時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

戦禍を憂い、災禍に慄く。

2024年01月05日 | 時のつれづれ・睦月 

多摩爺の「時のつれづれ(睦月の41)」
戦禍を憂い、災禍に慄く。

この世には・・・ 戦禍と災禍という2種類の禍(災い)がある。
人々を不幸に陥れることと、語呂は似てるが・・・ その実は似て非なるもので、
戦禍とは、人間が意図して引き起こした人災だが、
災禍とは、天災や事故によってもたらされた、思いがけない災難を意味している。

能登半島地震に続いて、羽田空港での悲劇的な事故があり、
正月早々から、こんなことを綴るのも・・・ いささか難儀なことだが、
世界に目を向けると、いまこの時も戦火の渦中にあって、
生死の狭間で生活している人々が数多いて、そういった人々にカメラを向ける報道関係者がいる。

ここんところ、そういった報道が少なくなったものだから、
ニュースで、突然そういった画面に切り替わっても、
感度が鈍くなっていて・・・ なんだか恥ずかしくもある。

戦争ほど、残酷なものはない。
戦争ほど、悲惨なものはない。
だがその戦争は・・・ まだ続いている。

ロシアの侵略しかり、テロリストの殺戮しかり、イスラエルの過剰防衛しかり、
ひと言でいうなら・・・ 狂ってる。
命令に逆らえないとはいえ、人を殺しても構わないという正義はないはずだ。

先の大戦から約80年の時を経て、21世紀になってからは、すでに20年超を経たというのに、
いまこの時も戦火に喘ぐ国や地域があって、リアルな情報として日々報道されるなか、
慣れたという表現は適切ではないが、最近では違和感を持つこともなく、
聞き流しながら、チラ見している自分に・・・ なんだかなぁと思っている。

理不尽極まりないロシアからの侵略に、西側諸国の援助を受け、専守防衛に徹しながら、
失った領土の奪還を目指す、ウクライナの反撃しかり、
突然仕掛けられたテロ事件で、多くの自国民が犠牲となり、人質に捕られたことに端を発し、
テロリストの壊滅と人質の奪還に、多くの民間人を巻き添えにしたイスラエルの反撃しかりである。

どちらの国も、自ら先に仕掛けた攻撃ではなく・・・ いわゆる防衛であり、反撃なんだが、
いまこのタイミングで、国際社会が認めたことは、
ウクライナは専守防衛であり、イスラエルは過剰防衛ということだった。

そして・・・ 専守防衛に徹したウクライナは、
西側諸国からの武器や弾薬の支援を含め、国際社会から多くの支持を得たが、
一方で・・・ 過剰防衛を展開したイスラエルは、
歴史的な背景と、自国民の人質奪還を踏まえ、西側諸国の為政者は一定の理解を表明したものの、
多くの民間人を巻き添えにしたことから、国際社会からは批判と非難の集中砲火が飛び交っている。

確かに、イスラエルは・・・ やり過ぎたと思うし、
多くの民間人を犠牲にした反撃は、だれがなんと言おうと過剰防衛であり、
国際社会からの批判と非難は、絶対に間違ってないと思うが、
お隣の大陸の常套句を拝借すれば・・・ 屁理屈の極みだが、内政干渉だと云えないこともない。

引き合いにすることではないかもしれないが、
いまのところ戦火は上がってないものの、
お隣の大陸は、いまこの時も、隣国に向けて過剰ともいえる圧力を掛け続けながら、
領土、領海の主張をし続け、時の経過という実績を積み重ねている。

そんな大陸の軍事圧力を目の当たりにして、国際社会からは咎める声があるものの、
この国の最前線にある知事は、見て見ぬふりの姿勢を崩すことなく、
悲しいかな・・・ 具体的な抗議行動を起こさないまま、今日の状況に至っている。

もしも・・・ ロシア軍の攻撃に耐えかねたウクライナ軍が、戦況を打開するため、
ロシア軍の兵站を絶つことを目的に、ロシア国内の最前線にある基地に攻撃をしかけ、
民間人に犠牲者が出たら、国際社会はどういった反応をするのだろうか?

この期に及んで、ロシアの侵略を支持する声に変ることはないと思うものの、
民間人の犠牲者が2桁から3桁、そして4桁、5桁、6桁に増えてくると、
国際社会の声は、なにが始まりだったかよりも、いまがどうなのかという論調に変わってしまい、
非難の矛先が一変する可能性があることを・・・ いま、イスラエルが教えてくれている。

極論すれば、専守防衛では敵基地への攻撃は認められるはずだが、
情報が動画によって、あっという間に世界を駆け巡ってしまうネットの社会では、
あるタイミングを過ぎると・・・ オセロゲームのように、
白が黒になる、いや白を黒にしてしまう可能性があり、昨日まで正義の戦いをしていたはずなのに、
今日になると、無慈悲な殺戮を行ったと、不本意なレッテルを貼られてしまうのである。

イスラエルを擁護するつもりなど、サラサラないし、
過剰防衛によって亡くなった人々の命が・・・ あまりに軽すぎるとは思うものの、
テロリストの殺戮に反応して、反撃したことまですり替えられちゃ、
被害者は堪ったもんじゃないだろう。

一方でウクライナに学んで、専守防衛に徹して、敵基地攻撃能力を持たないという選択は、
民間人の犠牲者を含め、国土が破壊され、廃墟と化すことを、
予め覚悟しているということになるが・・・ それで良いんだろうか?

国と国の主張に食い違いがあったとき、話し合いで解決できるなら、それに越したことはないが、
こちら側に争い事を起こすつもりはなくても、
相手が話せば分かる国でなければ、その後どうなるかは相手次第であり、
暴発の引鉄は、常に相手の指先にあるということを、肝に命じておかねばならない。

よって、右だ、左だとのイデオロギーで防衛論議をするのは、全くもって的外れであって、
右であっても、左であっても・・・ 防衛に関してだけは、濃淡があってはならないと思うし、
外交(話し合い)に最善を尽くすのは、当たり前のど真ん中なんだが、
最悪を想定しない、お花畑論だけは・・・ 国を滅ぼすと云っても過言じゃないだろう。

政治は現実主義だというものの、変えて良いものと、変えちゃ拙いものがある。
そういった視点で捉えるなら、
防衛問題に関する基本的な考え方は、例え政権交代があったとしても、
変えちゃ拙いと思うが・・・ 如何なものだろうか?

それにつけても・・・ この星に暮らす全ての人々が、普通の生活を営む社会において、
正義とは、いったいなんなんだろうか?

国として、組織として、さまざまな考え方があることまで、否定するものではないが、
目の前にいる一人の人を、幸せに出来ないどころか、
銃を突きつけ、爆弾を落とし、不幸に陥れるような正義など・・・ あって良いわけがない。

ロシアの侵略しかり、テロリストの殺戮しかり、イスラエルの過剰防衛しかり、
バカヤローの極みであり・・・ 狂ってると言わざる得ない。
よって、彼らがいくら正義を口にしても、
心に響かないし、ちゃんちゃらおかしい戯言にしか聞こえてこない。

災禍であろうと、戦禍であろうと・・・ 失うものは人の命であり、人が築いた財産である。
災禍(天災や事故)のときは、人の命を第一に考えてる為政者が、
戦禍(人災)となると、人の命は致し方ないのひと言で軽く扱っている。
それって、絶対に間違ってると思うが・・・ 如何なものだろうか?

いまこの国では、政治と金の問題などで、野党やメディアから集中砲火を浴びせられながらも、
被災された一人の人を、瓦礫のなかから探しだして助けるよう、
支援物資の手配と配送に抜かりがないよう、
頼りないながらも、様々な方面に最善の手を尽くすように指示を出す司令塔がある。

東日本大震災のとき、福島原発に出向き、切羽詰まった現場に対応を求めたトップがいた。
いま、能登の原発に電話し、状況の詳細を発信せよと指示した、政権に批判的な元官僚がいるらしい。
また、現地の迷惑を顧みず、ボランティアと物資の輸送を訴え、現地入りした地方議員もいるらしい。

こんなとき・・・ 国民はどう動くべきなのか? 為政者はなにをするべきなのか?
ネット社会になって、約20年という時を経たいま、
事態を俯瞰する視点を怠り、事態の進展を正面から見極める視点を忘れてしまい、
売名に走り、実利を稼ごうとする、ふとどきな輩が増えてきている。

自衛隊の派遣規模が小さく、動員も五月雨だと批判の声が上がっているが、
年始だという特殊事情もあるだろうし、被災地が半島の突端にあるという特殊事情もある。
そのうえで道路が寸断されていて、警察、消防、自治体、報道の車が多数あるなか、
自衛隊の重機投入となれば・・・ 燃料の補給が確保をできるかどうかも課題としてはある。

さらには津波で被災した漁港に、大型船は着けられないし、転覆した船も多数あるようだ。
船を着けるために、転覆船の撤去をしようとすれば、
所有者の同意が必要で、勝手に処分することだって困難を極める。

そして震災から三日も経つと、事実だけを淡々と報道していた、報道番組やワイドショーも、
昨日あたりから、政府の対応に批判的な解説者やコメンテーターが口を開き始め、
熊本のときはこうだった、北海道胆振のときはこうだったと、
政府の対応を批判するような・・・ コメントがポツポツと出てきだした。

皆が皆、左向け左だったら大陸と同じになるので、それはそれで貴重な声だと思いはするが、
彼らは半島の突端という特異な地形や、年始という特別な勤務環境には触れることがないまま、
やれ自衛隊員の投入数が少ないとか、物資の支援が足りてないとか、
批判のための批判コメントに終始している。

さらには、防衛費よりも防災費を増やせといった声もあるらしい。
いかにも尤もなように聞こえるし、そういった声を否定するものでもないが、
「コンクリートから人へ」と言ってたのは・・・ どこのだれだったんだんだろうか?
威勢が良かったキャッチコピーを下ろすのであれば、キチンと総括してからにしてほしい。

また、なんでもかんでも万博予算に結びつけて批判する声もあるが、
そういった貧しい発想は、情けなくもあるし、いかがなものかと思ってしまう。

報道には報道の役割がある。
そんなことは分かってるが、あれしろ、これしろ、あれがない、これがないと言われても、
それをするのは、そういった役割を任された人たちである。

申し訳ないが・・・ 自衛隊員も、公務員も、トラックドライバーも、
正月休みを取っちゃいけないのだろうか?
警察や、消防、救急は別としても、自治体の職員や、ロジスティクスを担うドライバーまでも、
休日態勢ではなく、常に平時の態勢を確保しておかねばならないのだろうか?

休暇中のメンバーに連絡を取り、緊急招集を掛けて態勢を確保し、
現地に相当数の動員をかけようと思ったら、最低でも1~2日は必要だろう。
暴言を吐いて恐縮だが・・・ バカも休み休み言えである。

平時ではない特別な日に、解説者やコメンテーターがこういったコメントを不用意にしたら、
今日のネット社会では、同調者が調子に乗って焚きつけ、
無用の批判と非難で炎上させ・・・ オセロゲームのように白を黒にしてしまい、
その結果が政権の支持率に跳ね返るのである。

大きな余震が続いているにも拘らず、救助、救援活動にあたっているのである。
そんなこんなを踏まえて尚、批判があることは、ある意味仕方のないことだと思うものの、
地域環境、動員環境、自然環境について、キチンとした説明を付け加えておかないと、
正しい判断が出来ないと思うが・・・ 如何なものだろうか?

イラついていたのかもしれないが、なんだか気が滅入っていて、思いの丈を一気に吐露したら、
論点が幾つも出来て纏まりに欠け、オチがないまま、ダラダラと長くなってしまった。
くどくなってきたので・・・ そろそろ終わりにするが、
戦禍を憂い、災禍に慄く日々が、1分でも1秒でも早く落ち着くよう祈念してやまない。

なお、ここで述べたことは、あくまでも個人的な思いであって、
コメントを頂戴しても、議論するつもりはないので、
かってではあるが・・・ ご理解いただければありがたい。


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4 コメント

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Unknown (1948219suisen)
2024-01-05 05:47:45
オセロゲームに例えて書かれた、この記事に感服いたしました。

リアルな戦争に限らず、ネット社会の情報戦は、油断していると黒が巧妙に白に成り代わり、本来白であったほうが黒にされてしまう危険性があります。

現代の戦争は情報戦と言っても過言ではないかもしれません。

それだけに為政者の情報戦に対する知恵と覚悟が国を守る要になるかもしれないと私は思います。
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Unknown (多摩爺)
2024-01-05 07:14:23
1948219suisenさん、おはようございます。

戦禍について、前々から思ってたことに、今回の災禍があったもんだから、ちょっとストレスが堪ってしまい、
思いの丈を一気に吐露したら、論点が分散したオチのない文章になってしまいました。
今年はもっと、真面な文章が書けるよう頑張ります。
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Unknown (元史学生)
2024-01-05 12:01:07
イスラエルの現状はアメリカの建国と似ていますよね。
先住民のパレスチナ人は狩られるインディアンのように見えます。
ユダヤ人の建国に至る歴史を踏まえて見れば、国際社会が如何にアテにならないかは当のユダヤ人が一番身に染みてわかっているのではないでしょうか。
ですから諸外国が何を言おうと知ったこっちゃないわけです。

要は、正義がある限り争いは絶えることも無いし、また、争うことが正義を成り立たせているというわけです。
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Unknown (多摩爺)
2024-01-05 12:43:19
元史学生さん、こんにちは

貴重なコメントを頂戴しありがとうございました。
参考にさせていただきます。
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