スーダン:南コルドファンの民間人(文民)が空爆の恐怖を訴える
国連は人道上の立ち入りを要求し、無差別空爆を止めさせるべき
(ロンドン、2011年8月30日)-スーダン武装軍(以下SAF)が南コルドファン州ヌバ山地地方の民間人(文民)居住地域を無差別に爆撃するとともに、難民が必死の思いで要望している援助を妨害している、とアムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。
両団体の調査員は、8月下旬に同地方で行った1週間の調査ミッションの際、カウダ(Kauda)、デラミ(Delami)、クルチ( Kurchi)の3地域で行われた13回の空爆を調査した。それらの空爆で6月中旬以来、民間人(文民)少なくとも26名が死亡、45名以上が負傷している。調査員は又、政府軍機が文民地域の上空を旋回し爆弾を投下し、民間人(文民)が山や洞窟の中に避難せざるを得なくなっているのを、目撃している。
「情け容赦のない爆撃が、民間人(文民)の男性、女性、子どもを殺害し傷つけ、数万人を難民化して、援助を必死に待ちわびる状況に追い込み、地域社会全体が作物の植え付けや子どもを養うことを不可能にしている。」とヒューマン・ライツ・ウォッチのアフリカ局長ダニエル・ベケレは語っている。
「スーダン政府は正に殺人をやり逃げし、世界がそれに気付かないようにしている。国際社会、とりわけ国連安全保障理事会は、見て見ぬ振りをやめ、この問題に対処するために行動しなければならない。」、とアムネスティー・インターナショナル上級危機対応アドバイザー、ドナテラ・ロベラは語っている。
民間人(文民)は無差別爆撃から身を守る手立てがない。「爆発音が聞こえて、隣の人がマルヤムの死体を家に運んできた。マルヤムは頭をやられていて、頭の一部がなかったの。隣の人はイクバルをお墓場に運んだから、そこに行こうって言った。それで行ったんだけど、イクバルの怪我は本当にひどくて、私は見れなかったの。」と、爆撃で2人の娘を殺害された母は自らの悲惨な体験をアムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチに話している。
現地の援助団体によると、空爆と襲撃そして戦闘で、反政府勢力の支配下地域で15万人以上の住民が難民化しているが、現地では政府が援助団体の食糧配給やその他の援助をすることを許さないのだそうである。約5,000名の住民がUnity州の難民居住区に行こうとして南スーダンとの国境を越えている。
爆撃は民間人(文民)住民に壊滅的な打撃を与えている。繰り返し行われる空爆で家を追われ難民となった地域住民は、町から遠く離れた洞窟内や山の頂上、木の下或いは茂みの中での厳しい環境下で生活している。十分な食糧、医薬品、衛生設備、激しい雨をしのぐ避難所もない。多くの難民家族が調査員に、野イチゴや木の葉を食べて飢えをしのいでいるが、子どもたちは下痢やマラリアに苦しんでいる、と訴えている。
ダルフール西部地方の民間人(文民)に対する重大な犯罪容疑で、国際刑事裁判所(以下ICC)に指名手配されている、スーダン大統領オマル・アル・バシールは8月23日、スーダン軍が6月初旬以来反政府勢力と戦っている、南コルドファン州での一方的停戦を表明した。しかしながら現地の団体は、停戦表明にもかかわらず、政府は民間人(文民)居住区域に爆撃を続けている、と述べた。アル・バシール大統領は又、国連と国際援助機関の双方に難民援助を許可しないと述べている。
調査員が現地にいる間にも、アントノフ機がほぼ毎日、農地と村に爆弾を投下していた。一例を挙げると、8月14日1機の航空機がカドグリ市の東70kmにあるクルチ村の近くに爆弾を投下、ワジル・アル・カラバさんの自宅とその所有物を破壊している。調査員はまた8月19日午後5時15分にクルチ村近くで、アントノフ機から落下中の爆弾3発の写真を撮っている。8月22日には更なる爆撃で、男性1人が足に、高齢女性1人が顎に、それぞれ重傷を負い、学校が被害を受けている。
「文民地域への無差別攻撃と、人道援助への制限は人道に反する罪を構成する可能性がある。そのような攻撃を停止し、人道上の必要性に対する中立な評価と救援提供が直ちに許可されなければならない。」と前出のロベラは語っている。
調査員が訪れたどの空爆現場の近くにも明らかな軍事目標は見当たらなかった。目撃者は高度上空を飛ぶアントロノフ機或いは戦闘機が、付近に軍事目標のない文民地域に爆弾を投下している、と話していた。
兵器専門家はアムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチに、使用された弾薬は非誘導型で、多くの場合アントロノフ輸送機から手動投下されたか、或いは精密搬送の出来ない方法で他の航空機から発射されている、と述べている。軍事目標に精密に狙いを定める事が出来ない兵器の民間地域での使用は、攻撃が元来無差別となるので、国際人道法違反となる、とアムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。
政府支配地域下では、安全上の問題と政府の厳しい制限があるため、国連機関や他の援助団体は被害を受けた住民に接することが出来ない。スーダン当局は援助目的のフライトを承認しないことで、反政府勢力支配下地域の民間人(文民)への国連機関や他の援助団体の援助提供やアクセスを妨害している。6月14日、19日、24日には戦闘機を含む政府軍機がカウダ飛行場とその付近を爆撃している。
政府は8月20日にヌバ山地への立ち入り制限をした事はないと表明しているが、アル・バシールはその3日後に、国際団体の同州への立ち入り禁止し、スーダン赤十字だけに援助提供を許可する旨述べている。
武力紛争の当事者として、スーダン政府と反政府勢力は、被害住民がどこに住んでいようとも、彼ら全ての手元に空路や陸路で人道援助を届ける事を直ちに承認しなければならない、とアムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。全ての人道援助機関に、今食糧・避難所その他の援助を緊急に必要としている民間人(文民)の救援のための、自由なアクセスが許可されるべきである。
武装紛争は6月5日にカドグリ市(Kadugli)とウンム・ デューリーン(Umm Durein)でスーダン政府とスーダン人民解放軍(SPLA)の間で始まり、急速に政府軍とSPLAが駐留する他の町や村に拡大した。
北スーダンの支配政党国民会議党(以下NCP)とスーダン人民解放運動(以下SPLM)の間での緊張が高まり続ける中で、戦闘は勃発した。SPLMは現在、独立した南スーダンの支配政党である。南コルドファン州の安全保障体制問題と同州内で行われた選挙に関する紛争が原因だ。その選挙ではダルフールでの戦争犯罪と人道に反する罪容疑でICCから指名手配されている、前人道関連大臣アフメド・ハロウン(Ahmed Haroun)が現役知事として立候補し僅差で勝利を収めている。
22年続き2005年に終結したスーダン内戦において、以前の南スーダン反政府運動はヌバ山地でスーダン政府と戦ってきた。その南スーダン反政府運動に長く関与していたヌバ族が、南コルドファン州には非常に多く住んでいる。南スーダンが今年7月9日に独立国家となった時、スーダン国内で活動中のSPLMはSPLM-Northとして知られるようになり、南コルドファン州内の反政府勢力はSPLA-Northとして知られるようになっている。
アムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員は、前線までは行けなかったし、スーダン軍が支配している戦闘が最初に起こった場所に入る事は出来なかった。しかしカドグリ市や他の地域での戦闘から逃げて来た、多数の難民に聞き取り調査を行っている。
兵士と民兵が路上にいる人々を銃撃すると共に、SPLM支持者として知られている名前のリストを使って、全戸ローラーでの家宅捜査や検問所での職務質問を行った、と目撃者は話している。またSPLMのメンバーである事が知られている者の自宅をブルドーザーで破壊するなどの破壊活動や略奪、教会や民家への焼き討ちについても、目撃者は説明している。
彼らの説明は、人権高等弁務官事務所(以下OHCHR)が8月15日に公表した報告書で明らかにした事実と一致している。南スーダン独立に先立つ6月の初旬に、国連スーダンミッション(以下UNMIS)の任期が終了したのだが、その期限前にUNMIS人権監視員が行った調査に基づき、そのOHCHR報告書は作成され、戦争犯罪と人道上の罪に該当する可能性のある、不法殺害行為や民用物に広く行われた攻撃のパターンを取りまとめている。
スーダン政府は国連報告書の指摘事実を無視、国連安全保障理事会での南コルドファン州に関する議論を、政府による人権状況調査が完了するまで延期する事を申し入れている。
「スーダンは民間人(文民)を爆撃し人道援助を妨害し続ける一方で、重大な人権侵害をごまかそうと目論んでいるようだ。国連安全保障理事会は余りにも長い間沈黙を守り続けて来た。民間人(文民)の頭に爆弾が降り注ぐのを座視するべきではない。」とアムネスティー・インターナショナルのロベラは語っている。
国連安全保障理事会が8月19日に会議を持ったが、南コルドファン州での人権侵害を非難する声明に関しての合意に至る事も、具体的な行動をとる事も出来なかった。その大きな要因は南アフリカ、ロシア、中国の反対である。
「南アフリカの姿勢は特に問題だ。アフリカの指導的国家として、南コルドファン州のアフリカ人住民の犠牲に背を向けるべきではない。問題解決のための行動を妨害するのではなく、国連安全保障理事会の先頭に立たなければならない。」とヒューマン・ライツ・ウォッチのベケレは語っている。
スーダンが行っている民間人(文民)居住地域での無差別爆撃その他の違法行為を断固として非難する事、それらの行為を止めるよう要求する事、被害を受けた全ての地域への自由な立ち入りを求める事、南コルドファン州全域で中立な人権状況の監視を行う存在を立ち上げるための具体的行動を起こす事などを、アムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは国連安全保障理事会に強く要請した
更に両団体は、南コルドファン州での戦闘の際に起きた国際人権法及び人道法への違反疑惑に対して、中立的な調査を要求する人権高等弁務官の勧告を実施する事も、安全保障理事会に強く求めている。
政府が南コルドファン州民間人(文民)を爆撃
無差別爆撃
6月初旬以来、スーダン武装軍(以下SAF)は文民地域に対する無差別爆撃を繰り返し、多数の民間人(文民)を殺害すると共により多数を負傷させてきた、とアムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは述べている。
民間人(文民)を数十名(その内の多くが子ども)殺害・負傷させ民用物を破壊した13回の空爆を、両団体の調査員は調査した。一部は自宅の中や周辺で、他は農地で耕作中、水汲みの最中、或いは村の市場で爆撃を受けている。
空爆現場で聞き取り調査に応じた全ての被害者と目撃者によれば、空爆当時或いはそれ以前においても、その地域には反政府武装勢力SPLA-Northの兵士はいなかったそうである。また調査した全事件は、前線近くや武装勢力間での交戦が活発な地域で起こっていない。
証言は、爆弾の破片、不発弾、着弾爆発によって出来た穴、損壊した財産、その他爆撃現場で発見された物的証拠と一致しているし、地域住民が攻撃直後に撮った写真やビデオ映像と共に、被害者を治療した医療従事者によって記録されている傷のパターンや医療記録とも符合している。
使用された弾薬の型式と投下方法(高高度から投下される非誘導型弾薬)が、適用可能な国際人道法の規定の下で不法行為となる、無差別空爆だったこと示す更なる証拠である。
女性と子どもが殺害されている
40代前半の農民であるアンジェロ・アル・シルさんは、妊娠中で10人の子どもの母親でもあった妻、2人の子ども、甥、親戚1人の合計5人を、カドグリ市の東に位置する村、ウンム・シルディーバ(Um Sirdeeba)に加えられた空爆で失っているが、調査員に以下のように話していた。
「妻のマハシンは、自宅の隣にある農地で作物を植え付けてたんです。その時飛行機の音が聞こえました。アントノフが空を旋回してました。妻は子どもたちに、“地面に伏せて!爆弾が直ぐ落ちてくる”って叫んでました。」
爆弾は家族の家の近くに落ち爆発、悲惨な結果をもたらした。
マハシンさんは、家の外の農地で爆弾の破片にバラバラにされ即死。9歳の息子ヤセルちゃんは調理中の姉アマルさんの手伝いで台所にいた時、壁を貫通した爆弾の破片に頭がい骨を直撃された。破片は又、家の外で座っていた1歳の妹アマニちゃんの胸に当たり、さらにその隣に座っていた4歳の従兄弟ムサ'アブ・アル・ファキフちゃんを即死させた。更なる爆撃を恐れて、アル・シルさんとその隣人は負傷した子ども、ヤセルちゃんとアマニちゃんを近くの山に運んだが、2人とも数分以内に死亡した。
親戚で20代後半のアルサフィ・アル・ハッサンさんは、近くのモスクの中にある学校で教えていたが、アル・ファキフ家と一緒にいて、庭の木の下に座っていた時に、飛来した爆弾の破片で殺害されている。
アル・シル家とアル・ファキフ家の他の子ども数名もその空爆で負傷している。アムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは、入院中の子ども5人を見舞ったが、そこで子どもたちは事件発生後2ヶ月経過してもまだ治療を受けていた。3歳のロバ・アル・シルちゃんとアバス・アル・ファクフちゃんは胸と背中に特に大きな傷を負っており、2人とも破片が肺を貫通していた。3歳のマワダ・アル・ファキフちゃんは左足下部に裂傷を負い、5歳のサイダ・アル・シルちゃんとその11歳の姉ハスナちゃんは同じく裂傷を手足に負っていた。
親族と隣人はアムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチに、同地域は更に複数回の空爆に遭ったと話していた。1週間後にも空爆があり近くの少女が殺害されたそうである。
6月22日には、カドグリ市の東120kmに位置するカウダ(Kauda)でも空爆があり、自宅近くの農地でヤギに草を食べさせていた、24歳で妊娠8ヶ月であると共に3歳の息子の母親ファウジヤ・イブラヒム・クルルさんが殺害されている。彼女の親戚と隣人は、爆撃当日の午後、少なくとも5発の爆弾が列をなして落下してきた、と話している。最初の1発がクルルさんを殺し、最後の1発は地元NGO事務所の間近で爆発、近くの民家に被害を与えている。
6月26日には1機の航空機がウンム・シルディーバに再び爆弾を投下、6月19日の空爆現場から約200mの所に落ち、木の下に避難しようとしていた、8歳のザルカ・アル・サジャちゃんを殺害している。母親のマリアム・ザンガさんは、子どもを家に置いて夫と共に耕作に行っていた際の事件を以下のように語っている。
「畑に行ってて家に帰ったらもう娘は死んでいたの。娘を助けるために何も出来なかった。お腹にスゴク大きい怪我をしていて、腸が出ていたわ。」
爆弾の破片は又3歳の隣人ナジワ・ダウドちゃんを負傷させ、8月上旬にあった次の空爆では隣人3名が負傷している。
6月26日にクルチ市場に加えられた空爆は、子ども5名女性3名を含む民間人(文民)13名を殺害、20名以上を負傷させている。
アムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチはクルチの空爆現場を訪れ、犠牲者・その親族・その他目撃者25名に聞き取り調査を行った。彼らの詳細な証言は他の証拠と相まって、民間人(文民)への無差別攻撃の実態について一貫したイメージを提供している。
住民が、とりわけ女性と子供が通常集まっている、村の水ポンプと市場がある地域、周辺およそ150m×100mのエリアで、3発の爆弾が爆発した。今は寂れている市場だが、その攻撃の前までは、毎日賑わっていたのだ。
犠牲者の大多数は水汲み途中の女性や子どもたち、買い物客、通行人である。殺害された人の中に4歳のマカリナ・テイマス・スレイマンちゃんとその3歳の妹ブレスケラちゃんがいた。8歳の姉マルセラちゃんは右足の大部分と左足の一部を失った。マルセラちゃんは病院のベッドで調査員に以下のように語っている。
「あたしたち井戸の近くにいたの。飛行機が来て、みんな逃げ出した。そしたら足がとっても痛くなったの。今この棒[松葉づえ]で歩くのを習わなきゃダメ。とても難しいの。」
攻撃直後に撮影された写真は、井戸の近くの野原で爆弾の破片にやられてバラバラになった妹2人の遺体が映っている。イクバルちゃんとマリアム・ムサ・アル・ラヒマちゃんの母親であるアワテフ・コベルさんは、娘たちが水汲みに掘削孔に行った時に爆弾が爆発した時の様子について以下のように調査員に話している。
「爆発の音が聞こえて、それからお隣の人がマリアムの遺体を家に運んできてくれた。頭をやられていて、一部がなくなってた。イクバルを運んであるからお墓場に行きなさいって言われたわ。行ったけど傷があんまりヒドク、私は見ることも出来なかった。」
3番目の妹8歳のケチもその攻撃で負傷したが生き残った。その家族は攻撃の直前に、爆撃から身を守るために殆ど毎日を過ごす、近くの山中にある洞窟の隠れ家から帰宅したばかりだった。13歳のイクフラス・ハッサン・ジャデンさんは市場の店にいる兄弟にお昼の弁当を届けに行って、爆撃に遭った。母親のレイラ・アフマドは調査員に以下のように話している。
「爆発の音が3回聞こえて、子どもたちが市場に居るから、駆けつけたわ。走って行く時、みんなが娘を抱えて私の方に走ってくるのが見えたの。足が折れて切り傷もあった。クルチにある診療所に連れて行ったけど、怪我がひど過ぎるからカウダにある病院に行く必要があるって言われたの。娘は病院にたどり着く前に死んだわ。」
ワリド・オスマン・アリさんは32歳の教師で2人の幼児の父親だが、市場にある店の後ろに避難しようとした際に殺害された。店の主人ナビル・アル・アミン・クアさんは、ワリドさんが殺された時の様子を以下のように話している。
「その人携帯電話に充電していたよ。その時空から飛行機の音が聞こえた。ボクは身を投げ出して店の後ろの地面に伏せたんだけど、ワリドさんは壁の近くで立ったままでいた。でかい破片が壁に飛んできて、ワリドさんの色んな所、特に腰のあたりに当たった。殆ど半分に切れちゃったような状態だったよ。」
クルチ市場への空爆は13名の人々を殺害、更に20名以上の負傷者を出している。その中に井戸に水汲みに行っていた、8歳のビビアナ・イサクちゃんがいる。治療した医師は調査員に、爆弾の破片が脊椎頚部を切断したと述べた。彼女は現在腰から下が麻痺している。
7月2日正午頃クルチの近くにあるサラフ・ジャムス村に加えられたその後の空爆で、
24歳で生後4ヶ月の赤ん坊の母親ヌヌ・アンゲル・カルキさんと23歳のニダル・ハシムさんの女性2人が爆弾の爆発で殺害された。
カルキさんの父親は、飛行機が上空に飛んで来た時、娘は畑から家族が防空壕として使っていたキツネの巣穴に向かって走ったが、たどり着く前に殺されてしまった、と話していた。12歳のナイロビ・ルカちゃんは、カルキさんと一緒だったが軽傷を負っただけで生き延びた。8歳の隣人シャル・ボリス・アバリちゃんも又軽傷を負っている。
アムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは8月に起きた空爆事件もまた調査した。8月14日に1機の航空機がクルチ村の近くに爆弾を落とした。ワジル・アル・クハラバさんはその爆撃で、自宅と財産を破壊されると共に、2人の妻、11人の子どもを失っている。調査員は又、8月19日午後4時30分、クルチ村の南の地域にアントノフ航空機が爆弾を投下しているのを目撃した。調査員がその地域から立ち去った後の8月22日、カウダに爆弾が落とされ、男性1人と高齢女性1人が負傷、学校に損害を与えている。
国際人道法違反
無差別爆撃は国際人道法に違反している。スーダン軍とSPLA-Northの兵士は、国内武装紛争の当事者として、民間人(文民)と軍事目標を区別なく攻撃することを禁止する国際人道法に拘束されている。期待される軍事的利益に比して、巻き添えとなる文民の被害あるいは民用物の損壊が、不均衡となるような攻撃も又禁止される。
特定の軍事目標を標的としていない攻撃、或いは特定の軍事目標を標的とする事が不可能な戦闘の手段若しくは方法を採用した場合、或いはその採用した戦闘の手段若しくは方法によって得られると期待する軍事的利益が、それらの有する影響力に限定不可能な場合、従って文民と軍の区別をしない攻撃は無差別となる。戦闘においては両陣営とも、状況が許す場合、民間人(文民)住民に危害を及ぼす可能性のある攻撃に関する「効果的かつ早期の警告を行う」事などを含めて、民間人(文民)の犠牲と民用物の損壊を最小限に抑えるために、実行可能全ての予防措置を講じなければならない。
アントノフ機は特定の軍事目標に対して誘導爆弾を向かわせる事は不可能である。爆弾は機体の後方から投下され、パイロットは投下するタイミングを、航空機の速度や高度など多くの変数を基礎にして決定する。爆弾は1度投下されたら、弾道を変えられない。戦闘機が文民地域でそのような非誘導型弾薬を投下或いは発射する場合、無差別若しくは不均衡な攻撃となる重大な懸念を生じさせる。
数十万の人々が爆撃から避難
SPLM-Northが支配する5つの地域で活動している地元団体によると、紛争が始まった6月初旬以来少なくとも15万人の人々が、自分たちの家から逃げ出しているそうである。数万人の難民が集まっているSPLM-North支配地域の多くへのアクセスは、激しい雨や車両用燃料の不足そして安全上の不安から制限されているので、難民の数は15万人を相当程度超えている可能性がある。幾つかの地域での戦闘が更なる難民を生む結果となっているので、難民の数はこれから数ヶ月の間に増大する可能性もある。
アムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは約150人の難民の話を聞いている。難民は、山の麓や頂上の空爆時に避難先として駆け込める巨大な岩の近くや、最も爆撃される危険性が高い主要道路や町から遠く離れた木の下、或いは夏休みの間閉鎖されている学校の中などの、仮設避難所で生活している。
町や村で見ず知らずの人々と共に避難している人々もいる。「そうしないと野宿で暮らすことになる人々を助けざるを得ない。」、と彼らは話している。山の麓にある自分たちの村とその周辺への空爆から逃げて来た約1,000人の人々が、山の頂上にある洞窟や放棄された民家に避難しているという実例があり、調査員はその地域を訪れている。広範囲に及ぶ村々から爆撃を避けて逃れて来たその他1,500人の人々も、その地域に流入していた。
人道上必要な援助に対しての圧力
SPLM-Northの支配地域及び南コルドファン州における政府支配地域の殆どに対する全人道援助を、スーダン当局が遮断し始めてから2ヶ月以上が経過し、空爆その他の攻撃を避けて逃げてきた15万人を越える難民は、食糧その他の人道援助を緊急に必要としている。
「人道援助が全く或いは限られた量しか手に入らないで、野イチゴや木の葉を食べると共に、それで子どもを養わざる得ない状況に追い込まれている。」、と多数の難民がアムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチに話していた。SPLA-N支配地域全域のコミュニティが、攻撃への恐怖拡大の結果或いは、農地がSAF支配地域にあって立ち入り出来ないために、農地を耕す事が出来ないか-通常栽培する作物のわずかしか植え付けできないでいる。食糧不足は悪化しそうである。
8月20日に国連の3機関が、南コルドファン州のSPLM-North 支配地域を含む、国連の表現では“幾つかの地域”で、状況評価ミッションを行おうと試みた。しかし軍情報部(Military Intelligence)を含むスーダン政府当局者にエスコートされたため、政府支配下の町、カドグリしか訪れる事が出来なかった。スーダン当局は他の地域に行く事を承認しなかったのである。
8月23日にスーダン大統領オマル・アル-バシールは、全ての外国機関を南コルドファン州に立ち入り禁止にする旨を宣言した。以来国連スタッフはアムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチに、同州当局が反政府勢力支配地域全域を含む同州の多くの地域に対する、国連スタッフの中立的な立場での立ち入りを拒否し続けていると明言している。
政府は援助を阻止
戦闘が勃発して以来、国連は推定数万人の難民のほんの一部、殆どはカドグリ市内或いはその近くいる難民にしか、食糧その他必要最小限の援助を届けられていない。カドグリ市外地域への国連の立ち入りは、厳しく制限されている。手持ちの援助物資が殆どない(車両、交換部品、燃料も非常に少ない)状況で、少数の団体がSPLM-North支配地域にいる難民15万人の一部を援助するために奮闘している。
6月初旬に武力紛争が勃発と同時に、カドグリ市外への移動は厳しく制限されたため、多くの国連スタッフがカドグリ市や南コルドファン州の他地域から退避した。しかし他は、南スーダンが独立を宣言した7月9日、国連ミッションの任期終了に伴い撤退している。
6月9日にスーダン当局は、首都カーツームから南コルドファン州へのフライト承認を差し止めた。当局が認めたのは、国際機関の全スタッフと数人の国内機関スタッフを退避させるため、6月21日から26日までのカウダ(Kauda)を含むSPLM-Northが支配する町に向かう若干の国連フライトだけである。
6月20日、米国国連大使スーザン・ライスは国連安全保障理事会に、スーダン当局が“UNMISの航空偵察隊を撃ち落とすと脅し、・・・更にカドグリ飛行場を支配下に置くと共に、UNMISのフライトに対する着陸権を拒否した。”と伝えた。スーダン武装軍スポークスマンのクハリド・アル・サワルミ大佐は、ライス氏の主張を否定している。
しかしながら政府は、スタッフと物資の退避目的を除いては、南コルドファン州へのフライトへの許可を拒否し続けている。
乏しい食糧提供、差し迫る危機
戦闘勃発時、カウダ市(6月中旬以降SPLM-Northの支配下)にある世界食糧計画(以下WFP)の倉庫には700トンの食糧が備蓄されていた。地元の援助団体によればWFPが6月に退避した後、同地域に残った団体が10万人の難民に対する10日間の配給を引き継ぎ、その後の60日間で配ったそうだ。残っている食糧は23,000人の人々に対するもう1回分の10日間の配給を補うのに十分である。
調査員の訪れた全地域で難民数十人が、僅かな援助食糧しか配給されず、野イチゴや以前スープにしていた木の葉で数週間しのいだ、と話していた。母親たちは「子どもが下痢に苦しんでいる」更に「これからの数週間、家族がどうやって生きて行けばいいのか分からない。」と訴えていた。複数家族に受け入れられている人々は、「分け合って食べようにも、受け入れ家庭に、非常に僅かな食料しかないか、全く食糧がない状態です。」、と話していた。WFPによれば、南コルドファン州は2009年2010年と作物の出来が悪く、紛争が始まる前でも地域社会は苦労していたそうである。
地域の主食、トウモロコシの作付時期である6月と7月に、スーダン空軍は激しい空爆を行った。聞き取り調査に応じた殆どの人々が、恐ろしくて作物の植え付けが出来ない、或いは通年よりも非常に少なくしか出来ない、と話していた。
自らの家から遠く離れて難民生活を送る他の人々は、もはや農地に行く事が出来ないので、何も作付けしていないと話していた。
家畜や金とトウモロコシを取引出来るのは限られた人々である。しかしそのような人々でも、市場では十分な食料を見つけられないか、価格が高くて買えない、と地域社会の指導者は話していた。市場は北との交易に大きく依存しているにもかかわらず、現在SPLM-Northの支配地域ではその交易が遮断されているので、市場への供給が減少していると、WFPは報告している。価格は急激に上昇している。
国連食糧農業機関(FAO)は南コルドファン州での耕作面積の大幅減少を予測している。地元当局の代表者は、雨の遅れで10月と11月に殆どの地域が大凶作となり、問題を悪化させるだろう、と述べている。飢饉早期警告システムネットワークによれば、この地域での降雨量は平均の50%だそうである。武力紛争で被害を受けた難民を含めた民間人(文民)にとって、食糧と家畜の状況は既に“緊急事態”の1ランク下である、“危機的”レベルに達している、と同ネットワークは述べている。
南コルドファン州の動態分析をしている栄養学の専門家は、 “飢えの累積効果”である下痢・マラリア・肺炎により、栄養失調の割合が上昇する事を心配している。
必要な他の援助
アムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは、難民は又緊急に非食品(以下NFI)系援助を必要としている、と述べた。6月初旬以来、各団体は毛布、プラスチックシート、調理器具、蚊帳などを含んだNFI系キットを1,500しか配っていない。在庫は数百しかない、と援助団体は述べている。ある地域では、受け入れに悪戦苦闘するホストファミリーと、数千人の難民が一緒に生活している。これは仮設避難所の屋根にするプラスチックシートを、難民が持っていないのが主な原因である、と地元当局が述べている。
現在の人道状況は、1990年代初め南コルドファン州で起きた紛争時の状況を思い出させる。この時スーダン軍はSPLA支配下地域への全援助を遮断するとともに、援助を受けるなら政府運営の“ピースキャンプ”で生活するよう、数千人の民間人(文民)に強制したのである。飢饉が猛威をふるい、数万人の民間人(文民)が栄養失調と病気で死亡した。
援助活動を承認する義務
困窮する民間人(文民)に如何なる不利益をも与えずに行われる、公平な人道援助の緊急かつ自由な通行を認めかつ促進する義務を、戦争法はスーダン政府を含む紛争当事者に負わせている。スーダン当局は援助提供を管理する権利を有しているものの、人道援助団体の立ち入りを恣意的に拒絶する事は許されず、住民の生存が脅かされている場合、基本的に公平かつ差別のない援助を行う人道援助団体に、立ち入りを許可しなければならない。
援助活動が軍事作戦を妨げる可能性があり、真に止むを得ない軍事上の必要で制限が求められた場合にのみ、スーダン政府はSPLA-N-held支配地域内或いはそこに向かう援助機関の移動を一時的に制限する事が認められる。
カドグリでの重大な人権侵害
南コルドファン州での紛争は、5月に隣接しかつ領有権について争いのあるアビエイ(Abyei)を、政府が激しい軍事活動を行って占拠した1週間後、6月5日に始まった。スーダン政府軍とスーダン人民解放軍(SPLA)の戦闘はカドグリ市(Kadugli)とウンム・ デューリーン(Umm Durein)で始まった後、政府軍とSPLAの双方が駐留している南コルドファン州の他の町に急速に拡大した。
アムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは、カドグリ市及び他のスーダン軍支配地域に行けなかったが、紛争勃発後数日の間にカドグリ市を脱出した人々或いは、スーダン軍及びそれと同盟関係にある民兵が行った人権侵害の目撃者や被害者多数に、調査員は聞き取り調査を行っている。圧倒的多数の首尾一貫した証言が、武装民兵と共に活動する政府軍が当該地域で重大な人権侵害を行っている事を示唆している。
全戸ローラーでの家宅捜査や検問所で起きた、国連職員をも対象にした恣意的逮捕や超法規的処刑その他膨大な数の人権侵害事件を取りまとめた国連報告書が、8月15日に公表されたが、目撃者の証言はその報告書で示された事実と符合している。
スーダン武装軍や中央予備警察(Central Reserve Police:CRP)、人民防衛軍(Popular Defense Forces:PDF)を含む政府軍とそれと同盟関係にある民兵組織が、居住地域に砲撃や空爆を加え、民家や教会を略奪や焼き討ちし、民間人(文民)に発砲し、SPLMとの関係を疑った人々を不法逮捕又は殺害した、と人権侵害を目撃した数十人の人々が話していた。
超法規的殺害
アムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは、カドグリ市と南コルドファン州の他の地域でスーダン人民解放運動(SPLM)に所属していると考えられた人々に対して、超法規的処刑が行われているという証言を多数入手している。
37歳のカドグリ市にある開発団体の被雇用者であるクハレド・クク・マスバルさんは、ウンム・ シルディーバ(Um Sirdeeba)で聞き取り調査に応じ、「ピックアップトラックに乗った兵士の一団が、民間人(文民)でありスーダン人民解放運動(SPLM)のメンバーであることが知られている、リジク・リズグラフ・カチョさんを撃ったのを見た。」と話した。「指揮官が、“SPLMなら、殺せ。”と言ったのを聞いたんです。」 マスバルさんは又、兵士が教会の外でもう1人の男性を射殺しているのを見ているし、“街頭の様々な場所や木の下”で沢山の他の遺体を目撃している。
国家情報安全局(National Intelligence and Security Service: NISS)の機関員、その他治安部隊員及びそれと同盟関係にある民兵は、SPLM支持者と疑った人物のリストを持ち、それを利用して全戸ローラーでの家宅捜索や検問所や街頭での恣意的逮捕を行っている、と目撃者は話している。
目撃者がスーダンの支配政党・国民会議党(National Congress Party:NCP)の支持者と見なす地域住民が、良く知られているSPLMメンバーの所へ民兵を案内したという例も一部にはある。政府治安部隊は又、カドグリ市にある国連ミッション事務所敷地に隣接する、“防御線内”に侵入、そこにいた人々を逮捕、更に同事務所近くで少なくとも2度人々を殺害している。
「ある人がそのリストに私の名前が載ってるって教えてくれたの、それで私はUNMISの所に行こうって決めたのよ。」、と29歳の女性でSPLMメンバーでもあるLKは記憶を辿っていた。6月11日に国連ミッション事務所に逃げ込んだ際、彼女は近くの川で遺体を3つ見、同事務所近くで治安部隊が2人の若者を撃つのも目撃している。
「あの人たち[中央予備警察]、18歳のクハレドと16歳のアムルっていう少年を2人撃って殺したのよ。[副知事でSPLM指導者]アブデラジズ[アル・ヒル]の運転手、サレフっていう人の息子たちだったわ。アイツラ2人の少年をわざと殺したのよ。誰かが少年に狙いをつけていたのも、撃った後の死体も見たんだもの。死体は地面にころがっていたわ。」と彼女は話していた。
国連ミッションのスーダン人職員でもあるFAはもう1人の目撃者だ。6月8日に中央予備警察の車両2台がUNMIS事務所の正門に停まり、国連との契約業者であるニミリ・フィリップさんを殺害した様子を、思い出しながら彼女は以下のように語った。「スーダン武装軍と軍情報部(Military Intelligence)そして民兵が、UNMIS事務所のある敷地内で、みんなを逮捕し始めたのは6月7日でした。フィリップさんを正門から引っ張り出し、門の前で殺そうとしました。沢山の難民女性がなき泣き叫び始めたので、車の中にフィリップさんを連れ込み、そこで殺し、死体を投げ捨てたのです。」
Looting and Destruction of Property, Including Churches
教会を含む財産への略奪や破壊行為
Dozens of witnesses interviewed by Amnesty International and Human Rights Watchreported seeing homes and churches looted and destroyed. “They took the zinc roofs and burned the rest,” said RHA, a 29-year-old woman from Hagar Al Nar who witnessed looting and burning of neighbors’ homes from inside hers.
アムネスティー・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチの聞き取り調査に応じた数十人の目撃者が、民家や教会が略奪され破壊されるのを見たと話している。「あの人たち、トタン屋根を剥して、残りは焼いたの。」、と29歳のハガル・アル・ナル出身女性で、自宅から隣の家が略奪と焼き討ちに遭うのを目撃した、RHAさんは話していた。
Members of the clergy reported that soldiers and militia looted property from four churches and the Sudan Council of Churches in Kadugli and destroyed a church in Um Durein. Martin Boulos, a church leader interviewed in Juba, said that while he was hiding in the Sudan Council of Churches compound, he could see militia and police shooting inside the guest house and looting the office.
兵士と民兵が、カドグリ市内の教会4ヶ所とスーダンキリスト教協議会から物品を略奪し、更にウンム・ デューリーン(Um Durein)にある教会を破壊したと、複数の聖職者が報告している。聞き取り調査に応じたジュバの教会指導者マーチン・ボーロスさんは、スーダンキリスト教協議会の敷地内に隠れていた際、民兵と警察がゲストハウス内で発砲し事務所から略奪していたのが見えた、と話していた。
“They broke all the windows and doors of the guest house, took what they wanted and burned the rest,” another church leader said. “They moved to the office and cathedral and broke many things.”
「ゲストハウスの窓とドア全部を壊し、欲しいものを盗り、残りは焼いたんです。事務所と大聖堂にも行って色々な物を壊しました。」ともう1人の教会指導者は話していた。
The deliberate destruction of religious monuments is a crime under international humanitarian law.
国際人道法の下では宗教建造物への意図的破壊行為は犯罪である。
Sexual Violence
性暴力
Several witnesses also reported rapes by government soldiers. RKA, a 24-year-old woman from a village northeast of Kadugli, said seven SAF soldiers raped her in the bushes near a checkpoint outside of Heiban, as she was making her way home after the conflict broke out in Kadugli.
政府軍兵士によるレイプも、幾人かの目撃者が報告していた。カドグリ市の北東に位置する村出身の24歳女性RKAは、カドグリ市内で紛争が勃発した後、実家に帰ろうとしていた途中、ヘイバン(Heiban)郊外の検問所近くのブッシュ内でスーダン武装軍兵士7名にレイプされた、と話していた。
“They took my camera and my bag with my passport and they took me in the bushes,” she said. After the rape, she fled to Juba and has no news about her son and other family members who were separated from her at the time of attack and are living in an area controlled by the military.
「カメラとパスポートが入っているバックを取り上げられ、ブッシュの中に連れ込まれたの。」レイプされた後、彼女はジュバ(Juba)に逃げたが、襲撃があった時に別れ別れなり現在軍の支配下にある地域で生活している、息子や他の家族の消息は分からないままである。
MBA, a lawyer interviewed in Juba, said that his neighbor and her 16-year-old daughter sought his assistance after soldiers raped the daughter in Kadugli on the third day of fighting there. “The daughter had blood on her legs,” he recalled. “I gave her antibiotic and cleaned her wound with rags and salt.” MBA also said he received a telephone call from a 25-year-old female neighbor who had been raped by three militia men in her home. “She could not move, they had beaten her,” he said.
聞き取り調査に応じたジュバの弁護士MBAは、カドグリ市で戦闘が始まって3日目に同市内で、隣人とその娘が「兵士に16歳の娘がレイプされた」、と助けを求めて来たと話していた。「その娘さんは足に血が付いていました。抗生物質をやってそれからぼろ切れと塩で傷をキレイにしてあげました。」、とMBAは事件を思い起こしていた。MBAはまた、自宅で民兵3人にレイプされた25歳の隣人女性からの電話を受けている。「彼女は動けなかったんです。ヤツラが殴ってましたから。」
Coerced Returns to Kadugli
カドグリ市への強制帰還
Witnesses from Kadugli also said that government officials had attempted to coerce displaced people who had taken refuge with the UN mission to return to Kadugli in the weeks following the outbreak of conflict. On June 20, local authorities reportedly entered the “protective perimeter” adjacent to the camp, where approximately 10,000 displaced people had gathered, and ordered people to return to their homes in Kadugli or to congregate in schools and the Kadugli Stadium. On June 18, the Governor Haroun announced in local media that civil servants should return or else they would not receive their salaries.
カドグリ市出身の目撃者はまた、紛争勃発の後数週間しか経っていないにもかかわらず政府当局者が、国連ミッションに避難して来た難民にカドグリ市への強制帰還を企てた、と話していた。6月20日に地元当局は、国連ミッション基地に隣接する“防御線”内に入り、カドグリ市にある自分たちの家に帰るか或いは、学校かカドグリスタジアムに集まるよう人々に命令した、と伝えられている。6月18日にハロウン知事は地元メディアで、公務員は帰らなければならず、帰らない場合給料は貰えない事になる、と表明した。
The UN Guiding Principles on Internal Displacement emphasize that displaced people have the right to seek safety in any part of the country and the right not to be resettled in any place where life, safety and liberty and/or health would be at risk.
「国のいかなる場所へでも避難する権利」と「生命・安全・自由と健康の両方またはいずれか一方が危険にさらされる場所に、再定住させられる事のない権利」を難民は有している、と国連国内避難に関する指導原則は強調している。
Other Allegations
その他の疑惑
Witnesses including UN staff told the researchers of two mass graves in the Kadugli area – in Tillo and by the valley in the village of Murta. However, the researchers could not confirm these allegations due to lack of access and limited accounts from witnesses. The researchers also received credible reports that anti-vehicle landmines were laid in and around Kadugli and other strategic locations, but could not confirm which forces were responsible.
カドグリ地域にある2ヶ所の集団墓地-チロ(Tillo)とムルタ(Murta)村にある谷の近くにあるーについて、国連職員を含む複数の目撃者が調査員に話していた。しかしながら調査員はそれらの疑惑を確認できなかった。現地への立ち入りが出来なかった事と、目撃者からの証言が僅かしかなかった事が理由である。調査員は又、カドグリ市や戦略的重要地点の中及び周辺に対車両地雷が敷設されているという、信頼できる報告を入手したが、どの陣営の部隊がそれを行ったのかは確認できなかった。