました。
>>続く