これは思っていたのとだいぶ違っていたというか、在日外国人と日本人の関わりを描いた社会問題提起の話と思ったら、それもあるけど、“さまざまな違いを超えて「家族」を作ろうとする人々の物語”というお題のためのような展開の大きなスケールにビックリ!
しかも韓国映画顔負けのエグさで酸欠状態になってしまいそうだったけど、役所広司さんと佐藤浩市さんの2人が並んだだけでもう、ゾクゾク!
ブラジル人を目の敵にしてやりたい放題の半グレ集団のリーダーを演じたMIYABIさんも悪役に徹して何をするかわからない怖さに目を背けたくなりながらも妖しい魅力でドキドキ、もうこのままのキャストで、役所広司さんが“孤狼の血”路線そのままに半グレ集団をやっつけて欲しいと本気で思うほどだった。
内容的にはブラジル人コミュニティと日本人との関わりやアルジェリアでのテロなど詰め込みすぎて、どちらかに絞ってじっくりと観たかった気もしたけど、終わってみれば家族の大切さをしみじみ感じることができる作品だった。
役所広司さん演じる陶器職人の息子役の吉沢亮くんが性格の良さが滲み出るような役柄で好演、室井滋さんや中原丈雄さんなどベテラン陣の配置も安定感があって、一瞬しか出ないのに強烈な印象の松重豊さんもすごい存在感!
“ジャパニーズドリーム”を夢見て日本で暮らすブラジル人たちを演じた俳優さんたちもこれが映画初出演とは思えないほどで、特にマルコス役のサガエルカスさんとエリカ役のワケドファジレさんが印象的だった。
余談だけど、訳あってブラジル人を憎悪することになる半グレ集団のリーダーを演じたMIYABIさんは実際には難民支援をしている国際機関の親善大使として活動しているのだとか、実際とは真逆な役をよく引き受けたなとそこにも感心してしまった。
☆あらすじ☆
山里でひとり孤独に暮らす陶器職人・神谷誠治のもとに、一流企業のプラントエンジニアとしてアルジェリアに赴任中の息子・学が婚約者ナディアを連れてやって来る。学は結婚を機に退職して焼き物を継ぎたいと話すが、誠治は反対する。一方、隣町の団地に住む在日ブラジル人の青年マルコスは、半グレ集団に追われていたところを助けてくれた誠治に亡き父の姿を重ね、焼き物の仕事に興味を持つように。そんな中、アルジェリアに戻った学とナディアを悲劇が襲う。
キャスト
役所広司
吉沢亮
サガエルカス
ワケドファジレ
中原丈雄
室井滋
アリまらい果
シマダアラン
スミダグスタボ
高橋里恩
高橋侃
管勇毅
井並テン
大空ゆうひ
安藤彰則
沖原一生
松重豊
MIYAVI
佐藤浩市
監督
成島出
121分
PG12
T・ジョイPRINCE品川2 17:50〜観客15人程/190席