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福岡空港から羽田空港経由、常磐線で水戸まで。結構あるからちょっと厚手の文庫でもいいな。と、手にしたのがコレ。そういえば何か話題になったような気もする。そうだ、福岡出身の作家でデビュー作が文庫化されたって言ってたな。
著者の白石一文は58年生まれで福岡出身。現在も文藝春秋の編集者らしい。そういや「世界の中心で…」の片山恭一は59年生まれで、九州大学卒の福岡在住とか。んん?最近読んだ「パイロットフィッシュ」の大崎善生は57年生まれか。ここのところ何故かこの世代の作家のものを読んでいるなあ。スマッシュヒット作ではなくてロングセラーでじわりと売上が伸びたという点も似てる? あそうか。書店の「手書き風」オススメPOPで選んじゃってるんだ…。これはイカンかな…。
物語は文体に粗さは感じるものの、デビュー作としては充分な読み応え。ただ主人公像のせいで読者を選ぶような気はする。なにせ主人公は日本を代表する大企業(どう読んでも三菱重工?)で若くして充分以上の地位と権力を得ているハンサムで仕事の出来るオトコときているから。それでも人間の持つ情欲と愛とアイデンテティへの渇望や相克といったものが巧く織り成されていて面白かった。この作家なら他の作品も読んでみたいかな。