核実験や原発事故によって環境中に降り注いだ放射性物質は、時間とともに粘土層やアスファルト等と固着する(移動しにくくなる=作物に吸収されにくくなる)とか、キノコ類に吸収・蓄積されやすいとか、植物に吸収された場合は、末端部分の栄養を溜め込んでいる部分に集まりやすい等など、こうした環境中におけるセシウムの特性については、福島第一原発事故が起きてだいぶ経ってから一般にも広く知られるようになった。しかし、研究としては既にチェルノブイリ原発事故の当時から科学的知見として明らかになっていた。
さらに、実はそれ以前からも「放射性物質を避けるための民間の知恵」というものが存在していたらしい。
かつて1950~60年代の冷戦時代において、大気圏内核実験がさかんに行なわれていた頃に日本にも降り注いだ放射性物質は、約3年分で福島第一原発事故時に都内に降り注いだ量とほぼ同等とされている。
当時既に、放射性物質への防護意識が高い人々によって対策法が伝えられ、地域によっては学校などでも非公式に指導されていたことがあったようだ。
ここでは、当時流布していたそれらの「放射性物質対策」についてまとめてみた。
●降り始めの雨・雪には直接当たらないようにする
当時は放射性物質やスモッグ対策の一環として学校で指導されることもあったらしい。
降り始めの雨は空気中の塵や埃、有害物質などを取り込んで降下してくるため、これを避ける事は放射性物質対策以外にもおいても有効である。
実際に福島第一原発事故後に降った放射性雨の場合も、降り始めにモニタリングポストの値は急上昇し、その後高位安定していたことからも、「空気中の汚染物は降り始めの雨に大量に含まれる」ことが見て取れる。
●玄米は避ける
コメに含まれるセシウムは、その多くが外殻部分、すなわち玄米に含まれる。これまでの「コメから基準値超え放射性物質」という例も、よく見ると玄米を指している。よって、健康に良いと言われる玄米も、放射性物質対策としては避けたほうがよいということになる。
昔の人が玄米を嫌うのは、戦後の食糧事情が悪かった時代の記憶のせいだと思っていたが、核実験や農薬を大量に使用していた時代の影響もあるらしい。
●全粒粉は避ける
玄米と同様に健康に良いとされる全粒粉だが、玄米と同様の理由により、放射性物質対策としては有効と言える。
●米はよく研ぐ
米は精米直後はまだ外殻部分に放射性物質を多く含有する部分が残っている場合があるため、白米をよく研ぐことは有効である。その一方、栄養素は失われることになる。
冷戦世代の人がやたらと米をガシガシ研ぐのは、放射性物質や農薬対策の名残という面もあるのだろうか。
●出がらしのお茶は避ける
茶葉のような濃縮工程をもつ食品の場合、もともと含まれる放射性物質はごくわずかであっても、「荒茶」の時点で高い濃度を示すことがある。福島第一原発事故後にも、静岡県の荒茶から基準値を超えるセシウムが検出された例があった。
また、茶葉に湯を注いだ場合、時間の経過とともにセシウムはそのほぼ全量が茶葉から湯へと遷移する。
「出がらしのお茶は飲むな」という警句は、もともとは雑菌の繁殖による食中毒を念頭に置いたものだが、放射性物質対策としても有効なものである。
●天然(露地栽培)のキノコを避ける
キノコ類はセシウムを吸収・蓄積しやすいことがわかっており、福島第一原発事故に含有セシウムの基準値超えが出た例は露地栽培によるものだった。
屋内栽培の場合や、ハウス栽培の野菜にはフォールアウトの影響がない(少ない)ことが見て取れる。
●野菜はよく洗う
表面を水で洗うことは、実際に放射性物質対策として効果があるかは疑問である。
既に明らかなように、降下した放射性物質が付着して長時間が経過した場合、放射性物質は付着した物質と強固に結びつく。
福島第一原発事故により立ち入り禁止区域となった地域の住居から大切な写真を持ちだそうとしたものの、「除染」しても線量が下がらなかったため、泣く泣く断念した、との話を聞いたことがある。
ただし、野菜に付着していた土に放射性物質が含まれていた場合には、よく洗い落とすことに意味はある。
上記の「民間対策」は、あくまで当時一部の家庭や学校で行なわれていたものであり、政府や自治体が呼びかけていたものではない。
これらをよく見ると、放射性物質対策として有効な手段は、そのまま「残留農薬対策」「大気汚染対策」としても有効な場合が多く、また実行していた当の人々も、「親に言われた」「習慣」としてやっていただけで、放射性物質対策とは認識していないものもあった。
茶葉の例のように、昔からの言い伝えがそのまま放射性物質対策としても有効だった例もあり、昔の人の知恵も捨てたものではないようだ。
いずれにせよ、1Fからの大規模フォールアウトがほぼ止まっている現状では、これらにことさらに神経質になる必要はないことを明記しておく。
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さらに、実はそれ以前からも「放射性物質を避けるための民間の知恵」というものが存在していたらしい。
かつて1950~60年代の冷戦時代において、大気圏内核実験がさかんに行なわれていた頃に日本にも降り注いだ放射性物質は、約3年分で福島第一原発事故時に都内に降り注いだ量とほぼ同等とされている。
当時既に、放射性物質への防護意識が高い人々によって対策法が伝えられ、地域によっては学校などでも非公式に指導されていたことがあったようだ。
ここでは、当時流布していたそれらの「放射性物質対策」についてまとめてみた。
●降り始めの雨・雪には直接当たらないようにする
当時は放射性物質やスモッグ対策の一環として学校で指導されることもあったらしい。
降り始めの雨は空気中の塵や埃、有害物質などを取り込んで降下してくるため、これを避ける事は放射性物質対策以外にもおいても有効である。
実際に福島第一原発事故後に降った放射性雨の場合も、降り始めにモニタリングポストの値は急上昇し、その後高位安定していたことからも、「空気中の汚染物は降り始めの雨に大量に含まれる」ことが見て取れる。
●玄米は避ける
コメに含まれるセシウムは、その多くが外殻部分、すなわち玄米に含まれる。これまでの「コメから基準値超え放射性物質」という例も、よく見ると玄米を指している。よって、健康に良いと言われる玄米も、放射性物質対策としては避けたほうがよいということになる。
昔の人が玄米を嫌うのは、戦後の食糧事情が悪かった時代の記憶のせいだと思っていたが、核実験や農薬を大量に使用していた時代の影響もあるらしい。
●全粒粉は避ける
玄米と同様に健康に良いとされる全粒粉だが、玄米と同様の理由により、放射性物質対策としては有効と言える。
●米はよく研ぐ
米は精米直後はまだ外殻部分に放射性物質を多く含有する部分が残っている場合があるため、白米をよく研ぐことは有効である。その一方、栄養素は失われることになる。
冷戦世代の人がやたらと米をガシガシ研ぐのは、放射性物質や農薬対策の名残という面もあるのだろうか。
●出がらしのお茶は避ける
茶葉のような濃縮工程をもつ食品の場合、もともと含まれる放射性物質はごくわずかであっても、「荒茶」の時点で高い濃度を示すことがある。福島第一原発事故後にも、静岡県の荒茶から基準値を超えるセシウムが検出された例があった。
また、茶葉に湯を注いだ場合、時間の経過とともにセシウムはそのほぼ全量が茶葉から湯へと遷移する。
「出がらしのお茶は飲むな」という警句は、もともとは雑菌の繁殖による食中毒を念頭に置いたものだが、放射性物質対策としても有効なものである。
●天然(露地栽培)のキノコを避ける
キノコ類はセシウムを吸収・蓄積しやすいことがわかっており、福島第一原発事故に含有セシウムの基準値超えが出た例は露地栽培によるものだった。
屋内栽培の場合や、ハウス栽培の野菜にはフォールアウトの影響がない(少ない)ことが見て取れる。
●野菜はよく洗う
表面を水で洗うことは、実際に放射性物質対策として効果があるかは疑問である。
既に明らかなように、降下した放射性物質が付着して長時間が経過した場合、放射性物質は付着した物質と強固に結びつく。
福島第一原発事故により立ち入り禁止区域となった地域の住居から大切な写真を持ちだそうとしたものの、「除染」しても線量が下がらなかったため、泣く泣く断念した、との話を聞いたことがある。
ただし、野菜に付着していた土に放射性物質が含まれていた場合には、よく洗い落とすことに意味はある。
上記の「民間対策」は、あくまで当時一部の家庭や学校で行なわれていたものであり、政府や自治体が呼びかけていたものではない。
これらをよく見ると、放射性物質対策として有効な手段は、そのまま「残留農薬対策」「大気汚染対策」としても有効な場合が多く、また実行していた当の人々も、「親に言われた」「習慣」としてやっていただけで、放射性物質対策とは認識していないものもあった。
茶葉の例のように、昔からの言い伝えがそのまま放射性物質対策としても有効だった例もあり、昔の人の知恵も捨てたものではないようだ。
いずれにせよ、1Fからの大規模フォールアウトがほぼ止まっている現状では、これらにことさらに神経質になる必要はないことを明記しておく。
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