時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

民主主義の曲がり角

2025年01月14日 | 時のつれづれ・睦月 

多摩爺の「時のつれづれ(睦月の57)」
民主主義の曲がり角(アメリカの次期大統領就任まで1週間)

先の大戦は、大凡100年ぐらい前に、
アメリカで株価が大暴落したことに端を発した世界恐慌(デフレ)に始まり、
アメリカのニューデール政策や、ヨーロッパのブロック政策からはじかれてしまった国々で、
自国第一主義を掲げた右翼政党が台頭したことが要因の一つとされている。

その大戦が終結して、80年の歳月を経た2025年1月、
民主主義の大国アメリカの次期大統領が就任するまで、あと1週間となったが、
就任前からのその言動に・・・ 世界の注目が集まっている。

その最たるものが、領土の買収(グリーンランドやカナダ)をふっかけたり、
他国の自治(パナマ運河の運営)に対して、武力行使も辞さないとの脅しであったり、
従来は大使が参列していた就任式典に、諸外国の要人を招待という名目で呼びつけてみたり、
SNSのファクトチェックを廃止するように圧力をかけていることだろう。

ただ・・・ 個人的な思いを吐露すれば、新たな大統領のことは大嫌いだが、
安全保障という視点で捉えれば、温暖化により北極圏の往来が容易になってきていることを踏まえ、
地下資源に着目した中国が、NATOの背後に位置するグリーンランドへの投資を働きかけ、
パナマ運河に至っては、両端の港に中国系の企業が深く関わっていて、彼の表現は乱暴過ぎるが、
歴代のアメリカ政権がマヌケだったことと、EUが楽観過ぎたことは批判されてしかるべきだろう。

あってはならないことだが・・・ 一番拙い流れは、
グリーンランドやパナマ運河に、武力行使をしてしまうことであって、
それは即、中国に向けて台湾侵攻に目を瞑ると言ったに等しく、
誤ったメッセージを送ることになりかねないと思うが・・・ 如何なものだろうか?

いま、この国の報道各局は、戦後80年をテーマに掲げ、
「いまを戦前にさせない。」といった視点での報道を・・・ スポットで問いかけ続けているが、
自由とグローバル化を勧める民主主義の大国が、自国第一主義へ進路変更したことにより、
この国では戦後80年であったとしても、
この国の外では、弱肉強食の元年になりかねないとも思ったりしている。

過去から現在に至るまでの歴史に学べば、恫喝と朝貢を基調とした国家運営(内政と外交)は、
共産主義や覇権主義などの、独裁国家の専売特許だと思っていたが、
いまや、国際秩序の維持に貢献してきた民主主義の大国が、
対立から生まれ、分断によって育まれた、
機能不全という名のウイルス感染症を患ってしまったんだから、難儀な年明けとなってしまった。

そもそも民主主義の国家で行われる意思決定は・・・ 多数決であり、
多数決に至るまで過程は、議論という形式の対立であって、
その結果は、罵り合うような分断には至らないものの、
昨年行われた、二つの知事選挙に着目すれば、フェイク情報に熱くなり過ぎており、
今後は分断に至ってしまう可能性も、否定できなくなってきている。

ネット情報を鵜呑みにし、フェイク情報にいとも簡単に踊らされる国民性を俯瞰すれば、
この国においても、ネット選挙のあり方を早期に精査し、皆が納得する対策を取らなければ、
いつ分断が起こっても、もはやそれは不思議ではなくなってきているようだ。

他国のことだから、私がなにを言っても、なにを書いても、そこら辺りの野次馬にすぎないが、
アメリカに次期大統領が誕生する来週20日を境に、世界はどのように動き、
いつどういった形で荒れてしまうのか、それとも落ち着きを見せてくれるのだろうか?

いま、この時点を捉え・・・ 国際社会にとって、不幸なことがあるとすれば、
20日に就任予定の次期アメリカ大統領と対峙し、
正論で物申すことができる、民主主義国家のトップが見当たらないことだろう。

他国の爺さんが、そこまで深刻に捉える必要はないのかもしれないが、
地図と羅針盤を持たないまま、民主主義の曲がり角に立ち、
ただ、ボーとしながら・・・ 遠くを見ているような気がしている。

次期大統領を支持する陰謀論者たちの妄言に、つられてしまうことはないものの、
期待薄でも、アメリカの矜持と良識に期待するしかないのもまた辛すぎて、
インフルエンザに罹ってもないのに・・・ 新年早々から頭が痛い。

民主主義とは理論に基づく案と案をぶつけ合い、多数決でどちらかを選ぶものだと思っていたが、
ここ最近では、非難や誹謗中傷を展開することで、支持を得る方向に変わってしまったようだ。
「驕れる者は久しからず・・・ 。」といった古典もあるし、
なにが正しかったのか、時間がかかるのは腹立たしいが、歴史が証明してくれることになるだろう。

とはいうものの、裏金、裏金とだけを連呼して、政権選択選挙に挑んだこの国も、
捉えようによっては似たようなものなので、他国を批判するのはこれぐらいにしておくが、
経済大国を自負する国が、実は民主主義の貧しい国になってることに、
いったい、いつになったら気づいてくれるのか、老婆心ながらそこだけは記しておきたい。

最後に・・・ もしも、ホントにもしもだが、
アメリカがNATOから脱退するような事態に陥れば、
80数年前に、満州事変を経て国際連盟を脱退し、孤立を深めていった、
戦前のこの国のようになってほしくはないが、考えておかねばならないのかもしれない。


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2 コメント

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Unknown (馬鹿も一心)
2025-01-15 20:52:14
民主主義を破壊するのは
戦争による🪖
貧しは暴力を産む。
ため息😮‍💨
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Unknown (多摩爺)
2025-01-15 21:02:49
一心さん、こんばんは

仰るとおりで戦争は絶対ダメです。
武器を持って戦うのは以ての外ですが、嫌みな経済戦争も勘弁してほしいですね、
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