多摩爺の「時のつれづれ(長月の6)」
スポーツと様々な宣伝活動
日曜日の朝、テレビ画面に嬉しい速報が入ってきた。
新型コロナウイルスの感染拡大にともない、
無観客で行われていた「US(全米)オープンテニス」で、
大坂なおみ選手が、2年ぶりに2度目の優勝を成し遂げてくれた。
しかも、第1セットを落としてからの逆転勝利は、実に25年ぶりだというから、
着実に地力をつけてきたことに加えて、課題だったメンタル面でも著しい成長があったのだろう。
アッパレもアッパレ、大アッパレである。
今大会に臨んだ大坂なおみ選手は、いま尚アメリカで抗議運動が続く、
黒人差別に反対する「ブラック・ライブズ・マター」運動と連携し、
過去に差別被害で犠牲になった、黒人の名を記した黒いマスクで登場するなど、
国内外でもかなりの注目を浴びていた。
しかも、予め7名の名前がプリントされたマスクを用意したと宣言しており、
決勝まで勝ち進まなければ、7名の犠牲者をアピールできなかったことを思えば、
強い決意で臨んだ大会であり、その有言実行は・・・ 改めて称賛に値すると云って良いだろう。
ところで・・・ こういった大坂なおみ選手のアピール行動に、一石を投じたいつもりじゃないが、
世の中は、いつからスポーツと政治、スポーツと差別などなど、
スポーツと宣伝活動に寛大になったのだろうか?
また、「ブラック・ライブズ・マター」運動は、いったいいつまで続くのだろうか?
もちろん、黒人に対する人種差別はあってはならないし、
差別は誰に対しても・・・ あってはならない。
しかし、スポーツイベントで、こういった行動がこれからも続くとなると、
オリンピックが気になってしまう。
それは、こういった行動に寛大な、東京大会ではなく、
2022年に行われる予定の、冬季北京大会が気にかかって仕方がない。
もし、西側諸国の選手たちが、
「ホンコン・ライブズ・マター」、「ウイグル・ライブズ・マター」のメッセージを
なんらかの形で表現したら、中国政府とIOCは、いったいどのような対応を取るのだろうか?
要らぬ心配だが・・・ ふと、そんなことが頭の片隅を過っていた。
オリンピック憲章50条には、オリンピック開催場所や競技会場、その他のエリアでは、
いかなる形の広告宣伝も許されず、いかなる種類の示威行動または、
政治的、宗教的、人種的な宣伝活動も認められないと・・・ 定められている。
たしか、1968年のメキシコシティー大会だったと思うが、
陸上競技に出場したアメリカ代表の黒人選手が、表彰台で黒い手袋つけた拳を高く挙げて、
黒人差別を抗議したことにより、IOCから永久追放処分がでている。
また、社会主義国で初めて行われた1980年のモスクワ大会では、
前年に主催国であるソビエト連邦が、アフガニスタンに侵攻したことを受け、
我が国を含む西側諸国の一部など、社会主義に批判的な約50の国々が、
大会への参加をボイコットするという事態に至っている。
さらに、2012年のロンドン大会では、我が国とお隣の国が対戦したサッカーの3位決定戦で、
ある選手が試合終了間もない会場内を「独島は我々の領土」と書かれたプラカードを持って
駆け回ったことは・・・ 記憶に新しいどころか、忘れることはできない。
もし・・・ 来年予定の東京大会で「ブラック・ライブズ・マター」運動が展開された場合、
IOCが、どういった対応をするか分からないが、
この国の人々は理解を示し、寛大な対応をすると思われるので、特段心配はしてないものの、
北京大会で「ホンコン・ライブズ・マター」や「ウイグル・ライブズ・マター」などのメッセージが、
会場内や会場周辺で訴求されたら・・・ この国は、どういった対応をするのだろうか?
香港のように、警察や軍を出動させることができないうえに、
その状況が世界に、一斉に配信されると思えば、
開催国の当局(共産党)は半狂乱になって、IOCと当事国に猛抗議をしてくるだろう。
個人的には、スポーツに政治や、宗教、人種などの宣伝活動を持ち込むべきではないと思っている。
しかし、一方で・・・ 今回の大坂選手の行動に「ガンバレ!」とエールを送る、
もう一人の自分がいることも事実だ。
長い時間がかかったが、人々がスポーツに対して思っていた固定概念に、
いま、変化が起きようとしている。
様々な競技において、アスリートたちが堂々と声を挙げたことに対して、
人々が理解し共感し始めたのだ。
ブラックパワーを訴え、人種差別に一石を投じたオリンピックのメキシコシティー大会から、
既に半世紀を超えているというのに・・・ 未だに世界の各地で残っている人種差別が、
明日になったら、きれいさっぱり無くなっているとも思えない。
それもまた、現実なんだろう思えば、
こういった運動やアピールから、目を背けるわけにもいかないのかもしれない。
一言で言うならば・・・ 半世紀という長い長い年月を経て、時代が変わったのだろう。
人種差別問題は、第三者が軽々に物申すには難し過ぎる・・・ 根深い問題だが、
来年の今頃までには、人種差別への理解がさらに深まり、
今回、大坂なおみ選手が付けていた黒いマスクが、来年の大会では外されていることに期待したい。
結論が見いだせない、無責任な論調になってしまったが、
一日でも早く、様々な差別が無くなる日がくることを・・・ 願ってやまない。
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