子供のころ、児童向けの読み物で「推理クイズ」という人気ジャンルがあった。
ミステリーの名作からトリックを引用してクイズにするという、とんだネタバレ企画なのだけど、その中にいくつかは著者のオリジナルのクイズもあった。
たとえばこんなやつ
自転車を盗んだのは誰?
そしてどうやって?
答えは、その日にローラースケートで遊んでたタケシくん。
方法は鍵のかかった前輪にローラースケートをくくりつけ
そのまま漕いでいった
というものだった。
当時のローラースケートの主流は靴と一体型ではなく、自前のスニーカーをはいたままベルトで着脱できるタイプで、解答の趣旨としてはそのベルトで前輪に直接くくりつけるというものらしかったが、著者が実際に実験していなかったことはあきらかだ。
というのも当時、私はそれを試してみたくなり、やってみたのだが、まずローラースケートのベルトだけではしっかりと車輪に取り付けることはできなかった。
そこであきらめるのも悔しいのでビニールテープでぐるぐる巻きにして固定したがこんどは、鍵棒とスポークの数センチ隙間のせいでブラついてしまう。
そこで今度は前ブレーキのレバーを力いっぱい握ることでどうにか前輪の回転をふせぐ。それでも漕いでそのまま走るなんてのはとてもじゃないが無理なはなしだった。
ミステリーの名作からトリックを引用してクイズにするという、とんだネタバレ企画なのだけど、その中にいくつかは著者のオリジナルのクイズもあった。
たとえばこんなやつ
自転車を盗んだのは誰?
そしてどうやって?
答えは、その日にローラースケートで遊んでたタケシくん。
方法は鍵のかかった前輪にローラースケートをくくりつけ
そのまま漕いでいった
というものだった。
当時のローラースケートの主流は靴と一体型ではなく、自前のスニーカーをはいたままベルトで着脱できるタイプで、解答の趣旨としてはそのベルトで前輪に直接くくりつけるというものらしかったが、著者が実際に実験していなかったことはあきらかだ。
というのも当時、私はそれを試してみたくなり、やってみたのだが、まずローラースケートのベルトだけではしっかりと車輪に取り付けることはできなかった。
そこであきらめるのも悔しいのでビニールテープでぐるぐる巻きにして固定したがこんどは、鍵棒とスポークの数センチ隙間のせいでブラついてしまう。
そこで今度は前ブレーキのレバーを力いっぱい握ることでどうにか前輪の回転をふせぐ。それでも漕いでそのまま走るなんてのはとてもじゃないが無理なはなしだった。
小学生の私が「机上の空論」を体感した出来事だった。
この場合「盗みきる」が至上命題なら、ハンドルを持ちあげて小走りする、がベストだ。ハンマーがあるならそれで鍵を壊す。
作者はローラースケートが知的でスマートだと考えたのだろうが、ぜんぜんスマートではなかった。
さて、「風間公親 教場0」の初回はフジテレビの四月の番組審議委員会でも取り上げられ、謎解きが雑だとか殺されるとわかっていたら避けるだろうとか、脚本家の井上由美子氏らの委員からボロクソに言われていた。
ネットのイジワル寄りなコメントならまだしも有識者からも言われてしまうようではダメじゃん。
第二話は意外とノーマークのようだけど、実現可能性の低いトリックではこっちもなかなかではないだろうか。
まず銅合金を切断して溶接して元通りにするというアイディア。
銅は融点が低いのであんな、せまい部分を溶接するのは困難をきわめ、成功したとしても溶接材こんもりの状態になってしまい、朝がきたならドシロウトが見てもおや?と一見して気づくレベルの悪目立ち状態になるだろう。
この時点で作者はこの方法を試してないなと容易に想像できるのだけど、そもそもトリックでアリバイ工作をしようとする頭脳派な犯人が、自分の(しかも特徴的な)職業である溶接の跡を残すなんてことをするだろうか。
バレないように修復するのが至上命題なのだとしたら強力な接着剤で固め、やすりなどで整形し、銅のようにフェイク塗装するほうがいいだろう。これとてたった一晩で心許無い三本指部分の強度を保てるかどうかは疑わしいが、これなら光も音も出ないし、大がかりな溶接器具と違って、ほぼ手ぶらで移動も容易だ。
この場合「盗みきる」が至上命題なら、ハンドルを持ちあげて小走りする、がベストだ。ハンマーがあるならそれで鍵を壊す。
作者はローラースケートが知的でスマートだと考えたのだろうが、ぜんぜんスマートではなかった。
さて、「風間公親 教場0」の初回はフジテレビの四月の番組審議委員会でも取り上げられ、謎解きが雑だとか殺されるとわかっていたら避けるだろうとか、脚本家の井上由美子氏らの委員からボロクソに言われていた。
ネットのイジワル寄りなコメントならまだしも有識者からも言われてしまうようではダメじゃん。
第二話は意外とノーマークのようだけど、実現可能性の低いトリックではこっちもなかなかではないだろうか。
まず銅合金を切断して溶接して元通りにするというアイディア。
銅は融点が低いのであんな、せまい部分を溶接するのは困難をきわめ、成功したとしても溶接材こんもりの状態になってしまい、朝がきたならドシロウトが見てもおや?と一見して気づくレベルの悪目立ち状態になるだろう。
この時点で作者はこの方法を試してないなと容易に想像できるのだけど、そもそもトリックでアリバイ工作をしようとする頭脳派な犯人が、自分の(しかも特徴的な)職業である溶接の跡を残すなんてことをするだろうか。
バレないように修復するのが至上命題なのだとしたら強力な接着剤で固め、やすりなどで整形し、銅のようにフェイク塗装するほうがいいだろう。これとてたった一晩で心許無い三本指部分の強度を保てるかどうかは疑わしいが、これなら光も音も出ないし、大がかりな溶接器具と違って、ほぼ手ぶらで移動も容易だ。
前回のタクシーでただただ死を待つオラオラ男に続いてキャラ的にもブレブレだ。(あるいは前回は視聴者が勝手に「ミステリと言う勿れ」の犬堂甲矢を重ね、ミステリアスな背景を妄想してもらおうという他力本願な狙いだったんだろうか。)
「机上の空論」というのはしばしば突っ込む側にも存在する。
以前、話題になった「犯人がシートベルトを締める」のがおかしいとかいうつっこみもそう。
それがある特定のドラマにおけるキャラ設定についてのツッコミとか、スポンサーの意向が見えるということに対して突っ込むのならわかるのだけど、
「犯人≠シートベルト」
を一般論としてしまうのは、逃亡したこともないやつらの平和ボケの妄想、まさに机上の空論だ。
「逃げ切る」が至上命題である逃亡犯の気持ちになれば容易に想像がつくはず。
「本場」のアメリカのハードボイルド小説にもわかりやすいくだりがある。
まずキャラ設定に関する部分から
He liked being a bad guy more than he’d liked being a husband or a father.
He liked being a bad guy more than he’d liked being a husband or a father.
(彼は夫や父親であることよりも悪党であることを選んだオトコ)
悪さでいったら日本の2時間ドラマのどんな犯人よりも凶悪そうだ。
悪さでいったら日本の2時間ドラマのどんな犯人よりも凶悪そうだ。
風貌も
He had a face carved out of pebbled rock and tattoos all over,...
(岩から彫りだしたような顔で刺青だらけ)
He had a face carved out of pebbled rock and tattoos all over,...
(岩から彫りだしたような顔で刺青だらけ)
とまさに顔面凶器。
そんな彼が脱獄して娘といっしょに殺し屋と警察の両方からクルマで逃げ回っているというシチュエーション。
“Now put on your seat belt Last thing we need right now is to get pulled over just for having a kid with no seat belt.
.(さあ、シートベルトを締めるんだ。ぜったいに職質だけは避けなきゃな。)
どこに「職質」なんてあるんだよという学生さん。いい質問ですね。
「pull over」は車をはじに寄せて止めるという熟語。
それが受動態になっているから「はいそこの車右に寄せて止まりなさ~い」ってわけ。
以上、She Rides Shotgun (A Lesson in Violence) by Harper Jordanより
さらにいうならハリウッドばりのカーチェイスになったならシートベルトはやはり必須。
ふと思ったのだが、このシートベルトに関するトンチンカンなツッコミというのは平和ボケというよりは道交法の軽視という日本の伝統かもしれない。
こないだ情報番組のMCが
「日本でもようやく浸透してきましたからねぇ」
とコメンテイターにたいしてしみじみといっていた。
何?とおもったら「飲酒運転」のことだった。
え?ようやくなの?と耳を疑ったが、ドライバー本人だけでなく同乗者とか酒を出す店とかすべてが責任を感じるようになったのがようやくということか。
…いや、そうだとしてもあれだけ悲惨な事故がいろいろとあったのにようやく最近…のことなのかと。
「ビールなんて水みたいなものだよ」という感覚を助長していたのはCMの影響もあるだろう。(特にスポーツ選手が出てたやつ。)屋外で酒を飲んでもいいという世界的にもレアらしいルールも関係してるかも。
道交法といえばコンプラ、コンプラで何でもかんでも、しなくてもいい言い訳までテロップを入れる昨今、某大御所の
「おれ学生時代にやり残したのは彼女との自転車の二人乗りやねん」
はいつもノーテロップ。
過去の万引きを告白したタレントがしばらく干されたのに対して、その名称自体が道交法違反の暴走族の総長の過去はなぜか武勇伝に。
そういえば「風間公親 教場0」の第一話でもシートベルトを締めることがむしろ特異なケース、しかもなぞときの手がかりとして描かれていたったっけ。
.(さあ、シートベルトを締めるんだ。ぜったいに職質だけは避けなきゃな。)
どこに「職質」なんてあるんだよという学生さん。いい質問ですね。
「pull over」は車をはじに寄せて止めるという熟語。
それが受動態になっているから「はいそこの車右に寄せて止まりなさ~い」ってわけ。
以上、She Rides Shotgun (A Lesson in Violence) by Harper Jordanより
さらにいうならハリウッドばりのカーチェイスになったならシートベルトはやはり必須。
ふと思ったのだが、このシートベルトに関するトンチンカンなツッコミというのは平和ボケというよりは道交法の軽視という日本の伝統かもしれない。
こないだ情報番組のMCが
「日本でもようやく浸透してきましたからねぇ」
とコメンテイターにたいしてしみじみといっていた。
何?とおもったら「飲酒運転」のことだった。
え?ようやくなの?と耳を疑ったが、ドライバー本人だけでなく同乗者とか酒を出す店とかすべてが責任を感じるようになったのがようやくということか。
…いや、そうだとしてもあれだけ悲惨な事故がいろいろとあったのにようやく最近…のことなのかと。
「ビールなんて水みたいなものだよ」という感覚を助長していたのはCMの影響もあるだろう。(特にスポーツ選手が出てたやつ。)屋外で酒を飲んでもいいという世界的にもレアらしいルールも関係してるかも。
道交法といえばコンプラ、コンプラで何でもかんでも、しなくてもいい言い訳までテロップを入れる昨今、某大御所の
「おれ学生時代にやり残したのは彼女との自転車の二人乗りやねん」
はいつもノーテロップ。
過去の万引きを告白したタレントがしばらく干されたのに対して、その名称自体が道交法違反の暴走族の総長の過去はなぜか武勇伝に。
そういえば「風間公親 教場0」の第一話でもシートベルトを締めることがむしろ特異なケース、しかもなぞときの手がかりとして描かれていたったっけ。
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