ということで、三菱i(アイ)のプチインプレ長距離走行編です。一般に軽自動車のインプレを見ると、高速道路などのハイスピードでの巡航や長距離が苦手とされることが多い。そうはいっても、今時の軽自動車であればターボなど過給機が付いていれば、そこまで普通車と差がつくということもないでしょう。ただ長時間乗った場合の疲れ具合いなどでは、普通車と軽自動車、ツアラーとシティコミューターとでは、大きな差になってくると思われます。i(アイ)の場合だと、直進安定性に不安があるミッドシップという構造や、硬い足回り、ハイトワゴンの軽自動車より狭い車内という点が気になるところ。ということで、i(アイ)で長距離を走った際の感想などを書いてみたいと思います。
11月の初旬ごろ、i(アイ)を購入後20日ほどといったところで、一日で600~700キロほど走る機会がありました。この距離を日帰りでという強行軍なので、距離が距離ということもあって早朝まだ暗い時刻から出発。市街地を抜け山越えといったコースで、山間部の入り口から少し入った付近。この時点でも、まだ7時とかそんな時間。早朝の人気のないワインディングは、かなり気持ちいい。
通常だとこんな朝っぱらから山道にいるということはありえないので、なかなか非日常感があります。ピクニック気分というか、バイクでのツーリングのような気分。少し休んで再スタート。
i(アイ)の紹介動画で、自動車評論家の岡崎五郎氏も語ってますが、このようなワインディングはミッドシップレイアウトが俄然光を放つところ。後ろから聞こえてくるエンジン音も相俟って実に気持ちよく走れます。
山中の鉄橋。特に名のある橋でもなく、山の中にいくつも存在する実用のための橋。
朝が早いため、対向車もほとんど見られない。
いくつものワインディングを抜けていきます。スーパーチャージャー仕様のプレオに乗っているときには、カーブでのアンダーや車体の大きなロールが気になっていたのですが、i(アイ)ではそれはほとんど感じない。車体高が高いためロールはしているのでしょうが、固めの足回りが、それをあまり感じさせないセッティングになっているのでしょう。車体高はワゴンRやムーブなどと同等の1,600mmほどあるため、限界はそれほど高くはないでしょうが、ハイトワゴン系の軽自動車の中では、このようなワインディングを抜けるのに向いている車種のひとつだと思います。ちなみにCGTVの軽自動車特集では、松任谷さんは腰高感を感じるとコメントされていました。
ふたたび鉄橋。こちらは、日が挿してきたこともあってか、視界が開けて開放感があってなかなか綺麗。
橋を抜けたところで小休止。この時点で4時間くらいは走っていると思います。夏と違って冬は日差しが弱いのであまり鮮明な写真は撮りにくいのですが、この日は快晴であったため午前中の穏やかな日差しがなかなか綺麗。
i(アイ)は、繭をモチーフとしているところから、包まれ感というのをコンセプトのひとつにしていた。そのため軽のワゴン車では車内を広く使うためにパネルシフトを使っていることが多い中、あえて(なのか?)オーソドックスなフロアシフトを採用している。スポーツカーほどタイトではないが、ほどよく包まれ感がある室内というのが売りのひとつだった。車体高はワゴンRやムーブなどと同等の1,600mmあるため、頭の上の空間もそこそこあって、セダン型の軽にありがちな窮屈な感じというのもない。心地よいフィット感があるというか、安心して乗っていられるという車内空間を持っている点は、長距離を走る際に疲労感の軽減に繋がってくると思う。
段々標高が高くなってきて、眺めも良くなってくる。
11月なので緑が生い茂るという感じではないが、夏にバイクで走ったら木々の生命力を感じて気持ち良さそう。
山越えは終わり、ワインディングも終わりに近づいてくる。
ということで、道の駅で小休止。結構山道で時間を食ってしまい、この時点で11時頃とお昼近く。行程の片道の半分くらいしか進んでない。道の駅はみやげ物も食事も高いので、トイレ休憩のみの利用。昔は、民間のドライブインがこの役割を果たしていましたが、今ではすっかり第三セクターが多い道の駅に変わってしまいました。うどんややそばの自販機でもあれば気分が出るが、今時はそんなもの置いてない。でも、道の駅のこのどこか懐かしい感じというのは結構好きですね。道の駅巡りとかしてみたい。
市街地に入ります。i(アイ)は、どちらかというとシテイコミューターというジャンルに入る車だと思うので、このような市街地では楽々。
フロントにエンジンがないため、ハンドルの切れ角を大きく取れて、最小回転半径もかなり小さい。また、車体も小さくハンドルも軽いため、街中を走るということに関してはかなり優秀な部類に入ると思う。
市街地の中心部に入る。長距離を走る場合に気になるもうひとつの点として燃費がある。i(アイ)は、47~8キロで4速に入るため、その速度に達するまではふかさないようにスピードを乗せていく、最大トルクを発生する3000回転を超えないような感じで走ると、エコな運転ができる。2200回転位で60キロ巡航ができるので、街中で法定速度を守って走る分には、回転を極力抑えた走りが可能です。特にストップ&ゴーの多い街中では、ふかさないようにスピードを乗せていく運転をすると燃費が稼げます。軽のターボ車は燃費が悪いという思い込みがあったが、トルクが低速より出るためエンジンをそれほど回さないで走れる。
市街地を抜けてバイパス路へ入る。わりと直線が続く単調なコースとなりますが、このようなシチュエーションでは、リア駆動のi(アイ)には直進安定性の問題が顔を出してくる。軽自動車最長のロングホイールベースを実現しているため、直進安定性自体には直接の問題はないのだが、やはり無意識のうちに行うハンドルの微妙な微調整というものは多いような気がする。このようなものは、意識しないうちに行うため表面には現れないが、長距離を走る場合だと少しずつ積もって疲労へとつながることもあるかもしれない。
この市街地からバイパス路を通って郊外へ~次の市街地までの距離が結構長くて、この時点で昼を回って14時とか15時頃。間をかなり端折ってあります。だんだん乗車時間が長くなってくると、ミッドシップのエンジン音とか操縦性とか、どうでもよくなってきて、FMラジオを聴き始める。
都市高速の下道。今回、高速は使わずすべて下道。
この時点でもう4時過ぎ。だんだんと日が落ちてきました。
高速を利用していたら、風の影響などまた違った側面が見えてくるかもしれない。横風に弱いという評価もありますし。
ということで、やっとのことで市街地に到着。
街中は、車体の小さな軽ということで、走るのは楽ちん。シティコミューターの面目約如。やっぱり、お買い物車なんですな。ATなので渋滞も気にならないし、苦にならない。
夕方なので帰宅ラッシュの時間帯でしょうか。
とりあえず、あちらこちらの店に寄り道をしながら移動します。
5時近く。街行く車も尾灯を付け始めました。
そのまま市街地を抜けて住宅街へ。いかにも生活の匂いが漂うといった感じの生活の町。
一時期は暮らしたこともある、思い出の場所でもあります。
バイクや自転車の数が多いのは、学生街でもあるから。
とりあえず、用事を済ませつつ周辺をうろうろ散策する。
本格的に暗くなってきたため、そろそろ帰路を目指します。
こういう寂れた感じの商店街は好きです。いろんな人の生活が見えるから。
町に明かりが灯り始めます。
後は、来た道を深夜の国道を通って帰宅しました。結局ずっとFMラジオをかけっぱなし。これまで車でラジオを聞く習慣がなかった(おっさん臭い感じがするし)のですが、深夜のラジオは若者のものなんですね。昔、学生の頃オールナイトニッポンとか聞いていましたが、今でもそんなに変わっていない。車載DVDとか取り付けてないし、ワンセグを見れる環境もないためですが、これはこれで味がある。帰路の感想は、座布団が合ってなかったのかシートが小さいためなのか尻が痛くなった。軽自動車で長距離を走る際の最大のウィークポイントが、ここだと思います。特にi(アイ)では、シートの座面が小さいという評価もあり、あまり長距離を走ることに向いたシートではないような気もする。燃費のほうは、600キロほど走って約4~5千円ほどと、NAのSOHCのR2とあまり変わらなかった。リッターに換算すると17~19キロ程度。i(アイ)は重量がある上にCVTでもないため、燃費が悪いというインプレをあちこちで見ていたので、これもちょっと意外な感じがしました。