若竹屋酒造場&巨峰ワイナリー 一献一会 (十四代目日記)

何が酒の味を決めるのか。それは、誰と飲むかだと私は思います。酌み交わす一献はたった一度の人間味との出逢いかもしれません。

夜のピクニック  恩田陸

2005年02月19日 | 読んでる十四代目
夜のピクニック

新潮社

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「高校生が主人公の青春小説」というジャンルがあるとすれば、この作品は最近で一番の出来じゃないかと思う。「高校青春小説」(なんてカテゴリーはなかろうが)で最初に面白かったと感じた本は、五木寛之の「青年は荒野をめざす」('74)かな(「青春の門」は高校時代だけで完結していないからここでははずす)。筒井康隆の「時をかける少女」('76)シリーズもはまりました。が、意外と現役高校生が立派に主人公を務めている作品って多くはない。

山田詠美の「僕は勉強が出来ない」('91)、金城一紀の「GO」('00)は佳作だ。金城作品は「レヴォリューションNo.3」('01)も「フライ,ダディ,フライ」('03)も面白い。石田衣良の「池袋ウエストゲートパーク」('98)は面白いけど、主人公が高校生じゃないから、残念! 「娼年」('01)は大学生だし、「4TEEN」('03)は中学生だし石田作品はなぜ高校生が主人公になれない?

ところが昨年は当たり年とでも言いますか、楽しく読めた作品が2編もありました。その一つがこの「夜のピクニック」恩田陸。

夜を徹して80キロを歩き通すという、高校生活最後の一大イベント「歩行祭」。その「歩行祭」での、たった一夜の物語をここまで読ませる作者の力量には驚き。10代には10代の悩みがあるけど、今の僕にはその時の気持ちを振り返ることもないし、ましてや懐かしいなんて思いもしない。けど、この本を読んで、…失った、過ぎ去った、忘れてしまった…、そんな時間を思い出しました。

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