もうすぐ12歳になる娘ハンナは月夜の晩に両親と最後の別れを惜しみ涙を流していた。
「お父さん、お母さん、私とても怖いわ。明日、死んでしまうの??私はどうなるの?」
倒れそうになる母親を抱えながらハンナの父親は涙で顔がグシャグシャになりながらハンナを優しくなだめた。
「かわいいハンナ。愛する我が娘よ!お前は明日神々様の花嫁として選ばれたのだよ。お前は私の自慢の娘だ。ああ、なんて天は無惨な仕打ちをなさるのだ。身代わりになれるのなら私の命を捧げたいくらいだ。。」
それは半年前、人間の王が精霊である龍と話していた。
龍が王の頭上を通るとまるでジェット機が通るように今にも吹き飛ばされそうになるのを必死で木にしがみついていた
「龍よ!怒りを鎮めたまえ!」
龍は人間の王に怒りながら言いはなった。
「人間の王よ!約束を破ったのはなぜだ!」
「人間は強欲だ!立ち入ってはならぬ領域に入り込み、神聖な場所を汚すとは何と愚かな人間だ!王には、立ち入ってはならないと言っていたはずだ。その者は、好奇心から神聖な場所に立ち入り神木に尿をかけ、枝を切り火を起こし生臭い煙を充満させ、神々の泉とも知らず体を洗い大声をあげてまるで自分が一番のような振る舞いをしていた。無礼にも程がある。神々の逆鱗に触れ稲妻でうたれ死んだが、神々の怒りはおさまらぬ。王よ!王よ!何故約束を破ったのだ!」
人間の王は荒れ狂う強風に畏れながら、叫んだ。
「お許しください。偉大なる神々たちよ!偉大なる龍よ!人間たちには、神聖な場所に立ち入ると、神々の怒りをかい命をとられると伝えていたのです。しかし、人間は魔が差し確かめようとするものが出てきてしまいました。どうぞ、私の命をお捧げします。怒りをお鎮め下さい。」
しばらくすると強風が止み神聖なる声が鳴り響いた。
「人間の王よ!村の娘を生け贄として差し出しなさい。周囲の人間に示し、二度と立ち入ってはならないと誓わせなさい。」
龍は、強風と共に王のもとからいなくなった。
続く