幻野通信 デジタル・バージョン

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演出ノート その5

2011年02月17日 21時47分22秒 | Weblog
5、本番1ヶ月前!だが、・・・人が集まらない

 いよいよ本番まで1ヶ月。
 元木くんが、すばらしいチラシを作ってくれた。毎回そうだが、
「わたしたちは本気なんです。」という声が聞こえてきそうな
チラシだ。いよいよだと気が引き締まる思いがする。

 学校生徒全員に配ることができたので、話題になった。
制作担当の小川君は、チラシを持って、市内のあちこちの店舗や
施設を回ってくれた。スタッフもそれぞれチラシを持ち帰り、
配ってくれた。親も親戚や習い事の先生などに配って宣伝して回った。

 本番3週間前のスタッフ会議には、思ったように人が集まらなかった。
みんな忙しいようだ。中学生は、部活やら、家庭の事情やらで
練習に来られないというし、せりふは覚えていないしと心配になる。
でも、あまりあせらないことにする。元旦に易で占った通りだった。
「人がちりぢりになって、離れそうになる。しかし、あわてることは
ない。最後は、必ず成功する。誠意を尽くせ。」とあったから・・・。

 本木君がテレビ番組にキッズを出してくれるというので、取材。
キッズの子どもたちの気持ちが盛り上がった。番組を見てお客さんが
増えるといいが・・・。

演出ノート その4

2011年02月17日 00時28分05秒 | Weblog
4、硬い身体と具体的な演技指導
 
 何度も話したけれど、子どもたちの体の硬いことには驚いた。
そのひどさは、演技が制限されるほどだ。今の子どもたちは、
小学1年でさえ、マット運動で前転がスムーズにできないほど
だから、身体が硬いことを前提に考えたほうがよい。腹筋、
背筋が弱いためか、姿勢も悪い。特にセアラは、凛とした雰囲気を
出すのに、猫背では台無しだったのでずいぶん注意した。

 前半の練習では、ゲーム的なものを中心に体を動かしていたが、
あんまり硬いので、ヨガを取り入れてやわらかくなるように
つとめた。東北幻野のメンバーも硬そうなので、演技を制限
しないよう、日ごろから各自鍛えておかなければだめだと思う。
 演技指導はより具体的にした。

 助演出で役の担当を決めて取り組んだのは、本当によかった。
限られた時間で、フルに演技指導できたと思う。わたしの力が
及ばないことでも、助演出が考えて教えてくれたことがたくさん
あり、子どもたちが助けられた。

 子どもたちなので、具体的に演技の注文をすることが多かったし、
そのほうが分かりやすかったと思う。たとえば、「2つ数えてから、
次の動作をする。」とか「ここで手を胸のところまでやって。
震えて・・」とか注文をつける。さらに、なぜ、そういう動作が
必要なのか理由を説明する。わたしたちが実際にして見せる。

やらせて、できたらほめる。台本にメモさせる。といった具合。
大人なら、また、東北幻野の役者なら、ここまで注文しなくても
いいかもしれないが、経験不足の子どもたちに「場面や気持ちを
想像して演技して。」といっても、客観的に動きで見せる演技には
つながりにくいのが実際だった。

 つらかったのは、かなりのエネルギーと時間をかけてやっても、
次の練習にはすっかり忘れて来ることだった。砂漠に水をまいて
いるような感覚になる。それでも、少しずつ蓄積があったのだろう。
スタッフから「前からみると、上手になったね。」といわれて
元気付けられた。

 演じる動きに普遍性がほしい。「人間は、こんな時、こういう
動きをするんだよ。」と確信をもって言いたくて、新潮選書
『ヒトはなぜ拍手をするのか・・・動物行動学から見た人間』を
読んだ。これは、演技指導の参考になった。行動心理学みたいな
ものは、もっと勉強したいと思った。(蛇足だが、今まで不愉快に
感じていた人の行動がおかげで気にならなくなった。「あー、
これは、男性の遺伝子に組み込まれた情報のせいであって、
この人の性格のせいじゃない。」とか思っちゃったりして。)

 それにしても、子どもというのはけなげなものだと思う。
「ここは五つ数える。」とか「ここは2秒数えてから次のせりふ。」
なんて注文したことを確実に本番でやってのけていた。本番前に
急に指示したことも、忘れずにやっていた。涙が出るほど、
子どもたちはすごい!と思った。