偽史倭人伝 ~ Carnea Historia

march madness の次が April Foolなんて小粋ぢゃないか。

●ドキュメンタリー演出の基本。それは「勝てば官軍主義」

2008年01月20日 15時44分06秒 | ◎ツッコミ思案neo
 今日のフジテレビの「ザ・ノンフィクション~ホストの前に人間やろ ナニワの青春物語3」
 ホストという業態を必要以上に美化してしまっている昨今の風潮は甚だ疑問だけど、それに目をつむったとしても意図的な演出に違和感を覚えた。

 最初にまず“主人公”と“悪者”をきめてそこにエピソードをねじ込んでいくというムリヤリ感が画面からあふれてくる。

 主人公は井上敬一という大阪最大のホストクラブのオーナー。東京進出を企てるが、金至上主義の幹部ホスト一義の強硬姿勢が次第に不和を生み…みたいなストーリー。

 序盤でおばはんたち(化粧品のセールスレディだったっけ?)を相手に敬一が講演会してるんだけど
「営業は商品説明からはいるヒトが多いけど、まず自分を売りこまなあかん」

 こんないまや「Big tomorrow」からも消え去ったような使い古されたセリフにおばはんたちは感動して(←そういう風に素材をつないでるんだろうけど)
「感動しました。うちの息子もあずけたいくらい」
なんて言っている。

まぁ、これくらいはお約束としても

金至上主義の幹部ホスト一義(カズヨシ)とは同期でホストとしてはうだつが上がらないが、オーナー・敬一に、その人間性を買われ教育係として幹部に抜擢されたという“たっつん”というホストが後輩に余興のコントの指導をしている場面の描き方にも「??」

 一義が「営業時間に店内で練習なんかするな、いま店にお客がいないのならメールや電話で営業しろ」と注意しにくるのだけど、フツーに考えたら当然の指摘なのに一義が冷徹な悪者のように描かれている。

 酔いつぶれたホストの両脇から同僚が肩を抱えて介抱しているところに、
「そいつはほっとけ、それより席外すな」と注意しにくるんだけど、これもまっとうな指導ぢゃねーかっていう。
そもそも酒飲むショーバイなんだから、救急車でも呼ぶような事態でもないかぎりはほっとけばいいと思う。というか他の職業でも特に身の危険がなければシゴト優先だと思う。少なくとも二人も三人も付きっきりになってることはない。
 ここでも一義が悪者だという演出。

 東京進出がままならず窮地に立たされた敬一が、田舎で漁師になってしまったたっつんを訪ね「戻ってきてくれ」と説得するシーン。
どう見てもデキる営業マンのコトバのチョイスとは思えなかったな。
それぢゃ説得できねーよ、ムスコは預けられませんよ…みたいな。

 でも結局、たっつんも戻り、一義とも仲直りをして「ホストグランプリ」で優勝するというハッピーエンドになる
なんぢゃそりゃ。

「事実は小説より奇なり」というよりは逆算後付演出。

 冒頭で「ホストは社会悪といわれてますが…」みたいな反語的な断りがはいるけど、その“社会悪”を覆すだけのエピソードは全く見られなかったし、そもそもあなたたち最近のメディアはホストを「悪」として扱ってねーぢゃん…っていう。


 今日のその冒頭の“断り”がいちばん偽善だと思いました。

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