
毎年クリスマスになると思い出す話がある。
子供の時に日曜学校で聞いた話だ。
昔、ピータという少し頭の緩い子がいました。
何をするにも”とろい”のでみんなから少しバカにされていました。
ある年教会でクリスマスイブに降誕祭の劇をやることになりましたがピーターはセリフを覚えられないのでできる役がありません。
こまった神父さんはピーターに宿屋の主人の役をやらせることにしました。せりふはただ一つだけ。マリアがやってきて
「あの、今夜泊めていただけませんか」と聞いたとき
「部屋がいっぱいだから、ダメだ、ダメだ」といって追い返す役。
そのあとマリアは厩でキリストを生むのです。
そんな役でもピーターは一生懸命にセリフを覚えました。
さて当日いよいよピーターの出番です。
マリアとヨゼフがやってきて
「あの、今夜泊めていただけませんか」
と言ったのを聞いたとき、ピーターは思わずかわいそうになってしまい泣きながら
「どうぞどうぞ、お入りなさい。外は寒いでしょう。早く中にお入りなさい。
お腹はすいていませんか?何か食べ物を持ってきましょうか。」と言ってしまいました。
みんなは驚きました。なぜならピーターがこんなにたくさんしゃべったのを聞いたのは初めてだったからです。
おかげで劇はメチャメチャになってしまいましたが、心の優しい
ピーターの心から出た本当の言葉にみんなとても優しい気持ちに なりました。
そしてそれ以後誰もピーターをバカにしたりする人はいなくなりました。
毎年クリスマスイブになると
「ピーターのクリスマス」とつぶやいてみる
そうするとなんだか心のなかが暖かくなる。
ふわっと小さな灯火がともったような優しい気持ちがわいてくる
そんなふうに誰かの心に暖かい明かりをともせるような人に なれればいいのにな
と毎年この日だけは思うのでした。
ふだんは忘れてる愚か者なんですが。笑。