先日行われた東北小学校バンドフェスティバルに出演した際、各校代表者を出して120人で構成される同大会メモリアルバンドの一員として座奏(座って演奏すること)に初挑戦した団員がいました。
その団員がメモリアルバンドを体験して驚いたのは、『座奏では曲中の休み(休符)で楽器を下ろす』ということだそうです
確かにマーチングでは特に指示が無い限り、曲中に休みがあっても楽器を下ろすことはありません。ドリルで指示がある場合は楽器を胸の前に真っ直ぐ立てた姿勢(テンハット)を取ったり、ダンスをしたりすることになります。
テンハットの姿勢で休符を過ごす高・中音&トロンボーンパート
吹奏楽のような座奏では、曲中の休みに楽器を下ろすことは一般的です。ただ腕がだるいから休むというだけでなく、ミュートを着脱したり、ツバ抜きをしたり、チューニング管をいじってみたり、譜面台の位置を直したり、口を拭いてみたりと、休みを利用して次に音を出す時に備えている姿が見られます。もちろんそんな用事が無い場合はただただ楽器を下ろして待っています。
膝の上に楽器を置いて休むトランペット&ホルンパート
過去には清水小マーチングでもアンサンブルコンテストに座奏で参加することがあったので、そこで初めて体験する団員もいたでしょうが、近年はアンサンブルコンテストも立ったままマーチングと変わらぬ姿勢で吹くことが多いので座奏を経験しないままの団員もいるんですね。
マーチングでは演奏と同じくらい姿の美しさが評価されますから、休符があっても関係なく『振り付け』は続きます。座奏では音楽の美しさだけを表現しようとするので、演奏がしやすいように、椅子に座るとき片足を出したり、唄うようなメロディーのときは身体を揺らしたりと、ソロでも直立不動が基本のマーチングとはずいぶんビジュアルイメージが違います。
どちらか一方しか知らない人にとっては、もう一方を奇異に思うのかもしれませんが、全く別のジャンルとして見れば、それぞれの鑑賞ポイントを発見して楽しむことができます