スポイチ編集長日誌

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モーレツ型ブラック企業はカルトの似姿か

2014年08月14日 | 社会
「ブラック企業」と呼ばれる企業にもいくつかのタイプがあるが、「過労自殺」などで最も社会問題に挙げられることが多いのが、社員に長時間労働と激務を強いるタイプの「モーレツ系ブラック」であろう。

その中でも、社員の「夢」とか「やりがい」を憑代として、会社への長時間労働と忠誠心を捧げさせるタイプの企業は、長時間労働の他にも休日返上での労働や、または休日にも会社の行事への参加、あるいは休日にも「自分を成長させる」との名目で経営者の教典等を読んで「学ぶ」ことを事実上強制したりと、まるでカルト教団とかカルト国家のような生活を社員に強いていることがある。

そういう企業の「カリスマ」経営者は、別に自分だけは楽をして遊んでいて社員だけに激務をさせているわけではなく、経営者本人もモーレツに仕事をこなせる人物であり、加えて彼らは強靭な体力と精神力を持っているがために、ついつい自分と同じレベルの働き方を一般人の社員にも強制して、その結果、鬱患者や過労死者を出してしまうことになる。

体を壊そうと鬱になろうと自殺しようと、そこで働いている当人が納得ずくならば別に問題はないという言い方もできるかもしれないが、そういう企業の経営者は、自分と同じぐらいに激務に耐えられる者を幹部に登用し、そうして登用された幹部達は、自分と同じ働き方を部下に強制するようになるので、いずれ会社全体がそのような「長時間労働・激務こそが人を成長させる」という教義を掲げる、まるで一つの思念体のような存在になる。

そして、その思想は社内だけにはおさまらず、自社の経営者が掲げる素晴らしい「理想」を、あまねく一般社会にも拡充すべく、自社の経営以外にもさまざまな活動に手を広げていくことになる。選挙に出たりとか。

だから、この手の「モーレツ系ブラック企業」は、いずれカルト教団の似姿となるは必定なのだが、そもそも組織の起こりがカルトに似ている故に、自らの異形に気づくことはない。

「外界」の一般人がどん引きしているにもかかわらず、彼らの掲げる理想を一方的に語って「反論」したような気になっているからこそ、彼らは「カルト的」であり、また人の感情にお構いなしに一方的に己が信ずるところの理想を語り続けるからこそ、アスペルガー的であるとも言える。

当然ながら、こういった「モーレツ型」の組織では、その日常業務と人材登用の段階において、凄まじい振り落としが行われる。それが高い離職率となって表れるわけだが、まさに「一将功成りて万骨枯る」の世界である。



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