多摩爺の「時のつれづれ(師走の57)」
意地を張り合うだけの熟議 (企業・団体献金の議論)
補正予算と、政治資金規正法の再改定をメインに、11月28日に招集された臨時国会だが、
12月21日の会期末に向けて・・・ 残すところ1週間になった。
補正予算については、成立する段取りで進んでいるようだが、
一方で政治資金規正法の再改正については、与野党から9本もの関連法案が出されていて、
熟議と言って良いのかどうか分からないが、白熱した議論にはなってるものの、
成立に向けての見通しは、残念ながら見えていない。
補正予算の衆院通過にあたっては、政権与党が野党に秋波を送った感もあるが、
実のところは103万円の壁で「対決より解決」を進め、1本取った国民民主の評価を意識して、
教育の無償化で維新、能登地震への予備費の追加支出で立憲がすり寄り、実績作りをやった感もあり、
ホントに政権与党からの秋波であったかどうかについて・・・ 実はハッキリしていない。
争点となっているのは、企業・団体献金に対する扱いで・・・ 認めるべきとする政権与党と、
政治団体を除き、企業・団体献金は廃止とすべきとする野党第一党に、
政治団体を含めて、企業・団体献金は全面的に廃止にすべきとする野党が三すくみとなり、
与野党の議論に加えて、野党が野党に問う場面もあって、落としどころを探る気配が見えてこない。
興味深かったのは、企業・団体献金を認めるべきとして、答弁に立った総理が、
憲法21条で保障されている・・・ 「表現の自由」を引き合いにだして、
禁止とするなら、憲法21条との関連を法律学上、議論されなければならないと応じたことだろう。
憲法上の問題があるとすれば、憲法改正の議論が一歩でも前に進むことから、
それはそれで良いことかも・・・ なんて思いもするが、
一方でそれは、憲法改正の引鉄になりかねないこともあって、
憲法論議に後ろ向きな野党が、そういった誘いに乗ってくることはないだろう。
一方で政治団体からの献金を除くとする野党第一党は「抜け道になるのではないか?」との問いに、
企業・団体献金は、企業であったり組織化された団体が拠出する纏まったおカネだが、
政治団体からの献金は、個人が自主的に政治団体に拠出したおカネを集めたものなので、
個人献金の延長線上にあるとして・・・ なんら問題ないと応じていた。
気持ちは分からんでもないが・・・ 云っちゃ悪いが、これはどう見ても屁理屈である。
高額な献金をしている政治団体の多くは、労働組合内にあり、
否応なしに徴収される「政治闘争基金」と称されるおカネのことを指している。
私が組合員だった20代、30代には、組合費は毎月給与から天引きされていたし、
「政治闘争基金」は、拒否しなければ自動的に賞与から天引きされていて、
拒否する場合は、支持政党を明記した書類の提出が求められ、
組合に目を付けられるのが嫌だから・・・ 渋々納得せざる得なかった。
いま、それがどうなってるのかは分からないが、
思想信条に関する、ハラスメントまがいのことは普通にあり、
自主的に拠出していたというのは・・・ 私の経験では、方便以外のなにものでもない。
政治活動の大半が、ネット環境を利用したものに移行すれば、話しは別だが、
地方の広範な選挙区で、複数の事務所を持って、真面目に小まめに政治活動を行おうとすれば、
人件費に加えて、事務所に関連する経費や、慶弔電報など・・・ おカネが掛かるのは必然であって、
政治におカネを掛けないというのは、体裁の良い理想論に過ぎないと思っている。
ある為政者に一度聞いたところによると・・・ ホントかどうかは分からないが、
企業・団体献金が必要なのではなく、選挙区内の事務所を維持するために纏まったおカネが必要で、
その纏まったおカネを・・・ 手っ取り早く、確実に調達しようとすれば、
それが企業・団体献金であり、パーティー券の販売収入であると、捉えてほしいとのことだった。
とはいうものの・・・ 政治に必要以上のおカネを掛けないことには、もちろん大賛成である。
どんなに綺麗な清流でも、澱みが出来ると、そこから濁ってくるのは、自然の法則であって、
濁らせないためには、定期的に澱みをチェックし、ゴミを取り除くしかないだろう。
そういった視点で捉えて、落としどころを探らないまま、
企業・団体献金について、視点が違う噛み合わない議論を、意地になって延々と続けるのは、
不毛とまでは言わないものの・・・ このまま時間切れになったら、
国民に向けて、どんな形で落とし前をつけるのだろうか?
であるならば・・・ 国会議員から地方議員に至るまで、
政治に関わる、ありとあらゆるおカネの出入りの透明化を、
最優先で法制化すれば良いと思ってるし、
それだったら、与野党ともに異論はないと思うが・・・ 如何なものだろうか?
さらに、できれば第三者機関が良いと思うが、政党がお抱えの公認会計士でも構わないので、
年に一度、議員と政党が会計監査を受け、議会に報告することを、法律に一行添えることができれば、
いま問題視されてる闇の部分は晴れるし、透明化されてるんだから、だれもが閲覧できるし、
公認会計士が、どこの誰かまで分かるんだから、いい加減な監査で署名することもできないだろう。
兎にも角にも、臨時国会は会期延長がなければ・・・ 残すところ、あと1週間である。
補正予算はさておき、政治資金規正法の再改正においては、企業・団体献金をどうするかよりも、
透明化と監査の実施を最優先すべきであって、そちらの法案の議論を進めていただきたいし、
異論がないのであれば・・・ 一刻も早く決を採っていただきたいと願ってやまない。
政治とカネの問題を掲げて総選挙を戦い、議席を増やした野党第一党が、
企業・団体献金の問題について、いまさら引き下がれないことは理解できるものの、
落としどころを見いだそうとしないまま、
意地を張り合うだけの熟議になってないだろうか?
政治資金規正法の一丁目一番地は、なにはさておいても出入りの透明化である。
会期末まで・・・ 残すところ1週間、今国会では結論に辿りつかないまま、次の国会に繰り越し、
再び熟議という都合の良い言葉のもとで、延々と議論を続けるつもりなんだろうか?
プライオリティだけは、間違えないでいただきたいと願うが・・・ 如何なものだろうか?
タラタラと能書きを垂れたが、本文はあくまでも個人的な思いであって、
コメントを頂戴しても、議論するつもりはないので、ご理解をいただければありがたい。