時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

朝令暮改は熟議の妙

2025年03月11日 | 時のつれづれ・弥生 

多摩爺の「時のつれづれ(弥生の55)」
朝令暮改は熟議の妙

先週末、総理は医療費が高くなった際に患者の支払い負担を抑える、
「高額療養費制度」の自己負担上限額を今夏に引き上げることについて、見送ると表明したことから、
先週4日に、修正して衆議院を通過した来年度予算案は・・・ 参議院で可決した後、
再び衆議院に戻して再議決が必要となり、年内の予算成立がちょっと微妙になってしまった。

この問題は既に2回見直されていて、今回の見送りで3回目の見直しだから、
総理の発言だけに注目すれば・・・ 「なにやってんだ。」って、ことになるんだろうが、
一方で視点を変えれば、これこそが熟議の国会の妙であり、
大きな成果があったと捉えても良いのではなかろうか?

野党第一党のトップは「これは英断ではなく、優柔不断だ。」と、
街頭演説を行い、一刀両断に切って捨てたが、
そうじゃなくて・・・ 「これこそが熟議国会の成果であり、対決より解決なんだ。」と、
他党の決め台詞をパクって、余裕のあるコメントを発するべきだったと思う。

そのうえで・・・ これで現役世代の社会保障費の負担が解消したわけではないので、
「さらに、聖域なき熟議を深める。」と呼びかけていたら、これがメディアによって報道され、
先の総選挙後、支持率が低迷する同党への風向きも変わっていたと思うが、
残念なことに、コアな支持者向けた発言しかしないんだから・・・ なんだかガッカリしてしまう。

せっかく総理に見直しさせたんだから・・・ 批判より手柄を主張をすれば良いのに、
大見得を切ってしまった「戦闘モード」に、拘りがあるのは分からんでもないが、 
自らの発言で風向きを変えるチャンスを逸したばかりか、
「野党は、なにがなんでも批判をする。」とのレッテルを、ことさら以上に印象づけてしまった。

これでは、先の総選挙で、与党支持者なのに政治とカネの問題を憂い、
お灸をすえるため、同党に投票した有権者もガッカリで、
野党第一党のトップもまた・・・ 「なにやってんだ。」ってことになるだろう。

こんな言い方をすれば、失礼なのかもしれないが、
組織としての広報戦略が貧しく、相も変わらず反対のための反対論を展開するし、
トップの発言は、威勢だけは立派だが、
コアな支持者を除いた、一般国民の心に・・・ その言葉は刺さってこない。

因みに今回の予算案について振り返ってみれば、ポイントを稼いだのは維新だけのように見えるが、
高校無償化に向けての落としどころとなった金額は、立憲が主張してきた金額そのものであって、
良い仕事をしているのに・・・ 成果について全くもって触れようとしないのは、
国民向けの広報戦略が、お粗末だったと言わざる得ない。

一方で成果を挙げた感のある維新にフォーカスすれば、大阪府知事が昨夏に私学の実質無償化を掲げ、
府の予算が逼迫するなか、私学の教育費について63万円を負担するとしていたが、
この政策を正当化するために、約7割方の予算を、府から国に強引に付け替えたと捉えれば、
乱暴であり「ずるいなぁ。」と思うが、こちらは広報戦略が巧みで、してやられた感が否めない。

また、103万円の壁については、国民民主は最後まで178万円だと意地を貫いたが、
彼らが問題提起したことで、所得制限はあるものの壁が動き、
160万で折り合いがつけられたことは・・・ 極めて大きな成果だと思っている。

結果として、対決より目論んだ解決には至らなかったが、
対決から一歩前進し、延長戦に突入したとの演出をしていれば、
広報的にも大きな成果だったはずなのに・・・ そちらに目を向けなかったことにより、
メディアの視線も、国民の視線も一旦休止となり、ここにきて話題性が一気に萎えてしまった。

思うに・・・ 政治に関心を持ってもらうには、
対案(恒久財源)なき批判合戦ではなく、
「あれは我が党がやった。これも我が党がやった。」の手柄合戦にした方が分かり易いし、
そのうえで「あのカネを使って、これをやりたい。」と政策提案してくれたら、もっと分かり易い。

予算案は政府(政権与党)が策定するので、手柄合戦は野党に不利となると思われがちだが、
減額したり、場合によっては増額するなど・・・ 熟議を経て修正することは可能であり、
ネットを使った広報戦略を上手く展開すれば、全くもって不利にならないことは、
すでに国民民主が、先の総選挙から続く国会審議などを経て・・・ 明解に証明している。

かつて私の住む町では、駅前商店街に監視カメラを設置することに大反対していた共産党が、
選挙のときになると、防犯対策のために私たちが設置を推進したとホラを吹いていたが、
国会議員レベルになると・・・ さすがにそこまでの厚顔無恥はいないだろう。

チェックするだけの万年野党なら・・・ 批判するだけでも構わないが、
政権交代を口にするのなら、実績作りに精を出して欲しいと思うのは私だけだろうか?

旧態依然とした政治活動が、いま過渡期に来ているようだ。
野党だから、総理の朝令暮改を責めたい気持ちは、分からんではないが、
「我々ならこうする。」まで言わないと・・・ 「だからどうした。」になってしまう。

朝令暮改が指摘され・・・ さも問題あり的な論調が、メディアでは溢れているが、
総理としては、それはそれで恥ずかしいことではあるものの、
一旦立ち止まって、プランを見直すことのどこが悪いのだろうか?

視点というものは・・・ 必ずしも前からだけじゃなく、
後からも、右からも、左からも、上からも、下からも、斜めからもあり、
人の数ほど思いがあり、捉え方も考え方もあるはずだ。

政治の安定は、もちろん大事なことで・・・ 重要視されるべきだが、
それがままならぬ、少数与党の政権にあっては、
拘りよりも、スピード感のあるリメイクの方に期待値が高くなるのは当然であって、
それがまさに・・・ 朝令暮改なんだと思えば分かり易いのではなかろうか?

与野党ともに、どっぷりと政党色が染みついた、濃いレッテルを貼り替えるのは難儀だが、
ネットを使った広報戦略が当たれば、政党のイメージが一新できることに加え、
新たな支持層の拡大に繋がることに早く気づき、
染みついた政党色のリニューアルに・・・ 尽力すべきだと思っている。

最後に・・・ 毎度毎度で恐縮だが、
本文はあくまでも、個人的な思いを綴ったものであり、
コメントを頂戴しても議論するつもりはないので、申し訳ないが了知願いたい。


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