湯河原・福浦港/竹蔵丸 居酒屋「雑魚番屋」の釣魚料理

釣り船の船長が2年前突然居酒屋「雑魚番屋」を始めたそのドタバタ料理修行記

黒ゴマ青砥と大平巣板カラスで研いだ結果は!

2020-03-28 08:24:59 | 日記




写真右は花岡の黒ゴマ青砥で、黒いゴマのような点々が散っているのが見えると思うが、数ある青砥の中でもこれがあると硬質でよく研ぎ下ろす砥石とされている。以前白ゴマが散る青砥を持っていたが、これは軟らかく砥泥がたくさん出るがちっとも刃を下ろしてくれず、人造並の働きも無いので旅に出してしまった。青砥は人造に置き換えれば粒度が1000~5000番ぐらいと幅広く、性質も水を吸う物、全く吸わない物、砥泥が多いもの全く出ないものと色々ある。一般的に割れやすい軟らかい石とされ、カシューなどで側面を補強する必要があると言われるが、私の黒ゴマは硬くてその必要は全くない。青砥はかつて人造1000~3000番ぐらいの役目を主に担っていた中砥石で最も多く産出された天然砥石だと思われる。なので、農具を研ぐようなものから家庭の包丁、程度のいいのは大工の仕上げ砥石、最終仕上げ砥前の傷消し砥石と幅広く使われいたのだろう。今や人造中砥石にとって変わられたが、でも仕上げ前の微細な傷消しは人造と違うようで未だ多くの研師が青砥を使っている。包丁のプロは研ぎ上げた後、長切れを狙って仕上げ砥石に刃を30度以上立てて引き、ごく小さな糸刃を付けるのだが、私はこれが苦手でせっかく付けた鋭い刃をただの切れない包丁にしてしまう。今回の写真もそうで、仕方ないので黒ゴマで糸刃の段差を削りベタ刃に戻し、また大平白巣板カラスできれいに研ぎ上げたところ。以前なら刃の黒幕1000番まで落として糸刃を削っていたところだが、黒ゴマで変わりができるのだから素晴らしい。で、切り刃がどのぐらいになったかチラシの上に乗せてみたら、平の鏡面よりは弱いものの半鏡面以上に文字や写真を映し出した。ちなみに丸尾山白巣板では全く映りませぬ。この包丁、白二鋼の本焼きで平に本焼き独特の波紋が出ているが、初め本刃付けしてあり、切刃全面砥石に当たってると思ってたが、写真のようにしのぎ下にエクボがあり見た目がきれいでない。出荷時に化粧研ぎがしてあったんだね。ただ本焼きの素晴らしい包丁なので、無理に削らずしばらくはこのまま使って行こうと思っている。糸刃の段差を削る黒ゴマ青砥、その見えないほどの傷を美しいまでに研磨し、半鏡面にしてしまう大平の白巣板カラス。これら、ほんとにお宝でとても安く手に出来たが、大平の白巣板カラスは大枚叩かれてもたぶん手放さないだろう。ちなみに黒ゴマ青砥は5500円で買ったが、名のある砥石屋で売られてたら30000円は下らないはず。私は決して手放さないけど、天然砥石は使ってみて初めてその価値が分かるのだ。でも、それには20本ほどの砥石を手にし、2年ぐらい使い比べてみなければならないのかもしれない。この白二鋼本焼き尺柳は5、6分研ぎ上げただけだけど、包丁の重みだけで写真のチラシがスッと切れていく。私には包丁の切れ味はネットでしか知りようがないのだが、最高はティッシュをビリビリでなくスッと切る動画。ま、そう簡単ではないね。




こんなにたくさんの砥石で何をどうする!

2020-03-26 13:09:39 | 日記


今回新たに加わった巣板など整理するため、砥石ラックを作ってみたが、これを眺めながら、う〜ん、なんでこんなに必要なんだろ、と私でも思ってしまうのだ。で、もうこれ以上いらないと思っていたのについ買ってしまった巣板とは砥石の中でどんな位置にあるのか、ちょこっと説明してみようと思う。天然砥石の巣板は一般的に仕上げ砥の合砥より軟らかく粒度も6000〜7000番程度とされている。でも、専門家が言うには天然砥石の7000〜10000番の粒子が研ぐうちに次第に小さくなり最終的に12000番ぐらいの性能を出すようになるそうだ。しかも同じ番数の人造砥石より傷が浅く、人造には全く真似のできない仕上がりになるようだ。また、天然砥石で研ぐと錆びずらく人造なら1,5倍の粒度にしなければ同等にならないと言われている。

刃物研ぎはまず番数の低い中砥石で形を整え、その傷を番数の高い中砥石「青砥」で小さく慣らし、残った傷を完全に消す役目を「巣板砥」が担当する。私の場合、人造砥石「刃の黒幕」1000番で小さな刃欠けを直したり、砥石の当たらないエクボを削ったりと成形し、次に青砥でその傷を消す。私の黒ゴマ青砥は硬く締まっていて人造砥石1000番の傷が肉眼で見えないぐらいにしてしまう(右から3番目の上が欠けてるヤツ)。こいつは水を吸わず砥泥もすぐ出ないし粒度はたぶん4000〜5000番で、もう仕上げ砥レベルだが研削力が強くよく研ぎ下ろし、刃欠けが無ければまずこれから研ぎ始めることも多い。普通の研ぎならこの2本で充分だろうが、ただこの黒ゴマの青砥はダイヤモンド砥石で擦って砥汁を出すか名倉を当てる必要があるから一般的ではないかもしれない。

で、次に巣板にいくのだが、一般的な青砥ではまだ傷が残っていて、それを完全に消すための使用となる。写真では左から4列目の白っぽい小さな変形したやつで、丸尾山の「白巣板」。これは水に濡らして研ぎ始めるとすぐに砥泥が出て滑らかな研ぎ心地でよく下ろし中砥石の傷をきれいに消してくれる。地金と鋼を合わせた霞包丁だと、地金が美しく霞みよく切れる刃が付くのだ。丸尾山の白巣板は他の多くの山の巣板と比較して最も安定した性能を有していると言われている。もうここまでで充分で、早く終わらせたい時はこれで止めることもあるけど、刃物好き包丁好きは次に「最終仕上げ研ぎ」、「超最終仕上げ研ぎ」と続くのだ。ただ、私の場合、黒ゴマ青砥で傷がほとんど消えるものだから、白巣板を飛ばし、「合いさ」や「大上」「天井戸前いきむらさき」あたりの最終仕上げに行ってしまうこともある。まあ、最後の二つは研ぎでは無く磨きと刃付けの鋭さの追求であり、超最終仕上げ砥はより硬く目の細かい砥石で鏡面を狙うのだ。これは一般的にカミソリ砥と言われるものである。巣板は最終仕上げ砥より研削力があり、形も整えつつより傷を小さくし、より緻密な最終仕上げ砥石へつないで行く。なので研削力があり研磨力もあるのが巣板の理想である。私は初めて手にしたのがたまたま丸尾山の白巣板で、その性能に感動して使っていたが、奥殿の巣板の中に硬質で研削力のすごいのがあることを知り、手に入れたのが左端の木の台座に乗せたコッパで、噂通り以上の性能だった。まだ使いこなしてないけど、包丁に食い付くような刃当たりで強く研ぎ下ろし、砥泥がよく出て、切り刃が鏡面のようになる。これ自体で超最終仕上げ砥石のような。ただ、酸性が強く研いだ後地金に錆が浮くから、しっかり洗い後でチェックしないといけないのが難。なのでこの奥殿は巣板の役目より仕上げ砥として使う場合が多く、丸尾山で新たに発掘され始めた白巣板より研削力の強い「青巣板」を手に入れたいと思っていた。そんな時砥石好きに特に評判の良い大平山の巣板を知った。これは研削力が強力で、なおかつ研磨力も相当なもののようだった。でも、市販品はもちろん無く、どんな物だろうなと思っていたところ、ヤフオクに気になる一品が載ってしまった。目があってしまった、というべきか。青巣板はこれからも産出されるが、大平山の巣板はネットで出合うしかないのだ。で、手に入れたのが写真右から4番目の白っぽい中に黒が浮いた縦205mm、幅75mm、厚み33mm、重さ1291gの立派なもの。ただ、大平山の巣板はほとんどが蓮華と呼ばれるまだら模様のものだが、これはかなり硬い綺目の細かい砥石で蓮華がない白巣板である。しかも黒いカラス模様が浮いている珍しいものだった。ネットでいくら探してもカラスの浮いた白巣板はヒットしなかった。これはサクサクと研ぎ味よく強力に下ろし、丸尾山よりかなり強めで、綺目の細かさも同等以上かもしれない。丸尾山の地金は美しく曇るけど、こちらは明るく光り(?)鋼は鏡面になる。これも超最終仕上げ砥石に分類できそうだが、まあ最高の巣板の一つと言えるのではないだろうか。砥石屋さんの話によれば大平の巣板は大工さんに好まれたが、その中でも滅多に出ない蓮華の無い白巣板を見たらすぐ持っていってしまったと言っている。巣板はあと中山、神前、新田などが有名だが、私はこの大平の白巣板カラスがあれば、多様な鋼にも合いそうだし、当分他の巣板が欲しくなることはなさそうに思っている。毎日刃物を研ぎしかも繊細な刃付けが必要な人にとってこんな巣板が一本あればこれを当てるだけでこと済むのだから、優秀な巣板は喉から手が出るほど欲しいものだったのだろう。ちなみに硬い超最終仕上げ砥石では鋼や地金を磨くことはできてもほとんど削れないだ。




寿司の回数が増えそうなので煮切り醤油を作ってみた

2020-03-05 21:32:43 | 日記

左からイシダイ、ヤリイカ、スズキの昆布じめ。定置網の若い衆が昨日持ち込んだ残り。

ここのところ魚がやたら多いのでサービス品の寿司を連続で握っているが、いつも普通の市販醤油に付けて食べているのが気になっていた。以前から刺身や寿司の醤油は普通のとは違うよね〜っと何度か煮切り醤油らしきものを作ったことはあったが、けど、煮切り醤油がどんなものかちっとも分かってないのだ。今回、改めて有名店のレシピを参考にし、その中でも特別な存在、数寄屋橋次郎の物真似をしてみることにした。レシピは醤油7、酒3、みりんを少量風味付けにし、これを7割まで煮詰めるというもの。で、自分流にアレンジし、市販のたまり醤油70ml、酒30ml、みりん10mlぐらいを鍋に入れて煮詰めてみた。で、ちょっと煮詰めすぎ、半分の50mlぐらいになってしまったが、味見すると苦味もなくなんだかまったりと甘くいい感じ。とりあえずこれを握りに塗ってみたらなかなかいける。握りは両サイドがイシダイで次がヤリイカ、真ん中がスズキの昆布締め。昨日港の定置網の若い漁師3人が多量に魚を持ち込んできて、それを鍋にしたりフライにしたりしたが、それでも1/3以下しか使わず、多くが残っていて、これもその一部。今日は休みで包丁研ぎや握りの練習をし、20貫ぐらい握ったか。ま、そぎ切りのネタの形がなかなか定まらず、包丁の当て方、筋目の方向など試行錯誤しているところ。包丁の切れ味は素晴らしいけど、腕だね、やっぱ!



昨日は寿司を握り、ヤリイカを鹿の子作りに

2020-02-27 09:28:25 | 日記

身が厚いイカは格子状に切れ目を入れ(鹿の子作り)柔らかく食べやすくするが、これが案外難しい。

ここ連日のようにシメサバを作っているが、4、5日で廃棄処分に。でもこれから2本作るときは1本を棒鮨にしよう。


ここ何日か連日のようにシメサバを作っているし、ヤリイカの新しいのもあるし、お通しに寿司を握ったりサバの棒鮨を作ってみようと思った。居酒屋へ入って席に着くなり寿司が出たら驚くだろうが、ま、寿司が嫌いな人は少ないだろうし、寿司の練習にもなるしで、これからドンドンやっていこうとやってみて思った。これまで雑魚番屋で寿司を作るのをためらっていたのは、握りだと寿司飯が1合ぐらいしか必要ないこと。以前は土鍋で1合炊いてたけど、店では面倒だし、圧力鍋だと2合ぐらい炊かないと効率が悪い。でもサバの棒鮨を作れば無駄が出ないではないか、それにやっと気づいた。

でもね、昨日はなんとお客さんゼロ。3日前は17人でその前も10人前後が続いていたのになんなんだろ。で、暇なもんだから気になっていた本焼き柳刃の刃角を修正したり、寿司の練習をしたのだが、ヤリイカがオスのパラソル(大型が傘のようでそう呼ぶ)で身が厚く、そのまま食べたらコリコリ硬い。なので、包丁を細かく格子状に当て歯あたりを柔らかくするのだが、これが案外難しいのだ。これまで何度かやっているが、力が入り過ぎるとすぐ千切れてしまう。今回は重い尺の本焼きでなく9寸青2号を使ってチョンチョンとやったら、一回失敗したものの、あとはなんとか写真ぐらいにはなった。ただこれはもう少し深く刃を入れた方がいい。真ん中のサバは最初の皮目で、これにも包丁を入れてみた。下は色が悪いが、ホントはもっとキレイ。寿司は白身だけだとつまらないが、サバがあるといいね。棒鮨も観音開きにして巻いたが、包丁さばきの技術をもっと高めねば。包丁の切れ味だけは一流の料理人並みなんだけど。あっ、そうそう、ヤリイカは竹蔵丸の隣の船が夜釣りに出て釣ってきたのを分けてもらったもの。




シメサバを造ってみた。

2020-02-25 17:00:11 | 日記








ここのところ真鶴沖で大サバが釣れているので、昨日のキンメのお客さんのついでにちょこっとこませ釣りを挟んで、サバ2本とトゴットメバルを釣り、シメサバを作った。だけど、釣り上げてすぐ頭と内臓を取り、クーラーボックスへ入れたのに、身が海水に浸かったためか、少しゆるくなってしまった。これまであまり意識してこなかったけど、内臓を出したものは別にビニール袋などに収納しなきゃならないのだろ。包丁の切り口は鋭いけど、角が少し崩れ気味。それと、根がケッチいのでシメサバの尻の部分を捨てられず、つい皿に盛ってしまい、それも美しさを損なっている。次はそのあたりに気をつけて作ってみよう。並びもちょっと雑なのにこれで500円もいただいてしまいました。

お客さんに出す前にちょこっと撮影させてもらったが、親しい人のみお願いして、これからちょくちょくこんな写真を載せていこうと思っている。
キンメは一部で他にメダイなど。金目の煮付けは大きさで1200〜1500円。