8、家庭では
「仕事も家庭もあるし、大変でしょう。」とよく言われる。大変じゃない
とは言えないけど、なんとかなっている。
公演1週間前。すぐ食べられるレトルト食品を1週間分買い込んだ。
子どもたちには、いよいよ戦闘態勢に入ったことを告げる。「夜は、
両親ともに帰りが遅いから、自分たちで何とかするのですよ。」高校1年と
中学1年の息子たちは、当たり前のように受け入れる。その代わり、
朝は多めにおかずを作り弁当をつめる。掃除や洗濯ものや食器片付けなどは、
普段から息子たちの仕事なので、夕食くらいはなんとかなるものだ。
それに、親が子どもたちのために犠牲になっていると感じるのは、
かなりつらいことらしい。
何年か前のこと。東北幻野の「2001年人形」を最後に、わたしは
数年間退団に近い状態にあった。小学校高学年になっていた長男に
言われた。
「お母さんは、劇に出ないの。」
「何年か前まではやっていたんだよ。」
「どうして、今は出ないの。」
「だって、お前たちがいるし・・・」
「えー、それって、俺たちのせいなの・・・。」
「劇に出てほしいの。」
「うん。」
このときの、息子の悲しい顔。母親が我慢して家にいることより、
母親が生き生きとなにかやってることの方がうれしいらしい。他の
お母さんたちに比べると、ほんとにぐうたらな母親だと、情けなく
感じているが、いつも子どもたちに支えてもらっているので、
家では感謝することはあっても、不必要に叱るとか何か注意
することも少ない。
一番動きやすくなった理由は、親の家から出て、新居を
持ったこと。結婚して以来、実はやっと、自分らしく生きていると
感じているのだ。
「仕事も家庭もあるし、大変でしょう。」とよく言われる。大変じゃない
とは言えないけど、なんとかなっている。
公演1週間前。すぐ食べられるレトルト食品を1週間分買い込んだ。
子どもたちには、いよいよ戦闘態勢に入ったことを告げる。「夜は、
両親ともに帰りが遅いから、自分たちで何とかするのですよ。」高校1年と
中学1年の息子たちは、当たり前のように受け入れる。その代わり、
朝は多めにおかずを作り弁当をつめる。掃除や洗濯ものや食器片付けなどは、
普段から息子たちの仕事なので、夕食くらいはなんとかなるものだ。
それに、親が子どもたちのために犠牲になっていると感じるのは、
かなりつらいことらしい。
何年か前のこと。東北幻野の「2001年人形」を最後に、わたしは
数年間退団に近い状態にあった。小学校高学年になっていた長男に
言われた。
「お母さんは、劇に出ないの。」
「何年か前まではやっていたんだよ。」
「どうして、今は出ないの。」
「だって、お前たちがいるし・・・」
「えー、それって、俺たちのせいなの・・・。」
「劇に出てほしいの。」
「うん。」
このときの、息子の悲しい顔。母親が我慢して家にいることより、
母親が生き生きとなにかやってることの方がうれしいらしい。他の
お母さんたちに比べると、ほんとにぐうたらな母親だと、情けなく
感じているが、いつも子どもたちに支えてもらっているので、
家では感謝することはあっても、不必要に叱るとか何か注意
することも少ない。
一番動きやすくなった理由は、親の家から出て、新居を
持ったこと。結婚して以来、実はやっと、自分らしく生きていると
感じているのだ。