時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

松島や ああ松島や 松島や

2023年06月26日 | 旅のつれづれ

多摩爺の「旅のつれづれ(その23)」
松島や ああ松島や 松島や(宮城県松島町)

今春、68歳でリタイアして、年金生活に入った義妹の夫を慰労するために、
大阪から上京してきた義妹夫婦とともに・・・ 三泊四日で東北への旅行に出かけた。

旅行の目的地と宿泊ホテルは、総て女房と義妹で決めたものの、
目的地へ向かう運転と順路、さらにはホテルの手配は・・・ 総て私が受け持たされていた。

梅雨時だけに、天気だけが気がかりだったが、
女房たち晴れ女姉妹に、どれだけのパワーがあったかどうかは分からないが、
天候に恵まれ、楽しい思い出を作ることが出来たので・・・ ボチボチ振り返ってみたい。

旅行地は、いま話題になってる盛岡を中心に、平泉(中尊寺・毛越寺)や、遠野、三陸地方が良いと、
私は提案したんだが、女房たち姉妹にはすでに目的地があり・・・ あえなく却下され、
松島、奥入瀬、八幡平、蔵王などの、海と山と川をゆっくり時間をかけて巡る、
自然散策を満喫するコースになってしまった。

女房たち姉妹は、山口県の山村に生まれ育ったが、
東京や大阪に長く住んでいると・・・ やはり、自然が恋しいのだろう。
分からん気がしないでもないが、歴史的な建造物にも少し興味を持って欲しかった。

初日の目的地と宿泊地の設定は、「松島や ああ松島や 松島や」の俳句で有名な、
日本三景(松島・天橋立・宮島)の一つでもある、陸前(宮城県)の景勝地「松島」である。
早朝の3時に北多摩を出発してから、途中のサービスエリアで休憩と朝食を取り、
約7時間後の・・・ 10時前に松島に到着した。

まずは、11時の観光船を予約してから・・・ 乗船場に近い、五大堂を散策したんだが、
ここで一つ、気になることがあった。
それは、法華経のお題目である「妙法蓮華経」の石碑があったことである。

伊達家の菩提寺でもある、五大堂近くの「瑞巌寺」は、天台宗から臨済宗に改宗したお寺であって、
五大堂も・・・ 正宗が再建したと云われているが、
法華経を教義とした天台宗の「妙法蓮華経」の石碑があるのは、なぜなんだろうか?
拘るつもりはないが・・・ ちょっと気になっていた。

あえてもう一つ、伊達家に拘るとすれば、午後から円通院と瑞巌寺を見学したんだが、
伊達家の菩提寺でもある瑞巌寺本堂の一番奥に鎮座していたのは、
鎧兜に身を包んだ、毎度お馴染み姿の・・・ 政宗公の木像だった。

瑞巌寺の創建は1609年らしいので、関ヶ原の合戦と大阪の陣の間に当たるが、
時代はすでに、徳川幕府による太平の世に入っており、
ここ瑞巌寺に陣を張って、ここから戦に向かったわけでもないのに、
甲冑姿の木像には・・・ 少し違和感を覚えてしまった。

受付のオネエチャンに尋ねてみたら・・・ 政宗公のイメージですからと即答だったが
個人的な主観になって申し訳ないが、菩提寺に甲冑姿は似合わない。
思うに・・・ 菩提寺として、自らが建立した寺院であるなら、
勇ましさよりも、穏やかさを優先して欲しいと願いたいが・・・ 如何なものだろうか?

女房にそのことを話すと「せっかく楽しい旅行してるのに、
小難しいことを言って、人を悩ますもんじゃないの!」と・・・ ピシャリである。
「いやぁぁ・・・ まいった。」その通りである。

自分の疑問は、自分で調べれば良いだけであり、人を悩ましてはいけない。
ただ・・・ オネエチャンは即答していて、悩むような顔つきには見えなかったが、
しつこいと、また言い返されるので、このことは、これでお終いにする。

話しが前後してしまったが、松島の観光船は約50分コースで1,000円、
船尾のデッキに出ることが出来る2階席には、船内で600円追加料金が必要と案内された。

一緒にチケットを売ってくれれば良いと・・・ 思いもするが、
船内の2階席に向かう階段に、ゲートを設けないと、
前の客に続いて、流れで2階に向かう客が後を絶たないからだろうか?

方法としてはアナログで、時間は掛かるが、
トラブル回避には・・・ たぶん、これしかないのだろう。

それにつけても、晴れ女二人のパワーは凄い。
雲一つない晴天に、波一つ立ってない・・・ いわゆるベタ凪
船内放送では、右手の島はなになに、左手の島はなになにと説明してくれるが、
デッキに出て潮風に吹かれ、時折飛んでくるカモメを眺めながら、静かに感慨に耽っていた。

乗船前の観光船のチケット売り場の隣には、
東日本大震災のとき、ここまで津波が来たという印があったが、
その高さは、私の背丈より高かったので、たぶん2メートルぐらいだろうか?

テレビで見た津波の残像が、あまりにも強烈だったので・・・ 「えっ?」と驚いたが、
瑞巌寺や円通院に向かう参道は、どうみても被害があったように見えなかったので、
ひょっとして、考えられるとすれば・・・ いま目の前にある小さな島々が、
テトラポット(波消しブロック)の代役で、陸地寸前で勢いを分散させてくれたのではなかろうか?

間違ってたらゴメンだが、
そう捉えれば、なんか納得できるので・・・ たぶん、そうじゃなかろうか?


また、松島といえば・・・ 松尾芭蕉が詠んだとの言い伝えがある、
「松島や ああ松島や 松島や」の俳句が、脳ミソにこれでもかというぐらいすり込まれているが、
調べてみたら、芭蕉は松島の絶景に圧倒されたものの、あまりの美しさに言葉が浮かんでこず、
そのような俳句を詠んだ記録がないというから・・・ これまた驚きを隠せない。

近年では、江戸後期の狂歌人・田原坊(たわらぼう)が詠んだ
「松嶋や さてまつしまや 松嶋や」の句を、
日本三景の「松島」をPRするためのキャッチコピーとして引用し、
「さて」を「ああ」に置き換えて、芭蕉の句としたという説が・・・ どうやら真相らしいのだ。

まっ、真実がどこにあろうと、ここまで定着すれば、それはそれで良いと思うし、
いまさらだが、季語がないだけじゃなく、比喩もないし、俳句らしくない俳句だと思うが、
俳句の世界には・・・ 山頭火のように、
季語や文字数に拘らない、自由な俳句もあることから・・・ 拘る必要はないだろう。

そんなこんなで・・・ 東北旅行の初日(松島観光)は終わった。
お昼に食べた「牛タン」と、渇いた喉を潤してくれた「ずんだシェイク」の話しは、
後日改めて書かせてもらうこととして、旅行記の第一弾は、取りあえずここで締めさせてもらいたい。

[東北旅行の初日(松島)を総括したら・・・ こんなもんかな?]

 観光地・松島       ☆☆☆☆  ・もう少し島に近寄ってほしかった。
 〃   五大堂      ☆☆☆   ・石碑の疑問がちょっと気にかかる。
 〃   瑞巌寺      ☆☆☆☆  ・政宗公の甲冑姿(木像)にちょっと不満
 〃   円通院      ☆☆☆☆☆ ・詫び寂びの雰囲気が琴線に触れた。
 〃   福浦島      ☆☆☆   ・朱塗りの橋は良いが、木造じゃないのが残念

 昼メシ(牛タン)     ☆☆☆☆☆ ・美味い! 期待を裏切らないしランチビールもサイコー
 おやつ(ずんだシェイク) ☆☆☆☆☆ ・喉チンコにまとわりつく、ねっとり感が
堪らん!
 ホテルの雰囲気(松島)  ☆☆☆☆☆ ・松島が一望できる良い部屋だった。
 〃   夕食  〃    ☆☆☆☆☆ ・地元の食材が美味すぎる。
 〃   お湯  〃    ☆☆☆☆☆ ・山口の俵山、会津の東山に似たお湯で私好みの大満足

追伸
どうでも良いことだが、今回の旅行で松島を見物できたことで、
ささやかな夢の一つでもあった、日本三景を完全制覇することができた。
ホントにどうでも良いことだが・・・ ちょっと嬉しいかも?

「日本三景・陸前(宮城県)の松島」、松島湾に浮かぶ島々の数は全部で260ぐらいあるらしい。

「日本三景・安芸(広島県)の宮島」、古い写真で恐縮だが、大鳥居は改修前の古いものである。

「日本三景・丹後(京都府)の天橋立」、写真スポットの隣では名物「股のぞき」ができる。


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10 コメント

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Unknown (水仙)
2023-06-26 05:54:03
よい旅ができたようでよろしゅうございましたね。

私達は震災の前年の2010年にまいりましたが、やはり訪れた松島のことが気になり、調べてみますと、多摩爺さんのお書きのように、

>前にある小さな島々が、
テトラポット(波よけ)の代役を果たし、陸地の寸前で津波の勢いを分散させてくれたんだと思う。

だったようでしたね。

ですから、松島より奥松島のほうの被害のほうが大きかったと聞いたような記憶がございます。

それでは旅の続きを楽しみに待たせていただきます。
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Unknown (naotomo3451)
2023-06-26 05:55:04
おはようございます!
ご無事のご帰還に何よりでございます。
日本三景訪問コンプリートおめでとうございます。兄弟仲良く楽しく旅行され、素晴らし事と思います。お疲れが出ませんように、また旅行記楽しみにしています。
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Unknown (keiko(けいこ))
2023-06-26 06:05:39
おはようございます。
そして おかえりなさいませ。

皆さま同様 旅行記楽しみに😊しております。
よろしくお願いします。
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Unknown (多摩爺)
2023-06-26 06:18:41
水仙さん、おはようございます。

最終日の午後から雨になりましたが、すでに東北自動車道を走ってたので、旅先はホントに晴天に恵まれました。
ボチボチになりますが振り返ってみたいと思います。
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Unknown (多摩爺)
2023-06-26 06:23:39
なおともさん、おはようございます。

日本三景に全部行けるなんて、絶対無理だと思ってましたが、
偶然とはいえ、叶うもんなんですね。
それにしても、4日かけて往復1400キロですから、かなり疲れました。
疲れと相談しながら、振り返ってみたいと思います。
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Unknown (多摩爺)
2023-06-26 06:29:01
けいこさん、おはようございます。

帰京して3日間は、パソコンを開く元気もありませんでしたが、
なんとか元気になりましたので、今朝から復活です。

東北旅行の2日目は奥入瀬、3日目は八幡平、4日目は蔵王です。
私は平泉とか遠野に行きたかったのですが、権限は女房と義妹にあり・・・ ちょっと残念でした。
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おはようございます (けんすけ)
2023-06-26 07:35:52
僕の住む地域に来られたのですね
不快な思いでなくて良かったと思いますが・・
芭蕉の句と言われておりますが
(本当の事は分かりませんが)芭蕉は松島を訪れていなく芭蕉の弟子が後に訪れ芭蕉だったらこう詠んだろうと言われております。
それも真実かわかりませんがね

いつもご訪問有難うございます。
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Unknown (多摩爺)
2023-06-26 08:06:57
けんすけさん、おはようございます。

不快なんて滅相もありません。
個人的には仙台市内の観光もしたかったのですが、
今回の旅行は女房と義妹の企画で、自然をゆっくり楽しむスロートラベルだそうで、私の希望は却下されました。
仙台は素敵な町なので、機会があればまた行きたいなと思っています。

けんすけさんの体調はいかがですか?
無理をされず、ご自愛願います。
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Unknown (kazukomtng)
2023-06-26 16:44:53
運転、よく頑張りましたね。
なるほど、では、くちこも、昨年東北周遊で松島にも駆け足ながらも寄ったので、日本三景を制覇だわ。
瑞巌寺は、またゆっくり行きたいです。

で、
下関時代、
多分中学生の時に関門橋が開通。
高台に住んでいたので、日々工事の進捗がよく見えていました。
そして、両親は、渡り初めに選ばれて、歩いて門司に渡りましたよ。
あれから半世紀なんですねえ。
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Unknown (多摩爺)
2023-06-26 18:40:12
くちこさん、こんにちは

疲れましたが、楽しい思い出がたくさんできました。
関門橋の渡り初めとは、うらやましいですね。
関門トンネルは、小学校の遠足で和布刈まで歩きましたが、
関門橋を歩いた人がいたことは知りませんでした。
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