東京・世田谷の三軒茶屋は古田新太が飲んだくれる酒場の街として、たびたびテレビ番組などでもフィーチャーされるが、バス停に降りたつとドーンと正面にドーンとキャロットタワーというカルチャーなビルがそびえ立つ。
カルディやツタヤなどの店舗や、世田谷パプリックシアーやシアタートラムといった劇場などちょっとしたシャレオツ・スポットなのだが、コロナウィルスの影響で演劇関係は停止状態。
そんな中、3F・4Fの生活工房という区では、「世田谷クロニクル」という展示が絶賛開催中だ。
世田谷区民?の個人的な写真や映像を紹介する地味っちゃ地味だが、神保町で古葉書や軍票の類を漁ったりするのが好きな人種には面白くもある。まぁ、個人のほうの写真は古さが足りないか、個人的すぎるかなという印象で、もっと分かりやすい施設やアイテムなどが映りこんでるのが見たかった。
そんな中、人によってはもっと地味かもしれない展示。世田谷に関する古い新聞記事と1964年(昭和39年)の五輪開催時期の新聞のコピーをただ束ねているという(笑)
なんで五輪?かといえば世田谷区は五輪会場としていっちょかみしてるから必死だ。
↑五輪に向け改修中の馬事公苑の工事現場・外壁。
その展示の趣旨は「五輪に関する記事読め」なんだろうが、個人的には広告が大好物だ。
よく図書館のリサイクルコーナーに古すぎる雑誌・本を置かないでくださいなどと張り紙がしてあるが「てんでわかっちゃいねー」。
図書館が放出するような1年前の雑誌より80年代や昭和の雑誌のほうが面白いに決まってるだろう。
そんなわけで運命のいたずらといったら言い過ぎだけどこんな広告(しかも新型!)
のちにコロナの名前がとれて「マークツー」などと呼ばれ、ナンパ7の道具としてブイブイいわしていた車種の源流。ある意味、日本経済と伴走してきた象徴的なクルマ。
空力って何?といわんばかりのハコ型のレトロなボディがむしろカワイイ。もし今あったら売り上げに影響しただろうか?まぁ食べ物とかぢゃねーから関係ねーか。コロナのストーブとかもあるし。
肺炎つながりでこんな広告。
「肺炎アクロ」なんかキャラみたいな語感だ。中耳炎や淋病に効くって何か怪しい万能薬かと思いきや、よくよく見ればアクロマイシン。マイシンとつくのは抗生物質だ。
ちなみに抗生物質は菌には有効だが、ウィルスには無力。菌でも耐性菌には効かないがこの商品、いまだ存在するので菌の世界は奥深い。
結局、怪しくはなかったがこっちはなんか怪しい。
競馬トニックって何だよ(笑)
ジョッキークラブとあるから騎手がつけるやつか?トニックって整髪というより養毛系だよな?
「朝の数滴、香水の役目をし能率を高めます。」とある。
能率ってなんだ?アロマセラピー的なことか?謎しかのこらない、
今は限りなく清涼飲料寄りというかせいぜいレッドブルのようなエナジードリンクくらいのライトな立ち位置だが、きっと当時はクスリ寄りだった。
だって
「肝臓を守る大型内服液」
というコピー。大型っていうのはよくつかわれた表現だが、ドリンク剤にもって(笑)
「肝臓薬・V群・蜂蜜などをハイミックス!」
ってハイミックスって何だ?高度な精製技術なのか、成分のメンツが豪華だといっているのかまったく謎だ。
「せわしい現代の疲労に強力な回復力を発揮します」って今ならアウトだろうな、この表現。
パイン味の100mlとも。あれパイン味だったのか?それとも今とは味が違うのか。せっかくの薬用感がだいないな気もいるが、パイン飴なんてあったくらいだから、当時はパイナップルも高級品。高いものは精がつくイメージなのか?
変わらないのは王さんの存在感。
長寿な飲料つながりということで、さらに老舗感のあるこちら…
懸賞の商品は五輪の実況が収められたソノシート。ソノシートというのはペラペラのビニールに録音(というかカッティグというかプレス)されたアナログレコード。
よく雑誌の付録にもなった。現代もDVDが雑誌の付録になることを考えるとソノシートの機動性ってすごいと思う。こっちは存在感はほぼ厚紙なので硬くて暑いDVDやCDよりむしろお手軽。
御覧のように記録面に絵が印刷できるのはさらにDVDよりシャレオツ感。
五輪に限らず、スポーツイベントで色めき立つのはテレビ屋さん。
記憶同調?なんだこりゃ?
地デジのセッティングでもある、周波数のスキャニングかと思ったが、今、思いだした。むかしのテレビってコントラスト以外に調整ツマミがあった。
横縞ノイズに無限縦スクロール状態になってるのを調節する。あれたしかにシンクロって表現があってる。
同じ意味なのか、こっちは電子頭脳テレビというコピー
AIかよ(笑)
「今すぐ分割払いで」って表現が金使わせる気満々で、高度成長の正体見たりなかんじ。
「ナショナル月賦販売店」の立て看板が中央にあるが、この看板のお店で!ってことなのだろう。
家電はテレビだけぢゃない。
「オリンピック村に活躍するシャープ」電子レンジは多分、まだ普及してなかったろうから国威発揚のショーケース的な意味あいなのだろう。
コトバの感覚が時代で変わるとい例で面白かったやつ
「ジャージーでおそろい」
ジャージーは今でいうカットソー生地だ。(ギョーカイ的にはまだ残ってる言い回しではある)。スーツデザインのカットソーってなんか80~90年代っぽくもありポップ。百貨店がティーンを相手にしてるところに景気まわってる感。
とはいえ歴史は動いていた。時は冷戦のさなか。激化する宇宙開発競争。
衛星という本来、ヒトが載らないものを「船」にしてる感じが、人間魚雷みたいでなんかコワイ。
周回するから衛星だ…というんだろが、なんか電送写真が心霊写真みたいでさらにコワイ。
なぜハクツルはカタカナなんだろう。カタカナだと逆にレトロに見えるから不思議だ。まあ書体による印象もあるのだろうが。
広告に首ったけで、記事はほとんどスルーだったけど、こんなのをハッケン。
「オリンピックの断章」という石原慎太郎の寄稿。
石原氏、せっかく作った立派な競技場でアメリカ選手ばかり活躍してると嘆く嘆く。
五輪招致は復興ではなく1964年のリベンジ、国威発揚と言いきっていた石原氏の姿勢と50年の時を経て符号。
↓石原発言については音声50秒あたりから。
五輪の記事だけでなく、震災後の流れをトレースしたスクラップも展示すればよかったのにね。ま、地方自治体なんて政権の縮小版だからムリなハナシか。
こんなことを書くとツイッターみたいに凍結されちゃうかもね。反安倍まではいいけど反五輪はけっこうタブーらしい。だって五輪の闇をとりあげてる毎日新聞が五輪のスペシャルパートナーだったりするんだもんな。
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